えーえんの補助線 〜 笹井宏之の歌を読む(3)
笹井宏之さんの歌を鑑賞する、パート3です。
ぼくは詩人なので、短歌の鑑賞というには詩人目線すぎるかもしれません。
序論、本論、結論というていではなく、一首評(のようなもの)を重ねていくかたちで、笹井さんの創作物がなぜ「ああいうふう」に見えるのかを感じとっていきたいとおもいます。
3 弱さへの意志
*
あたたかい電球を持つ(ひかってた ひかってました)わかっています
誰しもが感じるだろうけど、これは看取りだ。
電球はつかないのだろう。切れてしまって取り替える瞬間であると感じさせる。電球としての死だ。
笹井さんはそのこと自体を描かない。それどころではなく「ひかってました」と電球じたいに過去形で語らせている。
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