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【完全版】システム要件定義の教科書

皆さん、こんにちは。
昨今、銀行のシステム障害で預金が引き出せなくなったり、SAPのアップデート失敗により、商品出荷が停止してしまったりとシステムが正常に稼働し続けることは企業経営において重要性が高まっております。

世の中には間違った要件定義をしている担当者が多く、その結果、システム開発プロジェクトで失敗し、不幸になっている企業や社員がたくさんいることを目の当たりにしてきました。

実はシステム開発というのは、要件定義という上流工程の質が成功確度向上に最も寄与するのです。(詳細については「要件定義の意義」でご紹介します)

元々、私がシステム開発の教育活動を始めたきっかけは、システム開発プロジェクトの失敗の多さで、その問題の多くは要件定義にあることでした。
そして要件定義について理解している人が少ないことやそれに関するまともな書籍が少ない現状を何とかしてあげたい思ったからです。

システム開発プロジェクトでよくある相談が「ちゃんと説明したのに本当に欲しかった機能と違うものが納品された、または納品してしまい、クレームになっている」、「要件定義のレビュー方法が分からず、なんとなく進めていて不安」といったようなことをよく聞きます。

世の中にはこんな不安を抱えている担当者はめちゃくちゃ多い印象です。
大手Sierさんは研修が充実していますが、昨今のプロジェクトは難易度が増し、過去の叡智は通用しなくなっている気もします。(通用していたらこんな障害は頻繁に起こりません。。。)

このnoteを読んでいる上司や経営陣たちも今すぐ目を覚ました方が良いかもしれません。あなたが期待を膨らませているプロジェクトは実は博打かもしれないからです。
(※大手コンサルティングファームに所属している、もしくは依頼してるからうちは大丈夫だなんて思ってる方いるかもしれませんが、実はBig4と呼ばれる会社でもこんなことが普通起こっているのです。)

普段から一生懸命仕事をしているのに、昇進のチャンスだったのに、間違った要件定義をしたせいで、プロジェクトが失敗に終わり、会社もあなたも不幸になってしまいます。

システム開発は要件定義のやり方を知らないから失敗するのです。
裏を返せばやり方を知っていれば怖くありません。

(※一応断っておきますが、このnoteを読めば、すぐにプロジェクトが成功するとは限りません。成功の確度を少しでも上げるものという認識でいてください。あなたが関わることで成功確度が上がればそれは立派なスキルとなります

では、そもそもなぜシステム開発プロジェクトの成功は要件定義が最も鍵を握るのかについて説明します。

要件定義の意義

引用:オレゴン大学の実験

この図を見たことがある方は多いのではないでしょうか。

これは顧客が本当にほしいもの(一番右下の図)は周りの誰も理解していないということです。
要件定義がまともにできていなかったり、周囲へちゃんと理解させる努力を怠ると、こういうことが起こるのです。

1:10:100の法則

私がなぜ要件定義の意義をここで説くかというと
修正にかかるコストの大きさに関係するからです。
つまり、経営において最も重要なビジネスとしての価値を最大化し(売上向上)、損失を最小限に抑えるためです。

数多くのプロジェクトで失敗だと気づくのはだいたいサービスリリース前のテストローンチ直後です。
なぜかというと、実際にシステムを触るとこができるフェーズだからです。
要件定義フェーズではプロダクトを触れないので、気付きにくいのです。
そうすると何が起こるでしょうか?
当たり前ですが、修正のための要件定義~製造~テストを実施しなくてはなりませんし(簡単にいうと手戻りが発生する)、その期間の機会損失も考えられるでしょう。(ここに無駄なコストが発生します
要は、システム開発のミスの発見が遅れれば遅れるほど、コストは増大するため、要件の精度は早いうちに高めておくことがビジネス上とても大切なのです。

1:10:100の法則

企業経営において要件定義がいかに大切か、私がわざわざ渾身のnoteを作っている理由が分かったかと思います。

ここから先は要件定義の意義についてもう少し触れた後、実際にどのように要件定義をして、どんな成果物を作り、レビューはどのようにしたら良いのかを解説していきます。

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