#61 こんなリズム練習、していませんか?効率的で内容の濃いリズム練習のススメ〜エチュードOp.10-8を例に〜
こんにちは、さいりえです。
第61回、オンラインレッスンサロン note のテーマは「リズム練習」について。
という方も多いかと思いますが、そんなリズム練習について、もう一度じっくり考えてみたいと思います。
・やってしまいがち?良くないリズム練習の方法
・リズム練習をするときに気をつけたいポイント
・効率が良く、内容が濃いリズム練習のポイント
をご紹介します。
最初にお話しておきたいのですが、わたし個人的には、リズム練習は必ずしもいつも行うわけではありません。というか、あまりやりません。
限られたケースで、考えて採用します。
リズム練習だけにこだわらずに、そのときどきで有効な練習方法を考えられることが大事です。その辺りについてもお話しています。
今日はショパンのエチュード Op.10-8 を例にあげています。
( 楽譜は IMSLP より引用 )
前半のテキスト部分はオンラインレッスンサロン会員の方以外もご覧いただけますので、あなたの練習のお供にぜひ一度ご覧ください。
ついついやってしまいがち?良くないリズム練習って?
まずは、「良くないリズム練習の方法」についてお話します。
こんなリズム練習のことです。
①ただ指を動かしている
②このリズムを何回、次はこのリズムを何回…と、繰り返すことが目的になっている
③リズム練習になると、途端に非音楽的になる
④いつも同じリズムで練習している
百害あって一利なし…とまでは言いません、一利くらいはあるかもしれません。
が、仮によくなる点があったとしても、かなり無駄な時間が多くなりますし、もったいないです。
とくに、「同じリズムで曲の最初から最後までダーッと練習する」はよろしくないですね。集中力も注意力も削がれますし、曲の姿が変わってしまいそうです。音楽的に弾くなら良いかもしれませんが、それならリズム変奏しなくて良いと思います。
リズム練習って、平たく言えば「速さ(音の長さ)の組み合わせ」です。
遅い部分で、待ったり聴いたりしやすく、速い部分を限定することで注意しやすくなる、などの利点があります。
しかし、ただ思いついたリズムを選んで弾くだけでは、「速さの変化」のみの練習になってしまいます。
速さの変化にも「考えて練習する」ことが大事ですし、また速さの変化以外の練習にも大切なことが山ほどありますよね。
▼速さの変化と練習については、こちらの記事もご参照ください▼
では、次の項目で、「リズム練習をする際に気をつけたい、大事なポイント」についてお話します。
では、「良いリズム練習」って?大事なポイント
リズム練習で大切なことは、
です。
具体的なポイントを4つにまとめました。
①何を改善したいかをハッキリさせる
②その目的に合ったリズム練習で
③技術アップのためには、リズムを変えるだけが選択肢ではない。
④リズム練習でも音色や音楽の流れを重視する or 目的が明確で、必要なければこの限りではない
くわしくお話していきます!
①何を改善したいかをハッキリさせる
リズム練習によって、どうなりたいか?を、考えてハッキリさせます。
たとえば
・3-4の指がすべる、浮く
・思っている「音のまとまり」にならない。特定の音だけ飛び出したりする
・もっとくっきりした発音にしたい
・ミスを減らしたい
・16分音符のリズム感が甘い。キビキビ弾きたいけどうまくいかない
などです。
そのためには
が不可欠です。
(なお、音色をもっとこうしたい…とか、もっと音を聴きたい…というのが目標の場合は、そもそもリズム練習を選びません。ですので、ここではそういう例は省きます。もちろん音を聴きながら練習するのですが!)
②その目的に合ったリズム練習で
目的がハッキリしたら、その目的に近づけるようなリズム練習を行います。
これは、
の両面で意識する必要があります。
具体例としては
・指をとどめる、音を安定させるための練習
・打鍵スピードを速くするための練習(ゆっくり準備して速く/短い準備でも速く/音がつながっていても速く、など各段階)
・特定の音を目立たせるための練習
・ポジションを確認し、手に覚えさせるための練習
・複数の音を理想どおり連ねるための練習
・複数の音を分離させるための練習
などなど…あります。
また、リズムパターンを考えるときには
の2種類を考えてみてください。
①のリズムで丁寧に準備したり、音をじっくり聴いたり、タッチを確認したりして
②のリズムでは、最終的に弾くであろう速いテンポでも、やりたいことが実現できるように意識します。
これについては、動画のほうがわかりやすいと思いますので、この後の動画でご確認いただければと思います。
③技術アップの練習は、リズムを変えるだけが選択肢ではない
技術をアップさせよう!というときに「じゃあリズム練習!」となる方もおられると思うのですが、かならずしも、決まったリズムパターンを選択して練習するだけが選択肢ではありません。
上にも書きましたが、リズム練習は「速さ(音の長さ)の変化」です。
それを利用して、準備や確認、意識や感覚の変化・実験に役立てることができますが、それはあくまで一部の方法です。
いろいろな方法があります。
・アーティキュレーションを変える
・テンポを変える
・特定の音に力点をもってくる
・特定の音グループを反復したり、行き来したりする練習
・音を保持する練習
・打鍵のスピードや手の動きに注目した、単音もしくは少ない音での練習
・音を出さないで確認する練習
ほか…
①、②でお話してきましたように、「いまの課題と目的に合った、いちばん良い練習方法」をその都度考える習慣をつけていただければと思います!
④リズム練習でも音色や音楽の流れを重視する
基本的には、
・各音の持つ個性や性質
・表現したい曲の音色や音楽の流れ
をもって練習します。
もっと具体的に言えば、タッチや和声感、大きな拍感、フレーズ感などです。
これには以下の2つの理由があります。
ただし、かならずしも必要でない場合もあります。
・かなり特化した内容について行うとき
・「柔らかい音色を出したいけれど、あえて今だけ硬めのくっきりした打鍵で練習している」など、逆のタッチを練習したいとき
・手の癖や歌い方の癖、音ムラなどが気になるので、一度均質に弾いて土台を確かにしたいとき
…など、自分で別の目的が明確にできる場合です。
このあたりもケース・バイ・ケースになりますので、試行してみていただければと思います!
ここまでのポイントを動画で解説します
では、ここまでお話した「良くないリズム練習」と「リズム練習の大事なポイント」を動画でもお話・音出ししていきます。
動画の中では、ショパンのエチュードOp.10-8 の冒頭の音型を取り上げて、具体例も挙げています。
ではどうぞご覧ください。
動画① 良くないリズム練習について(約4分半)
動画② リズム練習の大事なポイントと、リズムパターン・練習方法の具体例(約12分)
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