コーヒーブレイク【深夜特急】
※以前、他のSNSで投稿したブックカバーチャレンジを加筆したものです。
【深夜特急】
沢木耕太郎の旅行記。
1970年代、インドのデリーからロンドンまでバスだけで行けるのか、という賭けを友達としたことから彼の旅が始まる。
この本のことはよく覚えていて、自分が社員だった時代に専務が、「20代のうちに読んで、薬にはなっても決して毒にはならない」と朝礼で話した本だった。
20代の社員は自分を含めてそう多くはなかったから、これは自分にも言っているんだろうなと思って読み始めた。確か24歳くらいだった。
人はこうなれば良いなとか、こう過ごしたいなという青写真があると思う。聞き慣れた言葉で言うと人生の舞台だとか、ストーリーというのだろうか。
当時は気付かなかったが、たぶん自分はこの本に強烈に影響されて、そのとき頭の奥の中にある回路が、頭の奥にある青写真集を引っ張り出してきて、今の人生のストーリーを組み立て、駆り立てたのだと思う。
それから様々な場所で様々な出会いがあった。
トレーナーになり、スカンジナビアに行ったり、オステオパシーを勉強したり、アメリカに行ったり……。
こういったことに気付いたのはつい最近で、もしかしてこの時に組み立てたストーリーは、12年をかけて既に終わったんじゃないのかな、と思う機会があった。
到着は終わりというよりも成長なのだと思う。
この本の中に、その意味のヒントが多くあると思う。
もしそれをこの本から一つだけ抜き取るなら、やはり私が選ぶのは「ワレ到着セズ」だろう。
染谷 清行
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