見出し画像

第28話 減量と柔術と小説執筆 | Saito Daichi

 ジムに通っている間は生傷が絶えません。

 爪が真ん中から割れて血が出たりしますが、意外にも痛くはありません。

 床との火傷で皮膚が削れたり、シャワーを浴びる前に鏡で身体をチェックすると、ところどころに小さい痣ができています。

 最初の1カ月から3ヶ月は筋肉痛で首が上がらなくなります。

 その内、首が太くなって痛みを感じにくくなります。

 チョークにも強くなる気がします。

 捻挫も治りました。

 クラスの休憩時にはスポーツドリンクをちびちび飲むようにしていましたが、それでも汗だくでした。

 クラスを終えるとみんなで筋トレをして、自主トレをおこない、プロテインを飲みます。

 家に到着すると、頭の中で復習しながらご飯を食べ、YouTubeなどでもう一度勉強します。

 携帯のメモ帳や紙のノートに書いたこともありましたが、書いた後に見なくなってしまうので、スマホのカレンダーに「やりたいこと」や「反省」を書くことにしました。

 恐らく、身体が技を覚えればそういったこともする必要がなくなるのでしょう。

 やられたことの対策を学び、同じ技には一方的にやられないように気を付けました。

 歯医者に行き、試合用のマウスピースを作ってもらうために、頭部をスキャンしてもらいました。

 執筆はジムが無い日や、行く前に進めます。

 当時はインテリジェンスや、作中に出題する大学の共通テストの参考文献を読み漁っていました。

 柔術をやるにあたり、フィジカル強化の必要性も感じたので、下半身の強化トレーニングをジムが無い日は繰り返しました。

 映画を観ながらエアロバイク1h、反復横跳び1h、ダンベルカーフレイズ5分、音楽を聴きながら散歩3h、バービージャンプのいずれかを気分で変えます。

 技術がなく体力しかないので、動きの中で学ぶしかありません。

 最後はポジションキープすらできず、ボロボロでしたが、その時に自然と身体が動き、その中で生き残ることを学びました。

 ただ2週間目で肩を負傷し、アイシングをしてしばらく休むことにしました。

 捻挫した足の母指球もそれらを庇う形で捻挫しており、アイシングします。

 休止期間中に技や動きを動画を勉強したり、下半身のトレーニングに集中しました。

 早い人では半年、1年経って「そろそろ試合に出るか」と思う人が大半のようです。

 最初の数カ月は週1から週2、そこから週3、週4と通う日数を増やしていきました。

 同時に、当時は身体が出来上がっていなかったので適性体重より1つ上の階級で戦っていました。

 実は今まで太ったことがなく、「本当に自分は太るのか」という検証をしました。

 一階級上の体重に合わせ、無理やり動くとどうなるのかという実験です。

 半年間の間、柔術の練習をしながら、食事制限を一切せず、無駄に食べ、大量のカロリーを摂取しました。

 当たり前ですが脂肪と筋肉が増えました。

 そしてスパーリングで動けなくなりました。

 体重は10kg増加です。

 もし筋肉だけで10kg増やしたとしても、関節が悲鳴を上げます。

 知ってはいましたが、「寝技と体重」という相関性からどうしても検証したかったのです。

 そこで検証を終え、筋肉を付けて脂肪を落とす方法に変更します。

 糖質(P=プロテイン)、脂質(F=ファット)、炭水化物(C=カーボ)のPFCバランスを変えるやり方で10kg落としました。

 7h睡眠後、起床したらブラックコーヒーにCBDオイルを3滴加え、各種ビタミン、発汗と脂肪燃焼を促進するサプリを飲みます。

 そして空腹状態で、1hから2hの有酸素運動(カーディオ)を行った後、プロテインなどでPを摂取します。

