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サイコロ塾レッスンレポート:子どもたちの制作ボードゲームの紹介

こんにちは。
このnoteでは、2021年度にサイコロ塾に参加した子どもたちの最終的な成果物として、どのようなボードゲームを制作したか、ゲームのコンセプトやルールを中心に書いています。
制作したボードゲームは、株式会社学研プラス様にてプレゼンテーションをさせていただき、本noteにもご講評について記述していますが、もしよろしければ、その様子を書いたnoteがありますので、よければそちらもご覧ください。

今年度サイコロ塾の子どもたちは2つのグループでレッスンを行い、それぞれのグループで1つずつボードゲームを制作しました。以下では、それぞれのグループごとに分けてゲームをご紹介していきます。

Aグループ『アニマリング』

『アニマリング』は、小学校低学年の子ども向けの協力ゲームです。

『アニマリング』のコンセプトと概要

まず、このコンセプトはグループに参加している子どもたちが自分たちを振り返ったことから生まれています。
普段の自分たちの姿から、チームワークを育てることの大切さをゲームを通して体験できるようなゲームを作ればいいんじゃないか、と思いついたということです。なんと殊勝な!
中には、「そんなことない!」「僕(たち)のことじゃない!」という子もいましたが(笑)、ともかく「協力する」というわかりやすい目標が立てられたことはゲーム作りを進めるにあたり、大変助かりました。

さて、具体的なルールを説明していきます。

<ゲームの目的>

このゲームの目的は、各自が配られる「動物カード」をその時の「お題」の順に全員が出し切ることです。
「お題」はカードに書かれていて、何人で挑戦するかやお題の難易度によって獲得できるポイントが異なっています。
最終的に人数に応じたポイントを達成できればゲームに全員で勝利するという協力ゲームです。

<ゲームに使うもの>

・動物カード
今回は「ゾウ」「キリン」「ライオン」「ペンギン」「サイ」「パンダ」「ウサギ」という7種類の動物をチョイスしました。
それぞれのカードには、動物の名前とともに「体重」「体長」「寿命」「住んでいる地域」が書かれています。

・お題カード
お題は全部で8種類です。
①②「体重が重たい(軽い)順にカードを出す」
③④「体長が大きい(小さい)順にカードを出す」
⑤⑥「寿命が長い(短い)順にカードを出す」
⑦⑧「住んでいるところが日本から遠い(近い)順にカードを出す」

①〜④は目で見てわかりやすい内容、⑤〜⑧は抽象性が高く想像力が必要なものとなっているため、達成した際の報酬を後者の方を多くしています。

・アクションカード
このゲームの肝になる部分です。全部で6種類のアクションカードを用意しました。
①手を使ったジェスチャー
②口を閉じてハミング
③オノマトペ(擬態語・擬声語)
④クラップ(手・全身)&ストンプ(足踏み)
⑤空中に文字を書く
⑥リップアクション(唇の動き)

いずれも、「もしも言葉(音声)がなかったら」という仮定での伝達手段を選びました。

<ゲームの進め方>

準備として、アクションカードと動物カードを1枚ずつプレイヤーに配ります。また、今回挑戦するお題カードを1枚表にします。

ゲームは、「ヒントフェーズ」と「チャレンジフェーズ」に分かれています。
ヒントフェーズでは、それぞれが配られたアクションカードに書かれたアクションのみを使って、自分が持っている動物カードの情報を他のプレイヤーたちに伝えます。
制限時間は3分間です。
この間、お題に関係する言葉を発することや、持っているカードに関係する言葉を話してはいけません。
アクションカードは他の人に公開しても良いですが、動物カードは決して他の人に見せてはいけません。

ヒントフェーズでヒント(空中に文字)を出している様子

ヒントフェーズが終わったら、「チャレンジフェーズ」です。ヒントフェーズで交換した情報を元に、お題カードの達成を目指します。
このチャレンジフェーズはリアルタイム進行をします。つまり、「誰から」という順番が決まっているわけではなく、お題に応じたカードを持っていると自覚した人から順に真ん中にカードを出していく、というわけです。
この際も、お題に関係する言葉を発することや、持っているカードに関係する言葉を話すことはできません。

チャレンジフェーズの様子、正しい順序かどうか確認中

<ゲームに関する講評>

ゲームプレイ時の様子に関しては、先のnoteをご覧ください。ここでは、ボードゲームの企画・編集のプロである学研の皆様からいただいた「アニマリング」に関する講評をご紹介させていただきます。
まずは、感想から。

  • アクションカードの適度な難しさがとても良い
    難しすぎると面白くない/簡単すぎるとつまらない、適度な難しさになっているのがよかった。

  • アクションカードにバリエーションがあるのが良い
    同じ動物、同じアクションカードでも、人によって表現の仕方が違うため何度も楽しむことができる。何度もやりたいと思わせる工夫がある。

  • 協力ゲームであることが珍しい
    みんなで協力し合う際、わいわいガヤガヤとできるのが良い

また、ゲームデザイン面に関するアドバイスもいただきました。

  • 寿命や体重など一部の数値に幅があった。ゲームとして楽しむ上では順位が決めにくくなってしまうため、数値は決めてしまっても良い。

  • 動物カードのバリエーションに関しては要検討。どれくらいの枚数まで増やして遊べるか?

