稲生物怪録（いのうもののけろく）の地を訪ねて①

　広島県三次（みよし）市には、

　『稲生物怪録
　（いのうもののけろく/ぶっかいろく）』

　という絵巻が今日まで伝わっています。
　その独特な内容に興味を抱き、2020年7月に三次を訪れました。

　1年経って、作品も何点か出来、発表してきたので改めてここに経緯をまとめておきたいと思います。

　大きな川と小高い山、広い水田に囲まれた土地。

　昼でも閑散とした表通りの強い日差しの影。
　湿った裏通りの錆びた鉄骨。

　沢山の何かがあの山の端の裏側に潜んでいるようにも思えるのに、完全な孤独のようでもあります。

　日が暮れた後の濃い闇。

　非日常の世界に迷い込んだような幻想を掻き立てます。

　万年筆でドローイングをしながら歩いてみました。

そのドローイング後に生まれた作品

　三次は、私に静かな水の底を感じさせました。

（続く）