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8月チェロレッスン②:焦り

まだまだ暑いので、ヘッダーはちょっと涼しく先日登った山の写真を。

今回のレッスン日も暑かった。
大きなチェロを背負っていると、余計に暑く感じる。

レッスン室はエアコンが効いていて、涼しー♪

レッスン室では先生が得意のバッハ無伴奏1番サラバンドを弾いていた。
私が挨拶しても演奏は止まらない。集中しているのだ。きっとどこかで弾くのだろう。

私が準備をしていると、演奏を終えた先生が
「はい。頼まれてたヤツ。」
と、CDケースを手渡してきた。

あ。イッサーリス。アダージョが入ったCD。

イッサーリス、ずいぶん若いな。

「ありがとうございます。」
「ところでお前、発表会本番前、2週間丸々レッスン入れないんだって?」

あらかじめ、LINEで伝えていた。

「はい…7月にオケ本番あったじゃないですか。それで、6月の当直を減らしてもらったんですよ。そのツケが9月10月に来ました。
だって、発表会は例年通りの11月下旬だろうと思ってたから。」

「だよなぁ。1ヶ月も早い。」

発表会前日のピアノ合わせの日も、仕事が入ってしまった。

さて、困った…ということで、レッスン前に二人でカレンダーと睨めっこする。

「僕も9月は結構演奏の予定があってねぇ…。」
という先生の事情もあり、日程を組むのが厳しい。

そんな訳で、私だけイレギュラーな日程で、9月にレッスンを詰め込むことになった。

「お前、大学オケのほうは、来週で本番終わるんだよね。そうしたら、コッチに専念できるはずだよね。」

大学オケは、ベートーヴェン交響曲第6番は仕上げたけれど、チャイコフスキーの1812年に手こずっている。フラット6つを演奏するのは、私は初めてではなかろうか。

「ロビコンもあるんですけど…そうですね。バルギールに専念できるようにします。」
「そうしてくれ。」

ピアノ合わせをしないわけにはいかないから、一番最後の時間に職場から駆けつけることになった。

           ★

レッスン開始。

先生、メトロノームを70にして鳴らす。
「このテンポ。分かった?」
私がうなずいたのを見て、メトロノームを止める。

「じゃぁ、最初から序奏まで。繰り返しはなし。」

頭の中のピアノを70のテンポで鳴らし、ピアノを2拍聴いてHを弾く。

この曲、改めて楽譜を眺めると、2/3が高音ポジションじゃないか(辛い)。

弾き終えると、先生の指導が入った。
「21小節から3小節間の6連符はもっと早いよ。」
先生がお手本を弾いてくれる。

早いからといって、右手の弓を素早く動かすと、掠れた音が出やすくなってしまう。要注意。

「次。展開部。」

ここからは、序奏の切ないメロディとは打って変わって、カッコいい部分だ。

最初の2小節弾いただけで、先生のストップがかかる。

「最初からフォルテって書いてあるだろう。そんな恐る恐る弾くな!」

はい…。

「46小節の1拍目、Fじゃなくて、どう見たってFisだろう!何でそんなところで間違えるんだ。」

「分かってます!」
「僕に怒るな!」
「怒ってません!」

頭では分かっているのに、間違えてしまう自分が腹立たしいのだ。

なぜこんなに熱くなってしまっているのか、理由は一つ。
先生も私も、時間がなくて焦っている…。

先生も熱くなってしまっていることに気付いたようだ。
長いため息をついて、諭すように言った。

「49小節からは難しいのわかってるから。今はテンポ落として弾いていいよ。
ただし、音程は確実に。拍は正確に数えること。」

私が指示に従って弾いているところに、先生が指示を重ねてくる。
「ここからはエスプレッシーヴォ(表情豊かに)…そうそう、そんな感じ。
51小節からドルチェ(優しく、甘く)、ささやく感じで…。」

ああ、この前先生が私をからかって、耳元でささやいたみたいに、ですか…。

…と考えたところで、思わずゾッとしてしまった。

私が突然演奏を止めたので、先生が訝しんだ。

「どうかしたか?」
「いえ!何でもないですッ!!(鳥肌)」

「そうか?じゃあ次回は展開部後半やるよ。運指は好きにしていいから、夜のやりやすいように考えて弾いてみて。」

分かりました。

先生が自分の楽器のエンドピンを仕舞いながら
「コレなら発表会に間に合うんじゃないか?」
と言った。

私、片付けの手を止めた。
「ホントですか?!」
「うん、序奏がちゃんと出来てる。ということは、ほぼ同じ終結部も大丈夫だ。」
「良かった〜。」

ホッとする私を見て、先生は私の超楽天的な性格を思い出したのだろう。
少し厳しい口調で言葉を添えた。
「ただし、お前がちゃんと練習に取り組んだら、の話だ。」

浮かれている場合じゃないってことですね…。

「アマオケは発表会終えるまで完全に休むって話だったな。大学オケが終われば、ほかにさらう曲はないな。」
「はい…。」
「専念しなさいよ。」
「…分かりました。」
念押しされてしまった。

さて、どこまで頑張れるかなぁ…。







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