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京都国立博物館など

2023.02.05-10 訪問

先日、1週間かけて関西のミュージアムを巡ってきました!ようやくまとめる元気と余裕ができたのでまとめていきます。ちなみに常設展を見ることが目的の旅行です


京都

京都国立博物館

東博の次に古い国立博物館です。東博の本館よりも西洋的な作りの建物(明治古都館)と、門が特徴的ですが、耐震性の調査の只中で、足場が組まれていたり地震で崩れる可能性を示唆した看板があったりしました。そんなわけで明治古都館の中には入れませんでしたが、きっと内装も豪華に違いない

明治古都館

現在展示を行なっているのは、平成知新館という、明治古都館の隣の現代的な建物です。なんか見たことある作りだな、と思ったら、東博の法隆寺宝物館を設計した人と同じ人が設計していました

日本のあらゆる美術系博物館は東博と比べると規模が小さいことになってしまうのですが、敢えて比較をするのであれば、京博は、例えば漆工を展示するのに、漆塗りのものを何でも展示するのではなく、例えば化粧道具(これらは螺鈿づくりの豪奢なものがたくさんあります)をピックアップして展示を構成しており、目に入るものがそれぞれの空間で統一されている点が面白かったです(もちろんこれは、東博的な、見渡すとなんでも目に入る展示を行うことを否定するものではありません)。思えばまじまじと化粧道具を見たことはなかったかもしれない


京都国立近代美術館

周囲の建物が豪華すぎてなんだかシンプルに見えてしまう美術館です

京都国立近代美術館の入り口の看板

ここもやはり東京国立近代美術館と比べると規模が小さいことになってしまいますが、いわゆる絵画以外の展示が充実しているように見えました。個人的には書が面白かったかな、例えばこれ→ https://search.artmuseums.go.jp/records.php?sakuhin=153099

ただ、私としては、この美術館で行われている「感覚をひらく」という教育プログラムをここに記しておきたい。簡単にいうと目で見る以外で美術を楽しむ方法を提供する教育プログラムです。建物の一角に紹介コーナーがあったのですが、そこに、触って絵画に何が描いてあるのかを知ることのできる図(触図というらしい)が置いてありました。この触図はウィーンの美術館で見たことがあるのですが、日本ではここで初めて見ました。ミュージアムはその歴史として見える人のためのものとなっていますが、そこに展示される美術は見える人のためだけものではないので、触図も含め、このような取り組みが増えてほしいですね

「触図」を体験できるコーナー


京都市京セラ美術館

会社の名前を冠していますが、れっきとした公立美術館です。京都国立近代美術館とは道路を挟んで向かい側です。とんでもなく豪華な建物は「公立美術館として日本で現存する最も古い建築」に現代的な要素を加えてリニューアルしたものだそうです( https://kyotocity-kyocera.museum/greeting )。内装もすごい

京都市京セラ美術館の入り口

その建物の大きさを生かして複数の展覧会を同時に行うことができる美術館です。私はその時行われていた「アンディ・ウォーホル・キョウト」展と、いわゆる常設展を見てきました。同じ公立美術館だと、東京都美術館が、複数の展覧会を同時に行える大きな美術館になりますが、こちらには常設展はありません。アンディ・ウォーホルの作品そのものは、確か金沢21世紀美術館で大昔に見たことがあると思うのですが、「アンディ・ウォーホル・キョウト」展では、噂に聞いていたブリロ・ボックスの本物を目にすることができて嬉しかったです。この手の作品は、一つ一つの作品をじっと見つめるよりも周囲の作品も含めてサクサク見てまわることが楽しいですね

本物のブリロ・ボックス(?)


京都伝統産業ミュージアム

今回の旅行は、ある程度行きたいミュージアムの目星はつけていったのですが、このミュージアムは完全にノーマークでした。その名の通り、京都の伝統産業に焦点を当てたミュージアムで、展示品は伝統工芸品です。いくつか体験コーナーもあって、コマを回したり、香りを嗅げるところで「これは………おばあちゃん家のにおい………」とかなんとか思ったりしてました

「日図デザイン博物館」はやっていませんでした…
京都伝統産業ミュージアム みやこめっせ地下1階 Kyoto Museum of Crafts and Design - 京都伝統産業ミュージアムは今なお受け継がれ、京都の町に息づいている美とわざの世界をより多くの皆様に感じて頂く産業と文化と人の出会いの場です。京都伝統産業ミュージアム Kyoto Museum of Crafts and Design みやこめっせ地下1階京都伝統産業ミュージアム みやこめっせ地下1階 Kyoto Museum of Crafts and Design - 京都伝統産業ミュージアムは今なお受け継がれ、京都の町に息づいている美とわざの世界をより多くの皆様に感じて頂く産業と文化と人の出会いの場です。 京都伝統産業ミュージアムは今なお受け継がれ、京都の町に息づいている美とわざの世界をより多くの皆様に感じて頂く産業と文化と人 kmtc.jp


細見美術館

構造上前の展示室に戻ることができないという珍しい美術館です。その分、一つ一つの展示室でじっくり展示物と向き合うことができます。日本美術の個人コレクションを展示する美術館で、内容としては山種美術館に近いものを感じました。ちなみに入館の際にはチケットではなくシールを受け取り、それを服に貼っておくという、東洋文庫ミュージアムと同じ方式をとります

