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6. モノづくりにおけるカスタマーサクセスは事業をつくることである


タイトルも長ければ本文も長い。
短くまとめる、という能力に長けていない人間の文章が始まります。

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"カスタマーサクセス"なる職種への認知度が昨年から2倍に上昇しているそうです。

いわゆる売切型から継続課金型のビジネスが主流となり、
LTVの最大化が重要視されている中で
プロダクトの活用度を高め、解約を防ぎ、長く使い続けてもらえるか、を追い求める事業の屋台骨的なポジションです。

この界隈に関する有益な情報の詰まった書籍やnoteなどは非常に多いので、
基礎的な情報がもし気になる方はググってみて下さい。

この記事は……
・CS立ち上げを担う事になって2ヶ月で感じたことのアウトプット
・あまり語られることのない有形商材における顧客成功の推察
・いわゆる活用支援をするCSのHow toやTipsではないです

自己紹介 : 自分について

改めまして、Trim株式会社の齋藤と申します。
セールスBPO → ITベンチャーの新規事業を経てTrimにやってきました。
BtoBマーケティングの仕組みや事業を作ったり、業務改善とか効率化をしたり、何かの立ち上げをしたり、幅広めにいろんな事をしてきました。

この2021年7月でJoinして2年になるのですが、
営業として入り、Bizdevのマネージャー、C.O.O.、取締役と半年に1度くらい役割が変わる目まぐるしく濃ゆい2年を過ごしてきました。

何でもやる人は、環境が変わっても何でもやる(ハメになる)らしいです。

開発部門のPMをやったり、事業計画を練ったり、
目の前の課題は全部やるスタンスで取り組んできたのですが、
基本的にはセールス・マーケティングを管掌していて、
事業がいかに最大化できるかを念頭に働いていました。

そんな僕が5月からカスタマーサクセス部門の立ち上げをやっています。

会社としても初となる組織・領域ですが、自分のキャリアとしても初となる分野。未知の世界に刺激を受けながら毎日取り組んでいます。

自己紹介 : プロダクトについて

アプリも含めて3つのプロダクトを持っていますが、
主力事業はベビーケアルームmamaro。

2017年にローンチされて4年の間に述べ280箇所以上に設置実績があり、
売上も毎年倍々成長で推移し続けています。

昨年は大型の資金調達も実施し、
直近ではTBS系列の「がっちりマンデー!!」にも取材いただき、
全国各地から資料請求の問い合わせが殺到するなど注目度は右肩上がりで伸びています。

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商業施設や自治体など、"施設"を運営する先にレンタル・販売をすることで収益を得る"モノ"のビジネスです。

一方で"ただの箱"ではなく、
利用回数データの取得内部モニターでの情報発信などIoT機能を搭載しており、"サービス"としての側面も持っています。

"モノ"であり"サービス"でもある、これがmamaroの特徴その①。


施設からの問い合わせが増えて、mamaroが増えると比例するように(当然ながら)ユーザーのママ・パパも増えていきます。

年間の出生数が84万人(2020年)であるのに対して、
全国の授乳室は約20,000室しかない。
0-1歳児が主に使うと考えると、ざっくり計算になりますが、
「100人の赤ちゃんに対して部屋が1つ」という非常にアンバランスな状態になっています。

授乳室をつくるよりも安価に導入できて施設のためになる、
そして授乳環境が整うことで施設利用するママ・パパのためになる、
そんなWin-Win-Winなプロダクト。それがmamaroです。

余談ですが各種SNSで #mamaro で調べると、ユーザーの方々の喜びの声が溢れていて、これが本当に最大のやりがいだと思いながら事業やってます。

"ママやパパも、施設も嬉しい"プロダクト。これがmamaroの特徴その②。

なぜ今カスタマーサクセスなのか?

