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生まれつきだからと諦めないで。マスクがかけられない子どもの埋没耳。保険適用され、形成外科で治療を受けられました。

「もう、この耳が嫌なの。手術したい!」高校の部活も引退し、本格的に受験シーズンという時期に、娘が泣きながらわたしに言いました。

埋没耳とは

”埋没耳”という言葉をご存知でしょうか。わたしの娘は、高校3年の夏まで、両耳が埋没していました。

気づいてあげられなくてごめん

 長女は生まれた時から、耳の上部分が頭の皮膚に埋まっていることには気づいていました。まだ皮膚が柔らかいからだろう、大きくなればそれなりになるのではと深く考えもしませんでした。けれど、1歳になっても、小学校に上がっても、いっこうに耳の上部分が皮膚の外に出てくる気配はありません。これではマスクがかけづらいし、かわいそうに思っていましたが、検診でも聴力の異常などではないため、誰もこれが治療のできるものだとは言ってくれませんでした。というか、治療するものとは思っていなかったのかもしれません。けれど、娘は小さい時からマスクがすぐに外れてしまうことや、髪を結んだときに耳が見えないことに違和感を感じ、ずっと悩んでいたと言うのです。

埋没耳の治療がわからない

 先天性のものだし、耳の機能に異常もなく痛みもないのだから、これはきっと美容外科での手術だろうと考えた私は、名古屋にある大手の美容クリニックへ娘を連れてカウンセリングを受けに行きました。保険適用もないから絶対、高額なんだろうなとドキドキしながら、高級そうなソファで娘と順番を待っていました。診察室には二人で入りました。男の先生が、娘の耳を見て、「ああ”埋没耳”ですね」とさらっと言いました。初めて聞く”埋没耳”という言葉。「ここでも手術はできますが、ご自宅の近くの形成外科を受診されてもいいかと思いますよ」と先生は言いました。え、形成外科に行けば良かったの?・・・無知な自分、いつも思い込みしすぎる自分・・を反省しつつ、帰ってからインターネットで形成外科を検索し、隣の市の市立病院の形成外科を受診することにしました。

娘は両耳、手術を受けました

 診察は優しいベテランの男の先生、執刀は女性の先生でした。両耳なので、片方ずつ。2週間の間隔をあけて2度手術をしました。どちらも一泊二日の入院でした。耳とはいえ、頭部の手術なので、毎回、とても心配でした。麻酔が切れると、娘は痛み止めを飲んでいても辛そうだったのを覚えています。それでも、娘は嬉しそうでした。

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予備知識として

 埋没耳は、さほど珍しい症状ではないようですが、日本では耳介の形状には比較的寛容なために、本人が悩んでいる事実を知っている人は多くないように思います。

 いまは幼児期であれば、矯正治療が可能なようです。手術をしなくて済むので体への負担も軽くなります。また手術を行うことになったとしても、局所麻酔で行える就学前の6~7歳で行う場合が多いようです。わたしがもっと早く、埋没耳のことや、その治療のことを知っていたら、娘は大袈裟な手術を受けなくてよかったのかもしれません。そして、もっと早く、娘の心を軽くしてあげることができていたかもしれません。

 そう思うと、胸が痛むばかりです・・・。

 ところで、埋没耳の治療が保険適用なることは先にも述べましたが、後日、手術を受けたことをCOOP共済に伝えると、証明書や領収書のコピー提出などで共済金が支払われることになりました。COOP共済でなくても、お子さんの入っている保険会社に問い合わせてみるといいですね。

子育て中、またはこれから子育てをする方々へ。もしも、わたしの娘のような症状が、お子さんに見受けられるようなら、この体験を参考にしていただければ嬉しいです。今日、片付けをしていたら、6年前の手術の時の書類がごっそり出てきたので、処分する前に書いておこうと思い、あれこれ思い出しながら、急いで書きました。

娘の耳はしばらく耳の後ろに薄く傷痕がありましたが、いまはほとんどわかりません。毎日のマスクも、上手にかけられる両耳になっています。


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亡父の詩集を改めて本にしてあげたいと思って色々やっています。楽しみながら、でも、私の活動が誰かの役に立つものでありたいと願って日々、奮闘しています。