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リーダーに求められるのは、目の前の起こっているできごとを、作為的に変えるのではなく促す力~『タオのリーダー学』からの学び

書籍を読んでいて、引用元の文献にさかのぼっていく中で、たまに面白い書籍と出会うことがあります。

多様なリーダーシップの形を整理し、歴史から最近のトレンドまで幅広く含んでいるコミベズ&ルーカス ら(2017)が著した『リーダーシップの探求:変化をもたらす理論と実践』を読み直していて、ジョン・ハイダー(1992)の『タオのリーダー学』という書籍に出会いました。

著者のジョン・ハイダーは、欲求段階説で有名なマズローらも関わった、エサレン研究所にいらっしゃった方みたいですが、本著で述べられているのは、タオという文字がある通り、老子の『道徳教』からの示唆を、現代のリーダーシップに必要なスキルやマインドという形で、わかりやすく組み込み、論じています。

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『道徳教』には、
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①自然の法則-「ものごとがどのように起こるか」
②生きかた-「いかにして自覚的に、自然の法則と調和して生きるか」
③リーダーシップの方法-「いかにして自然の法則にしたがいながら人を動かし、また教育するか」

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の3つのテーマが流れていると、ハイダー氏は述べています。

2~3ページごとに、81篇の短い分がならび、リーダーが持つべきスキルやマインドについて述べられています。

特に印象的だったのが、

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49.なにごともオープンに

賢いリーダーは、自分の価値観をグループに押しつけない。
賢いリーダーは、グループのリードにしたがい、なにが起ころうとも、オープンな態度で接する。
だれも批判せず、「良い人」にも「悪い人」にも、ともに思いやりをかける。
人が真実を語っているか、嘘をついているかさえ気にしない。

批判的な態度より、オープンで思いやりのある態度のほうが人を動かす。
なぜなら、人は、やさしく誠実な態度で受け入れられると、自然にやさしく誠実になろうとするものだからである。

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58. 進展するプロセス

グループのプロセスは自然に進展する。自動制御装置と同じだ。干渉してはならない。
それはおのずから、いい方向に進展する。

プロセスを操作しようとする試みはたいがい失敗する。流れを阻害するか、混乱を招くか、いずれの結果に終わる。

いま起こっていることを信頼しなさい。沈黙があれば、それに耳を傾けなさい。そこからなにかが現れてくる。嵐があれば、荒れるにまかせておきなさい。嵐は自然に静まる。

不満を抱くグループを、リーダーの力で喜ばせることはできない。かりにできたとしても、リーダーのその努力がグループの創造性を去勢してしまう。

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リーダーが持つべきマインドやスキルについての習得を目指すのはもちろんですが、自分が持つ/ 持ちたい、より深い哲学的な、"リーダーシップ観"について、言語化されてるなと感じました(少なくとも私はすごい共感しました)。

目の前の個別の問題から少し離れ、自分が漠然と持っている、リーダーシップ観の言語化を手伝ってくれるような書籍に触れることも大事かも知れません。
短い本ですので、手元に置いて、気が向いたときに読みたくなる本でした!

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