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美味しんぼ カレー編 きっかけは「マイダス王」

こんにちは。齋藤です。

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事務所の近くのカフェのマスターがスパイスカレーを始めるとのことで、さっそく食べに行ってみたのですが、ひとくちにカレーと言いましても、納得のいくレベルにもっていくということは難しいことのようで、苦労しておられるようでした。

そんなマスターの悩める姿を見て、美味しんぼのあるエピソードを思い出しました。

そう、この回です。↓↓↓

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↑↑↑この回の主役の栃川さんも悩んでいます・・・

何かマスターのお役に立てることがあればと思ったのですが、素人が下手にカレーについてああだこうだと申し上げても気障りで害になるだけ。

結局、弁護士業界きっての美味しんぼフリークを自称する当職に出来ることと言えば、美味しんぼの神巻である「24巻 カレー勝負」をマスターにご紹介することのみと思い、このブログをしたためた次第です。

きっかけは「マイダス王」

24巻は、一巻まるまるカレーについて取り上げている巻で、細かいスパイスの知識やカレーという食品についての歴史などかなりの読み応えです。

24巻では、山岡さんのアシスタントとして栃川さんが大活躍するわけですが、ここで、24巻をご紹介する前に、12巻の「日本風カレー(前編・後編)」で栃川さんについておさらいしておきたいと思います。

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↑↑↑栗田さんが、銀行でお金をおろした途端ひったくりに遭います。

↓↓↓そこに通りかかった虎沢老人がひったくりを撃退します。

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御礼に何かご馳走する、という栗田さんに、虎沢老人は、目当ての店があるのでそこで一緒に食べてほしいと言います。

虎沢老人の目当ての店が、栃川さんが経営する「カレーショップ マイダス王」です。↓↓↓

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虎沢老人は、日本風カレーが好きで、栃川さんに「豚、牛、羊、鶏の肉以外の材料を使って、今までにない味のカレーを作れ」と命じていました。↓↓↓

どうやら虎沢老人と栃川さんとの間には因縁があるようです。

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虎沢老人の宿題に対し、栃川さんが出した答えが季節外れの「タラ」でした。

季節外れ」というのは美味しんぼにおいては負け確ワードです。

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↑↑↑案の定、「こんな物まずくて食えんよ。」を頂いてしまいます。

しかも、山岡さんまで「虎沢さんの言う通りだ、このカレーは失格だよ。」と言い出します。

「季節外れの成果この鱈の身は脂が乗っていない。味のほうもやせている。この香ばしくてとろみのあるカレーに対抗する力がない。」とぶった切ります。

正直、当職のような素人でも、カレーにタラは合わないだろ・・・と思ってしまいます。24巻で素晴らしいカニのカレーを披露する栃川さんと同一人物とは思えないピントのズレ方です。

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↑↑↑どうやら、おいしいカレーを作るというのが虎沢老人が栃山さんと朝江さんとの仲を認める条件だったようです。

虎沢老人は朝江さんを無理やり連れて行ってしまいます。


↓↓↓ここで、栃川さんの過去が明らかになります。

虎沢老人は日本の柔道界のボス的存在で、栃川さんはその愛弟子として、オリンピックでの金メダルを嘱望されていました。

ところが、栃山さんは天狗になって飲酒運転をし、人にケガをさせる事故を起こしてオリンピック代表を取り消されてしまい、ヤケになって傷害や殺人未遂のような刑事事件を起こして執行猶予となったとのことです。

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この「美味しんぼ 12巻」が発行されたのが1987年と、今から34年も前なのですが、オリンピック選手に世間の目が厳しいのは今も昔も同じです。

ただ、虎沢老人の孫娘の朝江さんだけは栃川さんを見捨てず、再出発の第一歩として開いた「マイダス王」を手伝ってくれていました。

しかし、虎沢老人は、二人の間を決して許そうとはしません(まぁ当然です)。

そんな中、審判の日がやってきます。

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泣きの一回で栃川さんが繰り出したのがこのカレーです。↓↓↓

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山岡さんが教えたのは、牛の骨髄カレーでした。

「牛のスネ、又は大腿骨」を「野菜や香辛料と一緒に煮」て、「仕上げに入る前に、骨から髄の部分だけぬるりと押し出し」、「それをまた少し煮込んで」完成します。

「とろっとした舌ざわり、豊満なコクのある味・・・・」
「コンソメスープに似た、上品だが力強い風味」

一度でいいから食べてみたいです。


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虎沢老人は、骨髄カレーが栃川さんのオリジナルでないことを見抜きます。

「人間にとって一番大事なのは、ほかの人間の信用を得ることじゃ」

↑↑↑弁護士という職業をしていますと、虎沢老人のこのセリフが痛いほど身に染みます。

美味しんぼでは、ちょくちょく差しはさまれる重いセリフに、原作・雁屋哲先生の人生についての深い洞察を感じずにはいられません。


「だが、ここ数年、お前は信用を失うことを積み重ねてきた。そんな男にかわいい孫娘をどうしてやれようか・・・」

↑↑↑ぐうの音も出ない正論に、栃川さんもただただ無念の表情です。

他方で、骨髄カレーのような美味しいカレーの作り方を教えてもらえるのは、栃川さんが人様の信用に応えられるようになった証拠、ということで、結論として、虎沢老人は二人の仲を許します。↓↓↓

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中松警部の「やったな! あの虎沢老人から、見事な一本勝ちだぜ!」でしっかりオチています。

誰もが納得するこの結末、この人情味、この予定調和が初期の美味しんぼの醍醐味と言えるでしょう。


ここから「24巻 カレー勝負」について書いていく予定だったのですが、ここまでで字数がこんできてしまいました。

「24巻 カレー勝負」のレビューはかなりの分量になりそうですので、一旦このあたりで筆を置くことにいたします。

お付き合い頂き誠にありがとうございました。


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