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Education Beyondの冬休み企画・見学ご報告

アドバンス・ラーナーの可能性を最大限に発揮できる社会の実現をミッションとして活動をされている一般社団法人Education Beyondの『【2023冬休み in 東京】チューターと共に、知りたいテーマをとことん深掘りしよう!』プログラムを見学させて頂きました。短いまとめではありますが、ご報告いたします。

Education Beyondの活動は以前ご紹介させて頂いた記事(こちら)をご覧ください。

このプログラムは、2023年春に東京で開催されたパイロット・プログラム「本気の自由研究~2023年春~」、さらに2023年夏に開催された「自由研究プログラム in 長野2023年夏休み編」をベースに改良を重ねて作られました。同時期に【2023冬休み in 長野】も開催されています。

主な対象は小学4年〜6年生で募集をされましたが、テーマなどを考慮して選抜し、今回は小学3年生から中学2年生までが参加されています。対象の分野は数学、物理、宇宙、化学、生物、プログラミング、哲学など多岐にわたります。参加希望者が自ら深掘りしたいテーマを持ち込み、大学生・大学院生・社会人のチューターと共に問いを深めて行くという内容です。

プログラムの内容とスケジュール

  • キックオフ (テーマ決め) 対面開催(12月10日):参加者とチューター陣が一堂に会し、ゲームやランチで交流を深めます。その後、参加者一人ひとりが深めていきたい「問い(テーマ)」を決めます。そしてテーマが近い参加者同士でチームを作ります。

  • 研究期間 (チューターとオンラインによる個別ミーティング):「問い」を個別に深めていきます。それぞれの参加者が研究する領域において専門性を持つ知識豊富なチューターが伴走し、週2回程度のオンライン個別ミーティングで研究をブラッシュアップします。

  • 中間チェック 対面開催(12月24日):チームごとに研究の進捗を共有したり、研究の方向性をチューターと相談したりします。

  • 研究期間 (チューターとオンラインによる個別ミーティング):さらに2週間ほど、週2回程度のオンライン個別ミーティングで研究をブラッシュアップします。

  • 最終発表会 対面開催(1月7日):一同が会場に集まり、互いの研究発表を見聞きします。

私は12月24日の中間チェック時に見学、運営メンバーの皆様から今回のプログラムの意義などをヒアリングさせていただきました。

仲間との触れあいとチューターのサポート

会場となっていた都内のIT企業のカラフルなオフィス内の交流スペースでは、参加者の子ども同士とチューターが文字通り膝をつき合わせて熱心に話をしていました。運営メンバーの皆さんによると、対面で参加者が集う時には、研究内容の深掘りよりも参加者同士が交流したり、チューターの皆さんとリアルに触れ合うことを大切にされているとのことでした。アドバンス・ラーナーの子どもたちは時に学校などでは自分と同じような特性を持つ子どもと触れ合う機会が少なくなりがちなことから、プログラムでは参加した仲間と交流する時間をしっかりと持てるような配慮をされていました。

また、チューターとして参加されている大学生・大学院生・社会人の皆さんはご自身もアドバンス・ラーナーの特性を持たれている方が多く、ご自身の子ども時代にもこのような学びの場があれば良かったと思われることから、今回はほぼボランティアで子どもたちのサポート役に回ってくださっているそうでした。運営メンバーの皆様からは子どもたちは、自分たちと年の近い先輩であるチューターを、自分たちの将来像を描く際のロールモデルのように見ているかもしれないとのコメントが聞かれました。参加者にはほぼマンツーマンでチューターがサポートに入り、参加者が相談しやすい環境が整えられていると感じました。

過去のプログラムから学んだ様々な配慮

今回、対面で集う機会とオンラインの研究期間を設けていますが、対面では交流を重視しており、オンラインでは参加者の関心の深掘りを大切に設計されています。対面時には、前述したような仲間と共に時間を過ごす機会作りはもとより、参加者同士のテーマを知ることで、互いの興味に関心を持つような仕組み作りがされており、時に自分の興味関心だけを追求しがちなアドバンス・ラーナーに視野を広げるチャンスとなって欲しいという思いも感じました。とはいえ、アドバンス・ラーナーが欲している自分の関心の深掘りも個別の研究期間で存分に深められるようになっています。

また、参加者と保護者がそれぞれプログラムを満喫できるように、個別の活動を設ける配慮もされていました。初回のキックオフ会では、子どもたちがプログラムに参加している間、保護者には別の場所で交流会が開催されていました。時に周囲に子どもの特性が理解されず孤独な子育てとなりがちなアドバンス・ラーナーの保護者の方々が、お互いのエピソードのシェアなどができて仲間作りができたようです。また、保護者向けのコミュニティアプリも作り、継続的な交流の場も提供されています。

さらに、最終発表会の日は、参加者とチューターと運営メンバーのみが参加する形になっており、保護者の目を意識せずにのびのびと発表ができるようになっているそうです。さらに発表会時に参加者同士で講評をする際に、批判ではなく愛情を持ってコメントをするんだよ、とプログラムの最初で共通認識を形成していることから、人前での発表が苦手だった参加者から「発表会が一番楽しかった!」という声も聞かれたとのことです。

これからの展開

Education Beyondの運営メンバーの皆さんは以下のビジョンの下、プロボノで活動をされています。
1.アドバンス・ラーナーが学びへの欲求を満たせる場を創出する
2.アドバンス・ラーナーの保護者が情報交換できるコミュニティを作る
3.アドバンス・ラーナーが学校でも理解され育まれるように先生たちと協働する

少数精鋭のメンバーで、プログラムを企画・実行し、常にコンテンツをブラッシュアップして提供されており、子どもたちの教育環境の改善を真摯に目指して活動されていることを感じます。今までのプログラムから学ばれたこととして、日本各地(特に地方)でプログラムの需要があると感じられているとのことですが、なかなか現在の体制では速やかに全国展開を実現することは難しい、作り上げてきたプログラムを横展開する方法を検討されているとのことでした。

参加者の子どもたちの生き生きとした表情を拝見して、このようなプログラムが日本国中に広く展開していかれるようにと、心から思いました。

見学のきっかけと御礼

実は、今回の見学は参加者の保護者の方から届いた一通のメールがきっかけで実現しました。拙著を読んで下さって以来やりとりをさせていただいている方なのですが、お子さんがプログラムに参加してとても楽しんでいらっしゃるとのことでした。そこでEducation Beyond広報ご担当の服部さんにご報告をしましたら「見学にいらっしゃいませんか?」とお誘いいただけたのです。

実際に子どもたちが参加をしてプログラムを心から楽しんでいる様子を拝見したり、運営メンバーの皆さんからプログラム作りに関するお話をお聞きできてとても充実した時間を過ごさせて頂きました。Education Beyondの皆様、貴重な機会をご提供頂き誠にありがとうございました!

※掲載写真は全てEducation Beyondよりご提供を頂きました。

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