  • 珍しい動物過ぎても難しくなりすぎる。

上記の指摘がクリアできれば、可能性がとてもあるゲームであると評価を受けました。


Bグループ『試験はサイコロを振った瞬間に始まる』

『試験はサイコロを振った瞬間に始まる』は、中学校受験を控えた受験生向けに制作したゲームです。

『試験はサイコロを振った瞬間に始まる』のコンセプトと概要

こちらのグループの子どもたちは、コンセプト作りにおいて明確に「受験生」をターゲットにすることに決めました。自分たちの未来の姿、そして今見ている受験生たちの姿は、具体的なターゲットとして設定しやすかったのかもしれません。
そうした子どもたちの具体的像を想像して、「自信を持つ」が達成できるボードゲームを作ることを目指しました。
こちらは、当初は「協力」というゲーム構造ではなかったのですが、「自信を持つ」ということを達成するために、主役体験をしたり、全員で何かを達成したりすることがいいのではないか、と子どもたちが考えた結果、やはり「協力ゲーム」となりました。
それでは、ルールをご説明します。

<ゲームの目的>

それぞれサイコロを使ったチャレンジが書かれている5教科の試験カードを1枚ずつ集め、最終的な試験を突破することです。
最終的な試験は固定で、「参加者全員で同じ目を10個以上出す」ということになっています。

<ゲームに使うもの>

・サイコロセット
それぞれのプレイヤーが最初に持つことになるサイコロのセットです。
プレイヤーごとにサイコロの種類や数が異なります。
A)「1」「2」「3」「4」「5」「6」の目が1つずつあるサイコロ5個
B)「1」「2」「3」の目が2つずつあるサイコロ4個
C)「4」「5」「6」の目が2つずつあるサイコロ4個
D)「1」「3」「5」の目が2つずつあるサイコロ3個
E)「2」「4」「6」の目が2つずつあるサイコロ3個
F)「1」「6」の目が3つずつあるサイコロ3個

・試験カード
「国語」「算数」「理科」「社会」「英語」(それぞれ数種類ずつ)に加えて「最後の試験」があります。
「何人でチャレンジするか」「どんなチャレンジか」ということが書かれています。

・スペシャルパワーカード
ゲーム中に好きなタイミングで使うことができるカードです。ゲーム中1度だけ使用することができ、次のような効果があります。
①サイコロを振った後で、1つのサイコロの上下をひっくり返すことができる
②サイコロを振った後で、1つのサイコとの出た目の数を-2〜+2までの範囲で変えることができる
③サイコロを振った後で、好きな個数の自分のサイコロを振り直すことができる
④他のプレイヤーに1つサイコロを渡すことができる
⑤サイコロを振った後で、他のプレイヤーの1つのサイコロの目を自分の出したいずれかのサイコロの目と同じにできる
⑥現在チャレンジしようとしている試験カードを1枚パスできる(クリアしたことにはならない)

<ゲームの進め方>

ゲームの準備として、各プレイヤーはサイコロセットのいずれかを受け取り、スペシャルパワーカードをランダムに1枚受け取ります。
全員で話し合って今回挑戦する試験カードを選びます。

試験カードの内容を見て、誰がその試験カードに挑戦するかを決めます。
その後、挑戦するプレイヤーは全員同時にサイコロを振ります。

サイコロを振っている様子

出た目を見て、スペシャルカードなどを使った上で、「成功」か「失敗」かを判断します。
「成功」だった場合は、次の試験カードに進みます。
「失敗」だった場合は、今回の試験カードに挑戦したプレイヤーは持っているサイコロを1個失います。誰かのサイコロがなくなってしまうとゲームオーバーです。

5教科の試験カードを集めることができたら、「最後の試験」に挑戦します。最後の試験は、「参加者全員で同じ目を10個以上出す」ことです。これをクリアすることができれば晴れてゲームに勝利します!

(給食と休み時間)
ゲーム中、1つ以上試験カードを獲得した後で、次の試験カードに進む前に「給食」や「休み時間」を行うことができます。
「給食」は、すでに使用したスペシャルパワーを1人分だけ再使用可能にします。ゲーム中1回だけ行うことができます。
「休み時間」は、失ってしまったサイコロを1個手元に戻すことができます。ゲーム中2回行うことができます。

<ゲームに関する講評>

「試験はサイコロを振った瞬間に始まる」についても講評をいただきましたので紹介します。

  • タイトルが素晴らしい!
    みんなでこのタイトルを考えたのがすごい!ドラマチックな表現で驚きがある。タイトルで「勝ち」。

  • 各教科の試験がある、と思って構えたがそれを全てサイコロで表現したのが楽しい

  • みんなそれぞれ活躍することができるのが良い

また、次のような具体性に富んだアドバイスもいただきました。

  • もう少し試験カードの内容に教科との繋がりがあるとよかった

  • サイコロを振った後に、自分たちが関与して工夫してサイコロの出た目を変えられるように、複数枚のアクションカードを持たせるのもよかったかもしれない

  • サイコロセットのパターンによって、試験カードのお題をクリアできる確率がどうなっているか、ということを検証した上でお題作りをすると良い。感覚だけに頼らず、(数学などの)裏をとって作ることでゲーム性を高めることができる

現時点では「アニマリング」の方が、企画の実現性は高いとのコメントもいただきましたが、上記の指摘をクリアできればグッとその可能性が高まるとも。

まとめ

今年度子どもたちと制作したゲームは、本当に「アイデア」剥き出しの状態でプロの目に晒されることとなりました。
おそらく細かい調整やデータ検証などをすることで精度高く、完成度を高めていくことができるかなと思います。
荒削りな部分はありますが、ボードゲームとしては楽しみポイントもしっかりあって、手前味噌ではありますがなかなか面白いゲームを作れたかなと思います。

プレゼンをさせていただいたみなさんからは、「諦めずにやり続けることが大事」「少しでも良くしていく」「うまくいくまでやることが大事」というお言葉もいただきました。
今後、このアイデアの種を育てていくも、枯らしてしまうのも自分たち次第です。
ひとまず、子どもたちの制作したボードゲームの紹介をここで終えます。

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