見出し画像

物語のタネ その壱『お留守番ヒーロー #12』

俺の名前は、滝沢さとし。
表の顔は、高齢者向け介護士だけど、もう一つの顔は

「お留守番ヒーロー」

ヒーローの留守を預かり、出現した怪獣、怪人をもてなすのが俺の役目。
前回は、ウルトラマンシリーズの隠れた第一号怪獣「レッドキング」さんとのお話でした。
レッドさん、気の良いジャイアン、て感じでした。
愛すべきキャラです。
さて今回は、ついに⁈女性怪人さんの登場です。
その名は、

蜂女さん

仮面ライダーさんに登場された初の女性怪人さん。
お会いしたのは1年半ほど前になりますか。
その時は、仮面ライダーさんがボーイスカウトの夏合宿の特別講師でいらっしゃらなく。
なんでも合宿のメインがカブトムシ採りということで。
元々は、ストロンガーさんのお仕事だったそうなのですが、ストロンガーさん、夏の節電キャンペーン中でなんとも元気が無く、急遽代役で行かねばならなくなったそうで。

「あら、あなたどなた?」
「はい、私、ヒーローの留守を預かるお留守番ヒーローと申します。仮面ライダーさんが、急遽ストロンガーさんの代役でボーイスカウトの合宿に行かねばならなくなりまして、代わりと言ってはなんですが、私が蜂女さんのお相手をさせて頂ければと」
「あらま、そうなの。ふーん、まあ、子供あってのライダーさんであり私たちだからね。そっちが優先されちゃうのは仕方ないわね」
「ご理解頂けますと助かります」
「今何時?」
「16時過ぎですが」
「あ、そ。じゃあ、ちょっと早いけど飲んじゃおうか?」
「え、私はOKですけど、蜂女さんは大丈夫ですか?」
「この後別に用事無いから。もう、仕事は終わり終わり。行こ行こ」

ということで、神田駅前飲み屋街の居酒屋に入りまして。

「かんぱーい。(グビグビ)ぷはあ〜、労働の後のビールは美味い!」
「いや〜蜂女さんが、こんな大衆居酒屋にて飲むとは意外でした」
「え〜、そう?ここ行きつけよ。あ、すみませーん、軟骨とハツ、それと皮下さい。私は塩で、お留守番さんは?」
「あ、私はタレにしようかな」
「え、塩にしなよ、塩が絶対おすすめよ。ね、塩がいいって。はい、じゃあ塩で」
「・・・ありがとうございます。あの、お仕事今日はこの前は何を?」
「ほら、私、ショッカーの毒ガス工場の工場長だから。基本昼間は工場行って生産管理しないといけないからさ」
「あ、そうなんですか。あの、毒ガスを?」
「そうよ。でも、最近なかなか毒ガスも売れなくてさ。大変よ、毒ガスの他にも色々とその手のものが出て来ているから」
「そうなんですか」
「そう。だからうちも色々と新商品開発とかしないといけなくて、そっちの方が忙しいかな〜。あ、そうだ、ちょっと今日サンプルが上がって来たのよ!それを仮面ライダーで試そうと思ったんだけど、あなた、ちょっと試してみない?」
「え、でも毒ガスでしょ⁈」
「大丈夫。毒ガスレスバージョンもあるから」
「毒ガスレスですか?」
「そうよ、ほら、ノンアルコールビールと同じよ。世間の多様なニーズに応えないとね。ま、私はノンアルコールビールは意味分かんないけどね(グビグビ)」
「あ、なら」
「し・か・も・ね、このガス、吸い込むと声が高くなっちゃうの〜。ププププ」
「いや、それヘリウムガスと一緒じゃ、、、」
「わかってるわよ、そうよ。今、パーティグッズとして東急ハンズに売り込んでいるのよ。5本入りで1本だけ毒が入っているロシアンルーレットセットで。でも、ハンズがロシアンルーレット式はダメだっていうのよ」
「はい、まあ、一般人向けに売るならダメでしょうね」
「つまんないこと言うわね(グビグビ)」
「すみません。。。あ、ちょっと話変わりますけど、蜂女さんは催眠音波もお得意でしたよね?そちらで何か考えたりはしていないんですか?前はイヤリング型の催眠音波受信機を作られていたと記憶していますが」
「催眠音波ね〜、あれも色々と試したわよ。ダイエット用とかね、食欲が沸かない催眠音波サービスとかね。でもね、受信機は作れるんだけど、音波を送る側がね、なかなか難しくて」
「と、言いますと?」
「あの音波、私の羽を擦り合わせて出る羽音じゃない。あたしも24時間ずっとは音出しているわけにもいかないからさ。そうすると、羽音が出ていない時に、食べちゃうのよ、あの人たち」
「まあ、元々食べたい人たちですからね」
「そう、だから24時間羽音が出る様にデジタル化を目指したんだけど、どうも、同じ様な音波が送れないのよ。データ的には合っているんだけどね、なんか違うらしいのよ」
「データでは測れない。もう、蒲田の金属職人の域ですね」
「そうなのよね〜。だから今はそこはペンディング中」
「なるほど、色々と大変ですね。工場長は」
「わかる?そうなのよ」
「そう言えば、また話変わりますが、ある記事で読んだんですけど、蜂女さん、好きな怪人ランキングの女性部門で1位でしたね。さすがです」
「あら、そうなの?」
「今更ながらこんなことを言うのも何ですが、ほんと、お美しいですもの」
「ふふ、ありがと」
「そんなお美しい方が、実はビジネスもバリバリやられているってことを知りまして、正直益々グッと来ちゃいました。私」
「褒めるね〜(グビグビグビ)」
「じゃあ、もう思い切って聞いちゃいますけど。そんなお美しい方ですから、ロマンスもあったんじゃないですか?」
「何、言ってるのよ〜、無いわよ〜(グビグビグビグビ)」」
「本当ですか〜?じゃじゃじゃじゃ、仮面ライダーの中で一番の好みはどなたですか?これだけ、教えて下さい!」
「え〜、わかんない〜」
「敢えて敢えてでいいですから、敢えて選ぶとすれば」
「う〜ん、、、、、、ライダーマン」
「お!」
「・・・秘密だけどね、一回だけデートしたことあるのよ、秘密だけどね」
「え!そうなんですか⁈」
「一回だけね、手も繋がなかったけど。そういう時代だったのよ。私たち。ほら、アイドルはトイレ行かないって時代の人間だから」
「大ニュースですものね。ライダーと怪人がデート!」
「そ、まあ、青春の1ページね。いい思い出よ。いやだ、もう!飲みすぎちゃったわよ!今日は!」
「いやいやいや、素敵なお話を聞かせて頂きました。ありがとうございます」
「あら、私も楽しかったわ。ちょっと愚痴も聞いてもらっちゃったし。また、飲み行きましょ」
「はい、喜んで!」


蜂女さん、美しいのに気さくで、とっても魅力的な方でした。
さすが、ランキング1位です。
ただ、帰り際に、声が変わる毒ガス5本ロシアンルーレットセットを頂いたのですが、これどうしたものか。。。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?