 増量狙いなら駄目ですが、空腹時の有酸素運動を20分おこなうと、脂質からのエネルギー供給は約40%、2時間後には約80%まで向上します。

 Pは豆乳と粉末プロテインをミキサーで混ぜたジュース、ノンオイルのツナ缶、オイコスヨーグルト、納豆、完全栄養食である卵などから摂ります。

 夜は空腹で眠れなくなる前に早めに就寝し、その前に野菜とあっさりとしたタンパク質を摂取します。

 プロテイン以外はどこでも売っていて、安く手に入る物で充分でした。

 空腹は炭酸水や水で誤魔化します。

 そんな中、左手の親指を捻挫しました。

 足の指は前回の反省からテーピングをしていたので問題ありません。

 左手に氷を巻きながら、道着の有無で有効な技や、怪我への対処を学んでいきます。

 ダイエットを本格的に始める前はケトダイエットを試していました。

 ケトジェニックダイエットは糖質と脂質のみを摂取し、炭水化物を最小限に抑えるやり方です。

 体内のエネルギー変換をカーボからファットに切り替え、ある時期から脂肪をエネルギーとして消費させるダイエットです。

 副作用として血液がドロドロになったり、ケトフルーに陥るので、短期的な効果を狙う場合に使う糖尿病の食事療法から編み出された方法です。

 その後、ローカーボとハイカーボを繰り返すジグザグダイエットに戻す予定なので、ケトジェニックは2、3カ月くらいで考えていました。

 ケトフルーで吐き気と不眠症状が出ましたが、ビタミンを取って無視します。

 色々と怪我をしているのでスクワットくらいしかできず、足に氷を巻きながら執筆し、食事を減らしました。

 執筆中や、参考文献で勉強してアウトプットする際は脳の栄養となるブドウ糖が必要です。

 が、ブドウ糖が含まれている食べ物は大抵、甘くて太りやすいのです。

 ラムネは効率良くぶどう糖を吸収できますが、食べ過ぎはいけません。

 カカオ72%のチョコや、サイダーのアメなどで我慢をしました。

 怪我をしている時のダイエットは辛いものがあります。

 治りが悪いので肩と足首のレントゲンを撮りましたが、異常はありませんでした。

 腱を少し痛めたらしく、痛み止めと塗る消炎剤を貰いました。

 友人に勧められた映画を鑑賞し、『シン・ウルトラマン』も映画館で観に行き、英気を養います。

 ありがたいことにいつも色んな人とスパーを組ませていただいているので、環境に恵まれていました。

 ジムの会員、特に柔術のクラスに出る大半の人間は社会人であり、学生であってもバイト経験などや体育会系の流れも分かっているので、とてもやりやすいものがありました。

 そもそも競争社会である民間で自分の仕事をしながら、ジムに通って休日に試合までおこなう意識の高いコミュニティーです。

 数カ月経ち、自分の格安柔術着とマウスピースも到着し、より一層力が入りました。

 半年経つと膝をぶつけて負傷し、1カ月休んだ時もありましたが、ジムの雰囲気が良いので復帰しやすかったです。

 組み技をおこない、人の治し方や壊し方、人体の動きや構造にも詳しくなりました。

 あとは柔術の試合までに調整を進めました。

 筋肉の70%は下半身なのでダイエットには最適です。

 そして懸垂も上半身の筋肉を多く使うので便利です。

 懸垂で同時に鍛えられる腹筋は内臓を引き締め、下っ腹を押し上げます。

 「部分痩せできる」、「できない」という話がありますが、定義によっては可能だということです。

 風呂には朝と夜で2回浸かり、代謝を上げて、夜はなるべく7時間は眠ります。

 寝ている間もカロリーが消費され、筋肉が作られるからです。

 ジムがある日はクラスでスパーリングや筋トレがあるため、ダブルワークによるオーバーワークに気を付けなければなりません。

 私の場合、ジムがある日は朝に有酸素を1hだけやって終わりです。

作品やSNSはこちら☟