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【研究メモ】 コンフリクトマネジメントのカギは、脱感情化?~Qiu & Freel (2020) Managing Family-Related Conflictsin Family Businesses: A Review and Research Agenda からの学び [後編]


Qiu & Freel (2020) Managing Family-Related Conflictsin Family Businesses: A Review and Research Agenda からの学び [後編] です。

Qiu & Freel (2020) は、Phutnam et al.(2016) のフレームワークを基に、コンフリクトマネジメントの分析の指針として、3つの理論的レンズである偶発性(どちらか一方)、矛盾(両方)、弁証法(より以上)の観点から、アプローチを分析しました。


余談ですが、このLINDA L. Phutnamさんは、社会関係資本のRobert Putnamとは別人です。Phutnam et al.(2016) Contradictions, Dialectics, and Paradoxes in Organizations: A Constitutive Approach は、コンフリクト・マネジメントに特化した論文ではないみたいなのですが、組織の現象と捉える上でのフレームワークを提示しています。読んでみたい!

https://journals.aom.org/doi/abs/10.5465/19416520.2016.1162421


Qiu & Freel (2020) の中でのコンフリクト・マネジメントに関するアプローチの整理は、用いられているフレームワーク(の観点)の抽象度が高いので、ファミリービジネスに限らず、他の領域でも応用できるのではと思います。

個人的には、弁証法的アプローチの「変更/ 学習」に例示されていた、”ファミリービジネスのメンバーに性格の違いを教育することで、士気を向上させ、対人関係を強化できる(Filbeck and Smith, 1997)”という指摘なんかは、システムメンバーの相互理解を促していく上で、組織開発的なアプローチだなと思いました。

後は、「第三者の介入」の”中立的な部外者が新鮮な視点を提供し、コミュニケーションや交流を促進し、否定的な感情を発散させるために必要なはけ口を提供”という記述も、とっても大事だなと思います。 

よくも悪くも第三者は、システムの中での当事者性が少ないので、ファミリーメンバーよりは、落ち着いて、ネガティブな感情も受け取れるのではと思います。

本論文の後半では、各戦略の長短を見極めながら、組み合わせて取り組みを進める重要性とともに、”感情”に着目する、Emotion-Based Strategyの必要性が謳われていました。FBのコンフリクトから、”de-emotionalize(脱感情化?)"を進めるために第三者を活用しようというものです。

”感情”は自分自身のニーズを探る上で、大事なメッセージですが、感情に任せて反応的に行動してしまうと、多くの場合、期待する成果が得られないので、”de-emotionalize(脱感情化)"のプロセスをかませることで、より落ち着いて、お互いのニーズを話し合える場が創れたらいいなと思います!


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