自分のご機嫌とり。
たまの休日。
子どもたちは、朝から従兄弟と遊びに出掛けた。
夕飯まで帰らない。
久しぶりの夫婦のみの休日となる。
午前中はフライト日和だったので、裏山へパラグライダーをしに出掛けた。
天気は良いが、いまいち上昇気流が弱い。そんなに高くは上がらなかった。
グライダーを替えてから、仲間と上昇気流に乗ったときに上げ負けることはなくなった。
しかし、ランディングが下手くそになった。
浮きが良すぎるせいだ。
フレアをかけるタイミングがまだ掴めていない。
ダンナに私のランディングを録画してもらい、どうすればうまくいくのか研究した。
★
午後、帰宅。
録画をしておいた番組を観ながら、夫婦水入らずでとっておきのオヤツを食べようと思っていた…が。
私が楽しみにしていた録画番組が消えているではないか。
ダンナが先に観て、消してしまったとのこと。
私、憤慨。
ダンナに当たっても、消えたものは戻らない。
そう分かっていても私のプンスカは収まらないので、家を出た。
★
徒歩で行ける、図書館へ行った。
本を読んで、自分のご機嫌をとろう。
読みたかった怪談の本は、あいにく貸出中。
私以外にこの本を読みたい人がいたのかと、ちょっと感動する。
予約をした(他に予約はなかったから、特に人気ではないらしい)。
じゃあ、何を読もうかな。
「旅行記」の棚が目に入った。
海外旅行か…。
職業柄、まとまった休みを取りにくいので、海外旅行なんて、今は夢だ。
同業者で、数年前に退職したパラグライダー仲間は、今まさにヨーロッパフライトツアーを楽しんでいるところ。
「今回はチロルを飛んでいる」と、壮大な景色の中を飛んでいる動画とともにLINEがあった。
何ともうらやましい。
「夜さんもさ、体を壊す前にさっさと引退しなよ。」
ええ。子どもらが巣立ったら引退します。
ヨーロッパ旅行記の棚を見る。
フランス生活について書いたエッセイが目に入った。
借りることにする。
★
本を抱えて、敷地内のカフェへ入った。
パリ在住の方が書いた、日常生活のエッセイ。
キレイな写真と共に短い文章で日々の生活が紹介されており、読みやすい。
パリ、一度だけ訪れたことがある。
初めての土地だけど、なぜか初めての気がしない…と、旅行中感じていた。
ああ、そうか。大阪に似ている。
現地の人は親切で人情味がある。私がフランス語を話せずとも、どんどん話しかけてくる。
場所がわからないと、連れて行ってくれた。
観光地から少し離れると、下町風情がある。
…そんなところが「大阪っぽい」と感じた。
もちろん、自分比。
★
気がつくと、家を出て3時間も経っていた。
おいしいオヤツと楽しい本で、私のプンスカも収まった。
家に帰ることにする。
ちょうど、子どもたちも帰ってきた。
みんなで夕飯にカレーを食べる。
子どもたちは「勝手に録画を消したお父さんが悪い。」と、私の味方になってくれる。
「どうやってお母さんのご機嫌を取るの?アイスとかケーキとか簡単なもので謝罪しても、お母さんには通用しないよ。」
私は何も言っていないのに、父親に難問をふっかける長男。
ダンナ、どうしてくれるのか、楽しみにしておこう。