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ネグレクトは夫婦間にもある虐待か?【やるせない夫1】VOl.10

ライフワークであった「結婚インサイト」の探求が1年止まっていました。正直、いろいろな方に聞いて書いていたら、アンバランスな夫婦の多いことに辛くなったり、自分と重なったりして筆を置いていました。……我ながら情けないことです。


今回、久しぶりの更新で、やや過激なタイトルを持ってきましたが、こちらは某メディアに掲載されたインタビューがモト。も~っと過激なタイトルで全4話を掲載していただき、それなりに読まれたシリーズです(おそらく6桁はいくかと)。

Yahoo!トピックにも入り、コメント数は1記事あたり、100~400ほど。これを炎上と呼ぶのかはわかりませんが、喧々諤々、非難轟々、罵倒と擁護が飛び交うまだら模様に驚きました。

さて本記事は、そのオリジナル版です。
インタビューした4人の「その後」も可能な限り加筆し、PV主義より真実寄り。なるべく私が感じた「素」や「実際」に近い状態をお伝えします。

一発目、こちら「1」さんのお話しは、Yahoo!コメントで最も共感・擁護が多く、もしや夫には障がいの特性があるのでは?と憶測さえ呼びました。

お話しを伺っているときは正直、つらくなっておりましたよ……。
みなさん、どうお感じになるでしょうか。

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妻に対して無関心。存在を否定してくる夫。

1さん(27)は、学生時代から知っている夫と、妊娠をきっかけに5年前に結婚。以来ワンオペで家事育児を切り盛りしてきました。
最近では「夫が家にいるだけでクサくて眠れない」、「夫の姿を見るとイライラする」と体に拒否反応が出ている様子。時系列でそうなった原因を探っていきます。

お金にだらしない夫。

ー妊娠が分かったとき、旦那さんはすんなり結婚しようと思ったのでしょうか。
「子どもができたとエコー写真を見せたら「オレもパパか~」とすんなり納得してくれて、スムーズに結婚しました」。

ー最初は、いい滑り出しに見えますが、それがなぜイライラにかわっていったのでしょうか。
「子育て中のママたちと話していると旦那さんへの愚痴が出てきますよね。でも、私とは違うレベルで話しているよな~って感じるんです。みなさんの旦那さんは、なんだかんだいっても良い人で、奥さんたちも愛を感じていることが伝わってきます。でも、私の夫は人と助け合うとか、人を思いやるという心がないのでは? と思います」。

ー例えば?
「私が言ったことを覚えていないんです。例えば、夫は歯磨きをしなかったり、お風呂に入らなかったりと、清潔感がなく、私が不在にしているとカップ麺の食べ残しがそのままリビングに置いてあったりします。だから注意すると『ごめーん』と言って片付けてくれますが、ひとことじゃ動かない。私がヒートアップして何度も怒らないとダメ。それでも治りません。」

ーもしや仕事関係でも何か問題が生じているのですか?
「職場の上司や仕事関係の人たちからはかわいがってもらっているようなので、外では人間関係を構築できているようです。でも、私とはコミュニケーションが成立していないように思います」。

ー少なくとも1さんは、「夫と話が通じない」と感じている?
「『博士の愛した数式』って、分かりますか? 小説で映画にもなったお話です。そこに出てくる「博士」にとっても似ていて、記憶が続かないんです。だから脳の性質や病的なものかと思っています」

―ハカセは独特な人として描かれていますね。ASD(自閉症/アスペルガー症候群)なんて言われることも。信頼関係が構築できない、ということですか?
「そうですね。夫が奨学金を返済しているのは知っていたのですが、妊娠が分かったあと、買い物やギャンブルで借金していることが発覚しました。そのとき私は無職だったので、お金がないから必死に節約して、赤ちゃんに必要なものをそろえて、お腹はどんどん大きくなって後戻りできなくて……といろいろ考えてしまって」

ーそれはつらい……。
「夫はこの不安に寄り添ってくれなかったので、だんだん怒りに変わっていったのだと思います。私がインフルエンザになったときは、子どもと文字通り一緒にいるだけ。
私が用意した食事を子どもと食べ、ソファに寝転がってゲームをして家事はやりません。そのくせ『明日も会社を休んであげようか?』と上から目線で聞いてきました。そういう無神経なところが気に障ります!」

―イライラが止まらないといった感じですね。
「もう『死んでしまえ』という気持ちが止まらなくて(笑)、私の両親にも離婚したい旨を伝えてあります」。


理想の夫は困ったときに相談できる人。

―実際、離婚をしたいのですか?
「はい。今は離婚を決意し、晴れ晴れとした気持ちで、新しい生活に気持ちが向いています。働きながら通っていた学校も卒業するし、転職が成功したら子どもを連れて職場の近くに引っ越す予定です。まだこれからだし、またご縁があれば結婚して子どもを生みたいとも思っています。夫のDNAはこれ以上残してはいけない、と思っています(笑)」。

