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雪中の夜散歩

 高槻阪急での個展中、京都に宿泊していました。

関東人にとっては、観光地から出かけ、観光地に帰っていくという不思議な感覚。

 一週間、新しい出会いが多く、在廊した甲斐があったなぁとしみじみ感じました。夏の阪神での個展も楽しみになりました。
 一人でスタバで打ち上げしてたところ、徐々に雪が吹雪いてきました。

高槻駅前スタバからの景色。

 気づいた時には電車が止まり、高槻駅から出られなくなっていました・・・。後で知ったことですが、何時間も車内で取り残された、とのことで、その間自分はコーヒー飲めたのでどっちが良かったのか。
 関西の作家に教えてもらい、まだ動いているらしいという京阪の駅まで1時間半ほど歩くことを決める。

 なんとか京阪電車には間に合いましたが、さすがに遅れていました。やっと乗れたのは終電。そしてまだ手前の淀駅で降ろされてしまう。これは予想外の深夜12時。
 えっ・・・これってここから京都まで徒歩?
 幸い雪は弱くなってきたため、行けるかなと軽く考え、ダッフルコートのフードを深く被り、再出発。搬出の疲れが襲ってきて今すぐベッドに倒れ込みたい欲求を抑えつつ、腹を決め歩き出す。

雪だぬき

 なるべく明るそうな道路沿いをひたすら歩く。こんなに歩いたのは久しぶり。毎日アトリエ籠りですが、たまにはいいじゃんと気楽に思っていました(はじめのうちは)。

鴨川沿い。不気味で美しい。動物の足跡が沢山。

 ノンストップで鴨川沿いに入ったのは深夜2時過ぎ。夜明けまでに宿まで着けるのか不安になってきた。チェックアウトは10時。それまでに風呂も入りたい・・・。
 気力体力は問題ないので歩みを早めたいが、雪で思うように歩けない。滑らないよう無理な歩き方をしているせいか、段々と甲高の足が炎症を起こし、一歩ずつ歯を食いしばらないといけないくらいの痛みが走る。あまり良い症状ではなさそうだが河沿いには頼れる人はいません。猫か鼬か、謎の影が横切ります。
 ところで深夜の鴨川沿いのトンネルは、潜り抜けるたびに背筋がゾッとしました。オカルトの才能はありませんが、本能的に、ああこれ振り返っちゃいけない感じのやつだなぁ〜と感じる場所も。
 前だけ向いてどんどん歩かないと、止まるとやばいぞという体からの合図だったのでしょう。

靴紐が雪のクラッカー。

 3時半を回ってやっと到着!写真の見た目はいかにも寒そうで酷い有様ですが、ダッフルコートと中綿パンツ、防水機能高めの革靴で歩いていたおかげで身体に寒さはほとんど感じず。むしろちょっと暖かいくらい。水が染み込んで来ることもなかったのは助かった。高機能な靴の重要性を再認識。
 搬出日にそのまま帰る予定にせず一泊延ばしておいた自分は英断だったな〜と過去の自分を褒めつつ湯船に浸かり白湯を飲みベッドへ倒れ込む・・・そこでプツンと記憶が途切れた。

 次の日痛む足を引きずりながら、額縁屋さんへ新作の額を探しに行きました。作家に休みなどないのだ。続くのだ。

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