見出し画像

脳震盪と不安感と下顎骨


今週は思うことがあり、殴られることと殴ることに慣れたいと思ってボクシングの練習をしている。


結果、悲しいことに殴るより殴られているほうが多い感があるのだが涙、それはともかく笑、私の仕事、オステオパスという徒手療法家としてと、またフィジカルトレーナーとして思うことがあったので書いておきたい。


ご存知の通り、殴られることによって脳が揺れる。
脳は硬い頭蓋内に入っており、脳脊髄液というリンパ液に近い液体で満たされている。


この構造はスーパーで売られている豆腐が、柔らかくても崩れないようにパックと液に守られている状態に近い。


私がアメリカで人体解剖した時の検体の脳は、防腐剤が届いてなくきちんと固定されておらず、頭蓋を電ノコで開けた時、硬くならずにプリンかゼリーのようにプルプルしていた。


この脳が外からの衝撃で揺れて、頭蓋の壁に打ち付けられることでダメージを負うことを脳震盪という。
頭痛、めまい、ふらつき、集中力の低下、感情変化などの症状を起こすとされている。


さて、多少であっても殴られているここ数日の私だが、小さな程度だが頭痛と倦怠感そして感情の変化の3つを感じていた。


どれも大したことではないのだが仕事柄、日頃から自分をモニターするクセがあるから気が付いたのだと思う。


この3つのうちの頭痛は、痛いは痛いのだが、痛む疼痛というより、顔の中央奥の方で何かが引っかかってるような違和感、というほうが近いかもしれない。


もう一つの倦怠感は横になりたい、休みたい、今日は早く寝ようかなというような感じ。


最後の感情の変化は些細なことが気になるようになっていた。
この気になりは、今した自分の反応で相手はどう思うだろうとか気になったり、実は何か失敗していてそのことを見透かされてるんじゃないだろうかといったものなど。


なぜだか分からないがそういった不安な感情が湧くことを、通常の意識から俯瞰して感じていた。


私のことを知っている人ならわかると思うがこの3つのどれも珍しい。


頭痛は二日酔いくらいでしかしたことはないし、多少疲れてしんどくても酒は飲むし、小さなことには着目するがいちいち不安など感じはしない。


そんなに殴られたわけではないが他に思い当たることもなかったので、打ちどころが良くて軽い脳震盪なのかなと思っていた。自分的には思い当たることがあって、頭痛くらいは自分で治せるだろうと下顎骨の調整をしてみた。


するとそれをした途端に頭痛だけでなく、倦怠感とおかしな感情の変化が消失した。


この現象自体は珍しいことではない。
下顎骨と頭蓋骨と頚部、および平衡感覚と姿勢と心身状態には密接な関係がある。


だから以前から、精神系の症状のあるクライアントがオステオパシーを受けた後に、頭がスッキリした、不安感がなくなったと感想をもらうことはある。


しかしこうして自分で体感するとは思わなかった。
(感情に関しては、個人的には今週初めにあったストレッサーの件も相まっていたかもしれない)


脳は感覚神経がないから疲労感は脳自体に感じられない。
だから今回の脳震盪の症状でもある倦怠感は、脳震盪気味で脳が休みたいサインを出しているのかなと考えていた。先ほどの不安感、感情の変化も同じく脳からの休めのサインなのかと俯瞰して感じていた。


しかし結局は、下顎骨の調整で頭痛も感情も倦怠感も消失し元に戻った。


私の臨床的にも、成人してからの頭頸部のダメージや歯列矯正で、頭痛や頚部痛や感情の不安定、食欲不振などの不定愁訴のクライアントを診てきたが、今回の自分の件もこれに近い。


つまり適切な施術で回復が優位に早くなるといえる。


脳震盪のことを勘案する必要はもちろんあるが、不安感や情緒不安定を感じる人は脳神経系の問題だと決めつけずに一度相談してほしい。下顎骨や姿勢、平衡感覚が原因かもしれない。

人によってはメンタル関係は、相談したり施術を受けづらいかもしれない。


しかし断言するが、決してメンタルが弱いからそうなってるわけではない。構造的にそうなってしまっている。ブレーキのワイヤーが切れていたらどれだけの気合と根性で一生懸命に握ったところで、ブレーキは作動しないことに似ている。

以前、ダチョウ倶楽部の上島竜兵さんが自死された時、頸性うつという言葉が世に出てきた。私は真相を知る由もないが、仮にもしそうだとして、そしてもしこういった治療を受けてないとしたなら、たらればであるが受けていたら結果が違ったのかもしれない。もちろんただの憶測であるが。

しかし一つ言えるのは、科学や医学、また運動学は、ある意味で運命を変える力があるといえる。
多くの人へオステオパシー、そしてコンディショニングが力になれればなによりだとあらためて実体験した出来事だった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?