見出し画像

子どもが安心して通えるように

◇「〇〇さんから仲間外れにされた」「〇〇くんに叩かれた」子ども同士のトラブルに、教師として、あるいは親としてどのように対処していますか?

 子育てにも生かせるように、教師・保護者のどちらの立場でも分かるように書いていきます。
 ステップは3つ。聞く⇒指導する⇒経過観察する です。


1.聞き取り

 トラブルが起きた際、まず聞き取りをします。ここで不適切・不十分な聞き取りをすると、調べた結果全体に疑義がかかったり、保護者が聞いた話に改変されるリスクがあります。例えば、「娘に話を聞くと、本当はやってないと言っています」などです。

 教師や親といった立場による信頼関係を抜きにした聞き取りの技法について述べていきます。ポイントは記憶を汚染させないことです。

 記憶汚染とは、「どうせ、本当のことを言っても怒られるから黙っておこう」といった意図的な嘘や黙秘ではなく、「(そう言われれば)そうだったかも」のように記憶が組み変わってしまうことを指します。本人はいたって嘘をついている気はない状態です。「そう言われると」のように、聞き手側による推測や働きかけが多いほど、記憶汚染は起きやすくなります。

・危険性<大>➔誘導的な質問=「はい」か「いいえ」で答えられる
・危険性<中>➔オープンクエスチョン=5W1Hのある聞き方
・危険性<小>➔物語を語らせる質問=「~から~までの間で覚えてることを教えて」など

 普段、ご自身の問いかけ方をふり返ってみてください。聞く側よりも答える側の方が、言葉数・語彙数が多くなることが大切です。「学校が終わって晩ご飯食べるまでのことを教えて」と聞くと、聞き手としては聞きたいこと以外の話も出てくるのでもどかしさを感じるかもしれません。
 しかし、これはよい意味で聞き手の意図を感じ取られることなく聞き取りができる技法なのです。「~のところ、もう少し詳しく教えて」など、少しずつ焦点化していきます。

 特に、親としては子どもに寄り添いたくなる気持ちをぐっとこらえて、子どものナラティブな話に傾聴できるとよいです。

2.指導する

 聞き取り、事実確認を終えたら指導をします。ここが不十分・不適切だと、指導を受けた子が不登校になったり、ひどい場合は加害行為が再発したり陰湿化したりします。

 ポイントは自分の気持ちの対処方法を一緒に探す姿勢です。「悪いことをしてしまった」「もうしません」という言葉は反省としてあっても不十分です。なぜなら、適切な対処手段を学んでいないからです。

 どうすればよかったのか?次、同じような場面があったらどうするのか?ここを一緒に考える、教えるのが教師の仕事です。親の立場でも同様です。一緒に模索していく姿勢が大切です。

3.経過観察

 指導したらもう終わり、ではありません。経過観察を怠ると、トラブルが頻発化する可能性があるだけでなく、「またか」という負担感が生じます。

 「もう〇〇くんを叩いてないかな?」など、同じことをしていないか見るだけでは不十分です。単に我慢しているだけかもしれません。常に再発するリスクを伴っている状態と言えます。

 ポイントは指導の時に模索した適切な対処手段が身に付いているかどうかを見ることです。

 6秒ルールなどを自ら実践してクールダウンすることができている、などですね。身に付いていない場合には、本人と再度話し合い、できそうなことを模索し直す。スモールステップで試してみるという継続性が求められます。

 ここで、指導の難しさや手詰まり感を感じたときは危機サインです。心理や福祉方面の関係機関に相談するのも大事な手段です。

 教師一人で抱え込まないこと。家庭だけで抱え込まないこと。

 子どもたちが安心して生活できるように支援していきましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?