見出し画像

チェロレッスン9月2回目:お礼のハグ!?

私の記事はほぼ日記です。主に自分で読み返すために楽しんで書いています。
社会倫理的にどうか?と思われるようなことも書いていますが、家族の理解を得ているものです。
お読みくださる皆さまは、どうかフィクションとして楽しんでご覧いただけますと幸いです😊

レッスン室に入った時から、先生、いつもの場所に鎮座してニヤニヤしていた。
私は小さくため息をついた。

「この前のコンサート、来るなら言ってくれればチケット500円引きで売ったのに。」

私は内緒で聴きに行くつもりだったのだ。
なのに、アッサリ見つかってしまった。

「別にいいです。500円はランチ代にでもしてください。」
私は楽器を準備しながら答えた。

「で。どうだった?」
コンサートの感想のことだ。
…それ聞かれると思ったから、見つかりたくなかったんだけど。

「ハープの生演奏、初めて聴きましたけど、やっぱり素敵ですね。解放弦がフラットなんて知りませんでした。
同じ弦楽器だからかな、チェロとの相性はとてもいいですね。ピアノの伴奏は時にうるさく感じますが、ハープは音が響き合ってちょうどいい。」

先生、うんうんうなずく。
「実は僕もハープとのデュオ、初めてだったんだけど。相性の良さを感じたよ。」

「それから…」
言うべきかどうか迷ったけれど。

「先生の最初の無伴奏、あんな弾き方初めて聴きました…教えてもらったのと全然違う。正直に言ってカッコよかったです…私もあんなふうに弾きたい。」

あれから毎日同じ曲を弾いているけれど、ちっとも迫力が出る弾き方ができない。弾くたびに悔しくなってしまった。

先生、やおら立ち上がって、椅子に座っている私の背後に来た。
私の右後ろに換気窓がある。いつものようにそこを開けるのかな、と思った。

背後から、私が抱えている楽器ごと、先生の両腕が回された。私は一瞬何が起こったのかわからなかった。

「センセ、なんですか、コレ?」
「褒めてもらったから。感謝。」
右肩から先生の声。
「楽器ごと抱えられたんじゃ、逃げらんないじゃないですか。」
「逃げたいの?」
「当たり前です。」
「兄妹だとフツウだとおもうけど。夜は親兄弟いないからわかんないか。ほら、僕は兄みたいなものだろう?」
「兄というよりは、口うるさい父親だと思うんですけど。」
「そんなに歳、離れていないよ。君を育ててるんだから、口うるさいのは仕方がない。」
「センセの腕、重いです。」

先生離れた。

「言っておきますけど、センセがカッコいいって言ったんじゃなくて、演奏している音と姿がカッコいいって言ったんですからね。」

「はいはい。」そう言いながら、先生は換気窓を開けて元の椅子に座る。

「僕みたいに弾きたいって言うけれど、夜だって出来るようになるよ。出来るように教えてるんだもの。」

えー…、全然そんなふうに思えない。

「僕とT先生が君に教えているのは基礎、つまり土台だね。土台がしっかりしていれば、どんな音楽にしていくかは君次第。音楽はね、本来自由なものなんだよ。」

「でもセンセ、いつも楽譜通りにって言うじゃないですか。」

「それはそう。作曲家の意図はちゃんと理解しないと。その上で、表現していくものだから。」

むずかしい…。

「急ぐことないよ。そのうちわかるよ。」

ステージでカッコよく弾くためにはどうすればいいでしょう?

「場数の違いだと思うよ…僕だって緊張しないわけではないんだけど。慣れだよ。
前にも教えたと思うけど、魅せる弾き方はあるよ。発表会前にそれもやろうか。
でも、僕からすれば、夜がステージに立ったときの豹変ぶりはスゴイとおもうけど。集中力がハンパない。」

一度、、ものすごい転け方をしたことがありますけどね😅

「…センセ、ダメ出しばかりじゃなく、いつもそうやって私を褒めてよ。」

「褒めてるつもりだけど。」
「ないない。じゃなきゃ、伝わってない。」
「わかった。気をつけるよ。」
「しゃべりすぎました。レッスン時間、あと30分しかない。」
「この後誰もいないから、延長するよ。」


前回から無伴奏3番サラバンドをやっている。

私なりに表現を考えてきてレッスンに臨んだ。

曲の中盤はポジション移動が激しい。
一度音程がズレると、芋づる式にほかの音程もズレてしまう。
楽器が変わったため、ポジションの確認のために自宅練習に昔やった教本を取り入れるようにしたのだが…。

先生と一緒にズレの原因がどこなのか探した結果、10小節7拍目の2ポジションのド、12小節1拍目の2ポジションのラが確実に取れれば、その後は問題ないことがわかった。

とすると、私は2ポジが苦手なのか。

課題が明確になるため、やはり先生のレッスンは欠かせない。

「アコード(和音)はとても美しく出来るようになったね。コレが出来るのなら、早く仕上がるよ。アコードがポイントの曲だからね。」

お、早速具体的に褒めてくれた。 

「褒めてくれたら励みになります。でも私はハグはしませんからね。」

はいはい、と先生苦笑いする。


10月のレッスン予定を合わせる。
が、なかなか先生と日程が合わない。
私に休みが無いためだ。

「お前、10月からずいぶんと仕事が忙しいなぁ。」
「そうなんですよ…オケ練もあるから尚更です。実は発表会当日も…」
「まさか、出られない?」
「いえ、自分の出番終えたら、速攻着替えてオケのリハへ行きます。」
「昔の紅白とレコード大賞のような?まるで売れっ子ソリストだね。
発表会なんだけど、お前がトリだから。」

はいーー!??

「無伴奏、夜だけなの。伴奏のピアノの先生、用事があって早く帰らなきゃいけないから。伴奏のないお前が最後。」

「お前はピアノ伴奏曲はダメ。無伴奏一択!」と言ったの、先生ですよね…ヒドイ😭

無理やり日程合わせたら、レッスンは一週間後になってしまった。


あのハグは、なんなんだ!?

帰宅して、「バックハグ 男性心理」でググった。


“自分だけの彼女”になってもらいたい気持ちがあふれている場合に、男性はバックハグすることが多いです。


兄妹とか言って、ぜんぜん違うじゃないか!!
しかも、ダメなやつじゃん!!!

来週先生に会ったら、釘刺さないと!!