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メンタル面と筋膜と【1】


オステオパシーでは、精神衰弱の反射点が肩甲骨の内側縁付近の筋膜上に現れることがあるといわれており、これはチャップマン反射という名前で体系化されています。


このチャップマン反射は「内臓から脊髄への求心性インパルスから続く、交感神経系支配領域の体性反射」と考えられていて、皮下や浅筋膜、もしくは深筋膜、骨膜に生じます。


ここ最近の臨床で、主訴がメンタル系の方と、随伴の症状としてメンタル系の症状が現れている方を、何名か施術する機会がありました。


その方たちが多く共通してた点として、左距腿関節に底屈病変があり、右の肩甲骨の内側の筋膜に浮腫感がある、ということでした。


母数は決して大きいわけではありませんが、ふと考えたのは「メンタル面・右肩甲骨の浮腫感・左距腿関節底屈病変に関連性があるのか?」ということです。


もちろん各々で全く違う変調もありましたので、このことが対メンタル面への主だった原因になっている、と思ってるわけではありません。


しかし今後のより良いアプローチにつながるよう、ここで少し考察してみます。


今回のクライアントの中で特徴的だったのは、精神系の疾患をお持ちの方でした。


検査すると、この方は全体的に筋膜の捻じれがあり、特に顕著だったのは頸部から後頭部まで続いた強い捻じれと、左距骨の骨内ストレインからの距骨の捻じれ、それと左の中間楔状骨の亜脱臼でした。


施術でのリリースの反応は、浅・深の筋膜のどちらもありましたが、おそらく浅筋膜の反応のほうがいくらか大きかったように思います。


その日の施術の後、一か月ほどして再来院され、不安感がだいぶ減った、歩行の時にあった左足の突っかかりが無くなった、と良い表情でおっしゃられていて、実際に筋膜の捻じれや距腿関節の改善がありました。


筋膜の繋がりは、アナトミートレインのスパイラルラインだと、足底から後頭部へと筋膜の連続性があるとされています。


(私が数年前に行ったウェストヴァージニア・オステオパシー医科大学での、人体解剖で見た上後鋸筋や腹斜筋などの筋の層や筋膜の繋がりを考えると、きれいにセパレートされていない気もしますが、このあたりはまた調べられればと思います。)


スパイラルラインについては動画と訳を下に記します。

<スパイラルライン >

頭板状筋・頸板状筋

大・小菱形筋

前鋸筋

外腹斜筋

内腹斜筋

大腿筋膜張筋(腸脛靭帯)

前脛骨筋

長腓骨筋腱

長腓骨筋

大腿二頭筋長頭

仙結節靭帯

脊柱起立筋群

後頭骨
※おそらく頭半棘筋(=上項線と下項線の間)、頭最長筋(=乳様突起)



染谷 清行



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