展示室の写真は撮れません


鴨社資料館秀穂舎・河合神社鴨長明資料館

ミュージアムに行きすぎて頭が回らなくなった時に、なんとなく下鴨神社を訪れたのですが、そこでもやっぱりミュージアムを見てしまうあたり、もはや職業病としか思えない。この2つの資料館と下鴨神社にある重要文化財・大炊殿を見ることのできるチケットが500円で買えます

どちらも本当に小さい資料館(河合神社の方に至っては6畳しかない)で、それぞれ15分ほどで見てまわることができます。秀穂舎の方はガイドさんによる建物の解説付きです。下鴨神社と関わりの深い人々の息遣いを感じることができます

秀穂舎


京都鉄道博物館

京都駅の程近くにある博物館です。開館前から結構人が並び、そして平日でもチビちゃんの多いこと多いこと

京都鉄道博物館の入り口

埼玉の鉄道博物館と比べると小さいですが、小さいと言っても機関車や電車という巨大なものを扱うので結構な広さがあります。そして、鉄道に関わる事項が(体験型の)展示と一緒に細かく説明されているため、文字の読める大人ならなお、ここで1日過ごすことができると思います。それで、埼玉の鉄道博物館との大きな違いは、蒸気機関車の展示が非常に充実している点にあるでしょう。動態保存を行なっており、実際に蒸気を吐くものに乗ることができます

蒸気機関車が並ぶ「梅小路機関車庫」は重要文化財に指定されています

https://www.kyotorailwaymuseum.jp/


奈良

奈良国立博物館

東博の次の古い国立博物館です。京都国立博物館と同じ年に、設置することが定められました。奈良公園の中にあり、付近にはおやつを求める鹿たちがうろついています

東博や京博という、モノを幅広く収集している国立博物館とは異なり、奈良博で収集・展示されているものはほぼ全て仏教に関わるものです。その方針が最もよく表れているものは、仏像のみが展示されている建物でしょう(なら仏像館)。この建物は「奈良で最初の本格的西洋建築」だそうです( https://www.narahaku.go.jp/guide/butsuzo/ )。仏像は、基本的にはその建物にあることで良さを発揮するものですが、まとめて一箇所に展示することで、それぞれを比較したり、明るめの部屋で意匠をじっくり見ることができます。仏像の展示については奈良博も力を入れているようで、表現されている仏の種類(如来とか菩薩とか)の見分け方や仏像の作り方が丁寧に解説されていました。個人的に一番の学びは仏像の目の作り方ですね、光に当たると輝くタイプの目は、水晶と和紙を内側から木の杭で押さえることで作っていたとは……

なら仏像館


春日大社国宝殿

春日大社には何度か訪れたことがあるのですが、いつの間にこんなに綺麗な建物ができたんだ…?と思ったら、2016年に改修したものらしい。最近でもないので「何度か訪れた」が結構前であることがバレちゃう

その名の通り、春日大社の国宝が展示されているミュージアムです。目玉は鎌倉時代から800年、舞楽で使用されたという鼉太鼓でしょう。高さは6mほどもあり、迫力があります。現在では復元されたものを使用しており、それと比べると国宝の方は豪華さに欠けますが、それでも、仏像と対峙しているような緊張を感じます

復元の方の鼉太鼓


大阪

大阪市立科学館

今回の旅行で訪れた中で唯一、体験を中心に構成していたミュージアムです。展示自体はよくある科学館の展示で、例えば科学技術館などと近かったと思います。ただ、比較対象が東京タワーやスカイツリーではなくあべのハルカスであったり、博学連携の連携先が大阪大学であったりと、地域色は十分出ていました。個人的には、一部の展示解説に、それを書いた人の名前がきちんと書いてあるのが面白かったかな

偏光板の実演展示

せっかくなのでチビちゃんに交じってサイエンスショーを見ましたが、チビちゃんよりも大人が「へえ~」と思える内容で面白かったです、あとあんな風にチビちゃんの反応を拾えるようになりたいね


国立国際美術館

入り口以外全てが地下にある珍しい美術館です。よく写真に写っているあの構造物は竹をイメージしているらしい

国立国際美術館の入り口

現代アートを中心に収集している美術館のようです。展示室自体はそれほど大きくはなく、特別展を含めても2時間あれば全て見れてしまいます。そのため展示されている作品も多くはなく(作品が大規模であればなおさら)、何回も見に行って色々な展示物を見たい美術館だと思いました。特別展では「ピカソとその時代」展をやっていました。なんか、ある時期を超えたピカソの絵って見ていると不安になってくるんですよね…時代の雰囲気を絵から感じるというか…絵が気に入らないとかそういうのでは本当になくて…

https://www.nmao.go.jp


大阪中之島美術館

開館1周年を迎えたばかりのとても新しい美術館です。さらっと調べた限り、大阪市が建てた美術館らしいけど、実現までにかなりの時間がかかったみたいです( https://nakka-art.jp/about/history/

ミュージアムの名前を示す看板

シンプルな建物、開放的な作りで、おしゃれなミュージアムショップを持つ今どきの美術館ですが、展示は手堅く、大阪にゆかりのある芸術品を中心に構成されています。訪れた時には「大阪の日本画」展をやっていましたが、展示解説がかなり親切で、大阪にゆかりのない私でも十分楽しめました。美術館の規模的に、複数の展覧会を同時に行えると考えられるので、次は時期を選んで、もっと賑やかな時に行っても楽しいかもしれません



いやあ、もう人生でこんなにミュージアムを短期間で巡ることもないだろうなあ…とても楽しい時間でした。これからは行けるミュージアムの数もぐっと減ると思うけど、その分丁寧に(頻度を上げて)このような感想をまとめていきたいところです


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