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背骨のアーチと筋トレ【3】~身体に調和を持たせる筋トレ~


背骨のアーチと筋トレ【2】 の続きになります。

今まで同様にバーベルのバックスクワットをイメージしていきます。


【2】では、

・脊柱のアーチが適切でないと股関節が上手に動かないということ
・脊柱のアーチを適切にするためには52個ある椎間関節と、それに付随する筋が協調して動いている必要があるだろう

というお話をしました。


【1】では、

・脊柱のアーチがあるからこそ力学的に重力や筋トレやウェイトトレーニングの負荷に適切に耐えられるだろうということ
・それを踏まえた筋トレが、身体に調和を持たせる筋トレになるだろう

ということをお話ししました。


これらのことは例えばスクワット時に見た目的にパワフルに稼働しているのは股関節であっても、身体全体が協調して動いているという状態で、


確かに歯を食いしばりながら挙上しているかもしれませんが、ある意味では一番「ラク」な状態を通っているとも言い換えられます。


ピラティスで出てくる「エロンゲーション」や、立位であればヨガでいう「グラウンディング」とも言えるのではないかなと考えています。


そしてこれらを繋ぐのが【1】でワードを出した、テンセグリティではないかなとも考えています。


テンセグリティとはアメリカ人の建築家、R. Buckminster Fuller(1895~1983)が発展させた概念で、支柱とヒモの張力の組み合わせで三次元的に構造物を成り立たせるものです。


そしてこれを生体に応用して考えるバイオテンセグリティをSrephen M. Levinが考案し、分子レベルから脊柱レベルまですべてのレベルで応用できるとしています。


私の現場レベルの経験でもバイオテンセグリティを感じることは多々あり、知った時は「なるほどな」という感じでした。


「脊柱のアーチを適切に維持するとき、バーベルを肩に担ぐスクワットであれ、頸椎や頭蓋を切り離して考えてはいけない」ということを【1】で書きました。


これは

・自分自身の経験と、指導経験、臨床経験
・軸骨格はもとより身体全体がテンセグリティであるというバイオテンセグリティの概念
・アナトミートレインにある筋膜ラインの中で頭頚部と上背部に付着しないのは、ファンクショナルラインのみ

ということから考えています。


ちなみにファンクショナルラインの特徴を確認してみると、

・立位姿勢への関与は少ない
・静止立位姿勢以外の時の強力な安定筋になる
・上肢の安定が必要な時は下部が、下肢の安定が必要な時は上部がバランス保持に機能する

ということが挙げられます。


これらのことは、例えばスクワットやクリーンを一つとっても、スポーツや競技として行うものと、フィジカルトレーニングとして行うものに違いをもたらす理由付けになるのではないかなと思います。


テンセグリティはとても重要で、今まで見づらかった部分に光を当てるものだと思います。しかしこれが全てではもちろんなく、筋膜ラインなども同じで、使い手次第なのでしょう。


(背骨のアーチと筋トレ【4】~シャーシとエンジン~)



染谷 清行


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