2017年からこの事業がスタートして、4年になります。
多くのお客様に恵まれ、前述の通り倍々成長で進んできました。

▼導入台数実績は順調に増加中

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でも、このスピードでは世界は変わらない。
mamaroが1,000、2,000という数ではなく10,000、15,000という
子育てにおけるインフラとなっていく為には、
ここから更に何倍もの成長速度を出していく必要があります。

プロダクト自体もより良くしていく必要があり、
圧倒的認知を獲得するマーケティング施策が必要であり、
そして今回テーマとなる”顧客の成功”が必要となる。

喫緊かつ重要なテーマ、という事でこの3本の柱があって、
そして最も0→1となるCSの立ち上げを僕がやる事になったのです。


そう、0→1。
今までTrimには"カスタマーサクセス"の機能がなかったのです。

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いわゆる"カスタマーサポート"的な業務はあったので
受注後に全くノータッチ、という状況ではなかったのと、
SaaSを代表するサブスクリプション型のサービスのように
月ごとの契約や請求が発生しない(=解約リスクが少ない)ので、
CSよりもマーケ・セールスに比重を置いた事業運営をしていました。

そんな体制を、加速のために変えていきます。
一般的なCSがKPIとして追う契約継続率も追いつつ、
"より価値を高めていく動き"を求めていきます。
(Churn Rateで示すかまだ迷っているのは、mamaroが契約満了こそあれど、途中解約が過去発生していないので)

具体的になにやるの?(なにやってるの?)

ないんだな、それが(画像略)

実際にはないと言うと語弊が大いにあるので訂正しますが、
ゴールは"モノの価値を超えるサービス提供"→契約継続率の上昇。

そのための具体的な施策・戦術がまさに"ない"状態で、
高速PDCAによる千本施策乱れ打ちによって可能性があるものを育てていく、という所謂0→1ステージど真ん中です。

有形商材における顧客の価値

Salesforceに代表されるSaaSビジネスでは
導入決定がスタート地点、そこからのオンボーディング(活用支援)でLTVを伸ばす、が定石になっています。
自分自身もいくつかのプロダクトを導入してCSの方と触れることがありましたが、手厚さから質まで各社本当にピンキリだなと思います。

(余談)
個人的にズバ抜けて手厚いと思ったのはSalesforce。
顧客のビジネス理解、課題抽出力、解決策の提案まで非常に高いレベルで実施されていて、No.1 CRMの凄さを感じました。
あとは個人的な話になってしまいますがbellFaceの小林さん(a.k.a 教授)は同じく上記の3要素を学術的にアプローチされていて、僕の尊敬するCS像だったりします。

さて、話を戻して、こと有形商材における"カスタマーサクセス"を考えてみます。
実は購入(導入)された時点で成功状態になっているケースも多数あります。

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シンプルに書いたのでステレオタイプな気もしますが、
「最新のiPhoneが欲しい!」みたいな経験や、周りにそんな方がいた、みたいな事ありませんか?

今まで持ったことのないアイテムが欲しい、
現時点で最高のスペックの物が欲しい、というIT機器あるあるなこの話、
これこそが購入した時点でSuccess!という状態です。

基本的にはそのモノの機能やスペックに紐付いていて、
効果や活用、という要素が絡むと、購入した時点では達成はされておらず、その後の経過状況如何で達成されていく形になります。


もう少しmamaroに近い例で言うのであれば、
「座り心地の良い椅子」があったとします。

この椅子が届いた時点で、座り心地が想定した期待値通りの効果であれば顧客の成功という観点では達成になります。
プロダクトの品質や設計思想がそのまま顧客成功に繋がっている、というケースです。

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この時点で顧客成功に達しないケースを考えてみます。

例えば、「腰痛がひどく、座り心地の良い椅子に買い替えた」という場合。

座り心地が期待値通りであったとしても、この場合の成功は「腰痛の改善」になるので、導入がスタートというSaaSビジネスと似たような形式になります。
……が、ここで難しいのは椅子はあくまで椅子で、影響度合いはあれど
健康状態のフォローアップまでは行えない、という点です。

