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サイコロ塾レッスンレポート:分析!ラマ編

こんにちは!今回も前回に引き続き「ジレンマ」という概念を中心にゲームを分析していきます。

取り上げたゲームは、ライナー・クニツィア博士の「ラマ」です。

短いカードゲームの中に、ぎゅっと切れ味の鋭いジレンマが詰め込まれたゲームです。子どもたちがどんなことを感じ、ジレンマについてどう考えたかということについてレポートしていきます。

それでは、レポート開始です!


1、「ジレンマ」の振り返り→ラマをプレイ!

まずは、前回の「5本のキュウリ」で取り扱った「ジレンマ」を復習しました。「ジレンマ」がどういったものかよく覚えている子どももいて、「したいけど、したくない」といったような表現をしてくれる子もいました。

一応、前回は「〜したい、や、〜したくない、がたくさんあって、選ばないといけないこと」とフワッと定義のようなものを伝えていたので、いったんそれについて振り返り、今回のゲームでも同じように「ジレンマ」を探していくことを伝えました。

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初めに簡単にラマのルールを書きます。ルールを少し知るだけで、なんとなく「ジレンマ」が想像できるのがすごいところです。

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ゲーム(ラウンド)の進め方
・「1」〜「6」、「ラマ」が描かれたカードがよく混ぜられ、各自6枚持つ
・自分の番が来たら、すでに場に出ているカードの数字と同じか、1つだけ大きい数字のカードを出すことができる。「ラマ」は「6」の次か、「ラマ」の次に出すことができ、「ラマ」の次は「ラマ」か「1」を出すことができる
・数字のカードを出せないor出したくないときは、山札から1枚をとる
・「カードを出す」、「カードを山札から引く」のほか、今回のラウンドから「降りる」ことができる

ラウンドの終了
・全員が「降りる」を選ぶ
・誰かが手元のカードを全て出し切る

得点について
・得点は基本的にカードに書かれた数字を「マイナス」として計算する
・「1」〜「6」は、それぞれ複数枚持っている場合は、1枚のみを計算し、数字分のマイナス点
・「ラマ」は、1枚につき10のマイナス点
・手元のカードを全て出し切った人は点を示すチップを1枚返すことができる

ゲームの終了
・ラウンドの終了時、誰かがマイナス40点に達していたらゲームが終了し、最もマイナス点が少ない人が勝利

子どもたちは、ルールをただ読んでいるときには、「ジレンマ」に気づかなかったようですが、プレイをしていく中で少しそのことを考えられた様子が見られました。

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途中で子どもたちに、「どういうふうにカードを出していったらいいかな?」と尋ねると、「なるべく、ラマを出したい」と答える一方で、「でも・・・」と続きます。まずは、「ラマ」はゲーム終了時に手元に残してしまうとマイナス点が大きい→早く出したい、というところが子どもに伝わっているのは素晴らしく、先の方針を取っていることは素晴らしいです。ところが、すでにルールを紹介した通り、「ラマ」を出すことができる状況は限られていて、自分の番の時に都合よく「ラマ」が出せる状況になるとは限らないのです。

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これぞまさに「ジレンマ」。「〜したい・・・けど・・・」ということが、ゲームの中で存分に感じられたプレイになったのではないかなと思います。

そして、この「ラマ」のプレイでは今あげたジレンマ以外にもたくさんのジレンマを子どもたちが感じていましたので、次の項目で見ていきたいと思います。


2、「ラマ」を分析!「ジレンマ」はどこにあった?

後半は、ゲーム作りを今後していくために、ゲームの分析をしていきます。11月は再三お伝えしている通り、「ジレンマ」の概念を中心に分析します。

子どもたちはまずはいつものように分析シートを記入します。その後、「ラマ」をプレイする中で、どんな「〜したい」や「〜したくない」があったかをできるだけたくさん列挙してもらいました。

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子どもたちがあげてくれたのは以下の通りです。

・「ラマ」カードを出したい
・「ラマ」カードを残したくない
・全てのカードを出したい
・降りたくない
・山札からカードを取りたくない
・10点のマイナスチップを返したい
・・・

いくつかは、「これは同じことを言っているのでは?」と思えるようなものがありますが、実際は子どもたちにとっては違う事象として認識していることなのかもしれません。面白いですね!

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さて、今回はここからもう一歩だけ踏み込むことによって「ジレンマ」とゲームのルールの関係性について注目していきます。先にあげてもらった「〜したい」「〜したくない」に続けて、それらが「〜だから、できない」「〜だから、難しい」ということ(まさにジレンマ!)を考えてもらいました。

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子どもたちのあげてくれた「ジレンマ」をまとめてみます。

・ラマを先に出したいが、まだ場の数字が「2」なので出せない
・カードを出して上がりたいが、出せるカードがないのでカードを引かなくてはならない
・黒チップを返したいが、返すタイミングで白チップしかなくてまだ両替できなくて返せない


子どもたちは、ちゃんと「ジレンマ」を感じてくれていたのだなと思いました。ここにあがってこなかったものとしては、「誰かがカードを全てだ塩終わって、ラウンドが終了しそうだから、早くおりたいけど、手札カードの数字がまだ大きいから上がれない」といったジレンマもあるかなと思います。

いずれにしても、そういったジレンマが生まれている背景に、「ラマ」のゲームのルールがあるということを説明しました。

例えば、「・ラマを先に出したいが、まだ場の数字が「2」なので出せない」というジレンマは、結局「ラマ」において、「すでに場に出ているカードの数字と同じか、1つだけ大きい数字のカードを出すことができる」というルールに起因しています。

この、「ルール→ジレンマ」という繋がりを理解することが今月の目標であり、今後子どもたちが取り組んでいく「ゲーム作り」の核となることなのですが、その辺りが少し子どもたちに伝わってくれたのではないかなと思います。


次回予告

ゲームの「構造」には、大きく分けて「対戦」と「協力」という2つがあります。「協力」の構造を持つゲームは、「対戦」と違うデザイン上のひねりが存在しています。子どもたちが作るゲームの構造として、「対戦」だけではなく「協力」を選ぶ可能性もあります。

そこで、来月は「協力」ゲームを取り上げて、ゲームの中で「協力させる」ことをプレイヤーにしてもらうためのルール上の要点について考えていきたいと思います。

取り上げるゲームは、以下の2つです。

それでは、次回のレポートもお楽しみに!

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