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天皇の祭りの「米と粟」

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神嘉殿で行われる宮中新嘗祭、大嘗宮で行われる大嘗祭で、もっとも重要な神饌は「米と粟」の御飯(おんいい)です。なぜ「米と粟」なのか、なぜ「粟」なのか?
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#真弓常忠

大嘗祭は「米と粟」の複合儀礼──あらためて研究資料を読み直す(2011年12月18日)

大嘗祭は「米と粟」の複合儀礼──あらためて研究資料を読み直す(2011年12月18日)

 先月、政教関係を正す会のシンポジウムで、大嘗祭が稲と粟の複合儀礼であることについてお話ししたところ、旧知の神道学者から「新嘗祭と異なり、大嘗祭には粟は登場しないのではないか」というご指摘をいただきました。

 著名な研究者からの指摘ですから、無視することはできません。まして、「大嘗祭は稲と粟の複合儀礼ではない」ということだとすると、私の年来の主張はもう一度組み立て直さないといけなくなります。

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神道学への疑問。なぜ「粟」の存在が見えないのか?──真弓忠常「大嘗祭」論を読んで(令和4年12月4日、日曜日)

神道学への疑問。なぜ「粟」の存在が見えないのか?──真弓忠常「大嘗祭」論を読んで(令和4年12月4日、日曜日)

新嘗祭・大嘗祭は明らかに「米と粟の祭り」である。先々週、宮中の聖域で行われた新嘗祭で、陛下は神前に「米と粟」の新穀を供饌され、直会されたはずである。神事のあり方は古来、変わっていないはずである。

ところが、正確な情報を社会に提供しているはずの神社検定の公式テキストや著名神社の宮司を歴任した神道学者までが、新嘗祭=「稲の祭り」説に固まっている。そのため、前回、書いたように、これらを参考文献とするS

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