これが有形商材の難しいところで、製品の活用だけでは顧客成功まで導くことが出来ない、という事が往々にして発生します。

これまでは、その"成功まで導けない"部分を
顧客の声の収集→製品へのフィードバック、という対応で改善をしてきたのですが、昨今はIoT機能でよりリアルタイムな計測と追加サービスの提供が可能になりました。

腰痛がひどく、座り心地の良い椅子に買い替えた、という上述の方なら
「体重の掛かり具合を可視化し、正しい姿勢率が分かる」機能があれば、
初回の姿勢は20点、以降25点…35点……60点……とスコア改善を定点観測していけば腰痛改善まで導けるのかもしれません。

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mamaroにおける導入時に達成される顧客成功と、
導入時では達成されない顧客成功を考えてみます。

授乳室を新設するよりも圧倒的な安価、
施設内スペースや対応工数の圧縮、という観点で
「コスト削減」に繋がる提案である場合は導入時に一定の満足度が得られる事になります。

一方で、mamaroを導入することで集客や売上に繋げたい、という場合は
導入時にはその達成はされず、その後の経過観察も経て達成をしていく形になります。

▼だいぶざっくり書いてます

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特に効果の部分、設備="モノ"という観点だけではフォローアップができないゾーンですが、mamaroには内部モニターやアプリ連携などの武器があります。
"サービス"としての価値を発揮して、顧客の成功に向き合っていこう、というのがCSチームの命題です。

飛躍した話ではありますが、mamaroを設置すると売上が上がる、みたいな魔法の箱ではないのは事実です。
ただ、その魔法を構成する要素(―――例えば滞在時間の増加や顧客満足度の改善など)には十分に寄与できる要素があり、過去のリンクする分析データもあります。
それらのデータを今以上に収集し、消費行動との因果関係を立証していくことで"魔法の箱"にしていく。そんな事をやっています。

※全然関係ないですが、文中に(―――例えば)って入れると、ちょっとおしゃれな海外小説の和訳みたいじゃないですか?

有形商材のCSは事業開発職と言っても過言ではない

ここまでの話を総括すると、
SaaSビジネスのCSは活用支援〜コンサル、という立ち位置であるのに対し
有形商材のCSはコンサル〜事業開発という少し違うポジションなのではないか、と個人的に感じ始めているところです。

もちろんSaaSビジネスのCSの方々も開発部門にフィードバックをされていると思いますが、導入がゴールになりにくい形態だからこそオンボーディング要素がなくなる事はないと思っており、

逆に有形商材はフィードバックが活かされ、製品がより良いものになればなるほど他社(他者)事例がそのままオンボーディング要素になり、この領域は圧縮されていく、そんなイメージを持っています。

こんな記事を書いている最中にも、
「自社にとって有益なデータは何か?」というテーマで情報収集や分析を現在進行系で行っていたりします。

当然すべてのプロダクトのCSが(更に言うなら誰もがCS目線を持つべきですが)事業開発的な目線を持ってしかるべきなのですが、
その中でもより色が強い、という感覚値です。

顧客・自社・そしてユーザーにも"良いモノ"であり続ける

最後に、mamaroというプロダクト・サービスの特徴であり、
会社のミッション(All for mom. For all mom.)でもある通り、
最終的にはユーザーであるママに選ばれ、使い続けてもらえるものでないと意味がありません。

ビジネスなので利益の確保は当然の至上命題。
その上で、ママが抱える課題が解決され、Happyな世の中を作っていく。
更にプロダクトを導入する企業・施設にも有益な効果がある。

そんな「三方良し」な世界を、より拡げていきたいと思っています。


ソーシャル・ビジネスは非常に面白い領域だと個人的に感じています。
ビジネスという仕組みで社会課題を解決していく。
やればやるほど、ダイレクトに感謝の声が届く。
こんなやり甲斐のある仕事はないです。

気の向くままに長文を書いてしまいましたが、
ぜひこの事業領域、事業フェーズに関心のある方はご連絡をいただけたら嬉しいです。
2021年後半、アクセルをさらに踏んで、今までより早いスピードで世界を変えに行きます。

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