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まちの活性化に商店街は必要か・・・。

そこには王さまや皇帝の宮殿がそびえたち、ひろびろとした大通りや、せまい裏通りや、ごちゃごちゃした露路(ろじ)があり、黄金や大理石の神々の像のある壮麗な寺院が立ち、世界じゅうの品ものがあきなわれるにぎやかな市(いち)がひらかれ、人びとがあつまってはおしゃべりをし、演説をぶち、話に耳をかたむける、うつくしい広場がありました。

「モモ」 ミヒャエル・エンデ作 大島かおり訳

広がる大規模な商業施設

まちには便利で安全であるとともに何かワクワクするような場所や気軽に集まれる場が必要です。

今、大規模な商業施設があちこちで出店してきています。
映画館やカフェ、さらにはフットサルなどができるスポーツ施設も一緒にくっついてきてくれます。
もちろんゆったりとした大型の駐車場も。

                   大規模な商業施設・・・駐車場も広いです。

そして、大規模な商業施設のもと、全国展開しているチェーン店もご一緒してくれるので、来場する消費者にとってみては、品ぞろえは十分であり、一日いても楽しめるという、まさに至れり尽くせりというところ。
まちづくりにとって、大規模店舗の登場はまさに活性化の強烈な起爆剤になろうというもの。

しかし、一方で別の見方も。
大規模な商業施設の登場により今まで存在していた小さな小売店は、かなりの打撃をくらいます。
たしかにレコード店やカメラやさんが時代の流れとともにどんどんなくなっていくように仕方ないことなのかもしれない。
まちの魅力は大規模な開発でしかできないものでしょうか・・・。

昔ながらの商店街を活かす

昔ながらのせまい裏通りやごちゃごちゃした迷路のような道には、この先に何があるだろう・・・という好奇心を引き出す魔力があります。
火災がおきれば火が燃え移りやすいとか、消防車が通れないとか問題はありますが、まちには文化を感じるという魅力も必要です。
まちづくりにおいては、まちのお店が集まった商店街を活かしたまちの活性化の手法も不可欠です。

谷中銀座の路地

そんな考えを実際に形にした良い事例がありました。
それが、台東区の谷中銀座 
 (〒110-0001 東京都台東区谷中3丁目13−1)

噂はよく聞きますが、実際に行ってみると規模は、大きくありません。
商店街の長さも170メートル程度。
普通ですね。

しかし、昔ながらのお店を改造したり、ちょっとだけ手を入れてそのまま使ってみたり、下町の風情を残しながらもとても魅力的な街となっています。
お客も日本のみならず海外からもやってきます。台東区ならではの文化人のいた歴史もあるのでしょうけど、下町の魅力を体験するという場にもなっているわけです。

まだ朝早い日曜日の谷中銀座
リノベーションされたジェラート屋さん asatte
asatteの裏庭 囲まれた小さな裏庭がおちつきます。

一般的な先の大規模な商業施設ではめちゃくちゃ便利で品揃えも豊富ですが、お客様は周辺の住民の方々がほとんど。そりゃ、あちこちに大規模なスーパーがあれば、そうなるのは当たり前ですが、逆に言うとどこに行っても同じ風景が展開されるわけです。

近代化が進み、町も建物もよりよいものを目指して、改良されていきますが、文化という側面を見落としてしまうと、便利で安全な街はできますが、どこに行っても同じ街並みとなってしまう恐れがあります。

結局どちらがよいか・・・

こうして見てみると、利便性だけを考えれば大規模な商業施設の方が軍配はあがりそうですが、まちづくりは利便性だけではなく実際にそこに住んでいる住民がいます。むかしながらの文化だってあります。

まちの活性化の手法も大型大規模な商業施設が主導するばかりでなく、小規模な店舗の集積による商店街を活かしたまちの活性化を織り交ぜていく必要があるのでしょうか。


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