―次も結婚はしたいのですね。理想の夫婦像はありますか?
「昔は、周りが『優しくてお金がある人がいい』と言っているから、私も『そうなのかな~』程度でしたが、今思うのは、話が通じる人、気持ちが通じ合える人です。マブダチというほどの友達夫婦になりたいわけではなく(笑)、困ったときに相談できて、助けてあげたいと思える人と結婚したいです。」

ーそれが夫婦の本質的な部分だと感じます。お話を聞いている限り、未練は感じませんね。
「そうですね、シングルマザーは大変でしょうけど、今よりストレスが少ないだろうなと思っています。先日、カフェで仕事をしていたら、海外の方が来られてカタコトの英語で話が通じたことがありました。そのとき、夫とより心が通じ合えると実感したので(笑)、そういう体験を増やしていけたらいいなと思っています」。


ーーーー1さんの記憶から消えない「チリツモ」エピソード
・深夜に帰宅し、おかずを見て好きなものしかたべない。例えば、ハンバーグは食べるが、野菜料理には手をつけない。

・「夕飯がいらない日は事前に伝えてほしい」と何度も伝えたが連絡がなかったので食事を用意しなかった。しかし突然帰ってきて、息子のお弁当用の鮭を見るなり「オレはお腹すいて帰ってきたのに、これだけ?」と言った。

・子どもがハーフバースディになったとき、まるで祖父母のように喜ぶ様子を見て、他人事のようだと違和感を覚えた。

・おこづかいを多めに渡すと数時間でギャンブルに使い切ってしまう。
など多数

コロナ禍中に追加されてしまったエピソード
・家族のぶんの給付金を使われてしまった。


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インタビューを終えて。
1さんは離婚を決意していたので、私はひとさまのことにも関わらず、全力で「いいと思います!」と言ってしまいました。

なぜって、夫の妻に対する無関心具合が我が家と酷似していて、「何をいってもダメなんだよな」と心底共感したからです。

例えば、上記のチリツモエピソード。
みなさま、これを読んでどう思われましたか。
「よくいる(聞く・読む)お金にだらしがない夫」「うちでもフツーにあるわ」でしょうか。
某編集部の方々もそう思われたらしく、その部分は取り去ることになりました。

でもちょっと待ってください。
読み物的には「よくある出来事」かもしれませんが、皆さん本当に違和感ありませんか? 刺激に慣れてしまっていません?

メディアに登場する「モラハラ夫」は、妻を束縛(管理)したがり、生活費を渡さず、家事育児をせず、といった言動が目立ちますが、それは「パートナーと共に歩もう」という価値観を持ち合わせていないから起こることです。

私は、1さんの夫も根底にあるものはそれと一緒であり、違うことは「攻撃性を帯びていない」だけだと考えます。
その理由は、「パートナー(妻)への無関心・無神経さ」が強いから。

前出のモラハラ夫は、妻に対する執着が強いがために攻撃的になり、DVにつながっていくと思いますが、1さんの夫は執着がない。むしろ、興味も関心もない。どうでもいいのです。「好きの反対は嫌いではなく無関心」といわれるように。

おそらく1さんは、夫と一緒に暮らすだけで負のダメージをおっていったのでしょう。

この構造でよく似たものに、幼児(児童)虐待の一種である「ネグレクト」があります。ネグレクトとは、親が子に必要な世話をせず、放置している状態を指します。
子どもの場合は、一人で何もできない、もしくは一人でできることに限界があるため、ネグレクトをされると命に関わります。

1さんは、成人であるため命を脅かされることはないとはいえ、無職の妊婦は、経済的・身体的弱者だといえるでしょう。その時点で経済力のある夫は強者ですから、私はネグレクトと呼んでもよいのでは、と思っています。

まあ、ネグレクトなんて言葉を用いずとも、パートナーから無視され、関心を持たれないと、つらいもの。
また、ここまで精神的な部分にフォーカスしてきましたが、お金の管理ができないと……結婚生活はイバラの道だなと感じます。

さて、1さんのその後です。
1さんは哀しさやもどかしさから、怒りで自衛しながら、あきらめるというプロセスを踏んでいったのでしょう。夫へ離婚を切り出しました。

夫は寝耳に水で、1さんへ(ようやく)話し合いをもちかけたようですが、時すでに遅し。1さんの決意は固く、無事離婚。
新天地で就職も果たし、シングルマザーとして充実した日々を送ってらっしゃいます。


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