見出し画像

物語のタネ その壱『お留守番ヒーロー #14』

俺の名前は、滝沢さとし。
表の顔は、高齢者向け介護士だけど、もう一つの顔

「お留守番ヒーロー」

ヒーローの留守を預かり、出現した怪獣、怪人をもてなすのが俺の役目。
前回は、1億5000万と100年の歴史を誇る古代怪獣界の自称?血統書付きウルトラ怪獣「ゴモラ」さんにお登場頂きましたが、今回は、こちら!

蜘蛛男さん

再びライダー怪人さん。
お名前がシンプルです。
お会いしたのは暑い夏の日でした。
その日は、ちょうど仮面ライダーさんは1号2号さんとも夏バテで。。。
かく言う私もそうだったのですが、、、。

「こんにちわー!今日も暑いね!あれ?1号ちゃんは?」
「初めまして、お留守番ヒーローと申します。1号さんは本日体調が優れず、私が代わってお相手をさせて頂きます」
「もしかして、夏バテ?」
「やはり夏に仮面はかなりキツイらしく」
「いや、ユー」
「私⁈わかりますか?」
「顔色良くないもの。食欲無いんでしょ?」
「そうなんです・・・」
「そんなユーに!いいものあるよ。こちら!」
「何ですか?」
「蜘蛛男産・純度100%消化液“ジュルジュルットナー“!食欲の無いユーもこれで栄養をジュルジュルっとなー!」
「⁈」
「これかけると何でもジュルジュルになっちゃうから。食欲無い時もジュルジュルって食べられるからね」
「それってもしかして、蜘蛛男さん、いや、蜘蛛ならではの・・・」
「よく知っているね!蜘蛛は消化液をかけてジュルジュルにしてからそれを吸うのよ。学術的には体外消化と言います。体の中で消化するわけでは無いから、消化器官にはとっても優しい栄養摂取の仕方です。夏バテ中の胃腸には最適な食事方法ですよ。そんな素敵な蜘蛛式消化術を体験出来る理想的なアイテム!それが、蜘蛛男産純度100%消化液“ジュルジュルットナー“!なんです。一本どうですか?今ならお安くしておきますよ」
「売るんかい!しかし、蜘蛛男産純度100%ってことは、もしかして・・・」
「ミーの体内から出た液100%!です。今ならサマーキャンペーン中で、絞りたてならぬ出したてもご用意出来ます!ちょっとだけ出してみましょうか?オウェッ」
「やめてやめてやめてください!」
「なんで?」
お「もらっちゃいそうです・・」
「でも、出したての消化液はジュルジュル化パワーが違いますよ」
「そう言う問題ではなくて、、すみません。しかし、蜘蛛男さんは、こういう言い方も何ですが、すっごく“蜘蛛“なんですね」
「そうですよ、シンプルに蜘蛛です」
「仮面ライダー初期の怪人の皆さんは、シンプルな方多いですよね」
「我々第一期生ですから、ある意味選び放題でしたよ笑」
「しかも、蜘蛛男さんは、仮面ライダー登場第一号怪人さん!」
「その通り!というか、ミーが本郷猛を拐ったのが全ての始まりですから」
「そうですよね。蜘蛛男さんが拐った本郷猛さんが改造人間仮面ライダー1号となるわけですから。それから50余年・・・日本のヒーローの代表ですよ、ずっと。本当にいい人を拐いましたね」
「彼を見て、ピーンと来たのです。彼以外考えられないっ!て。ミー、ショッカーでは“拉致・誘拐“英語で言うとスカウト?がメインでしたから、そのプロの勘?がアイツを拐え!って言ったんですよ」
「本郷さん、蜘蛛男さんに足を向けて寝られないですね」
「でも最初嫌がってねー」
「嫌がっていました、第一話」
「あんなに嫌がんなくてもって思いましたけどね。才能があるのにレッスンをサボる美少年を見守る、ジャニー喜多川さんの気持ちが分かりましたよ」
「なるほど」
「しかし結果、日本を代表するヒーローになりましたから。スカウト冥利につきます」
「その後のスカウト活動はいかがだったんですか?」
「ミーなりに頑張ったんですが・・・。いいなと思う子はいたのですが、どうしても本郷猛と比べてしまって・・・。ミー、好みの幅が狭いんですね。そこが、ジャニーさんに勝てなかったところです」
「ジャニーさん、幅広いですものね」
「勝てないです」
お「勝てる人いませんよ」
「そう思いまして、ミー、マーチャンダイズに舵を切り替えまして20年。蜘蛛らしく、老人たちを中心に巣で捕らえるかの如く頑張って参りました」
「なんかちょっと印象悪いんですが」
「お留守番さん、どうですか1本、おばあちゃんへのプレゼントに。今なら1本買ったらもれなく出したてがついて来る!では、オウェッ」
「やめてくださいー!」

蜘蛛男さん、昔の芸能プロの一途なマネージャーさんって感じでした。
とっても純粋な方なんだと思います。
ただ、最後にどうしてもと渡されてしまった、“蜘蛛男産純度100%ジュルジュルットナー“。
これ一体どうしたら良いの⁈


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?