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物語のタネ その壱『お留守番ヒーロー #13』

俺の名前は、滝沢さとし。
表の顔は、高齢者向け介護士だけど、もう一つの顔は

「お留守番ヒーロー」

ヒーローの留守を預かり、出現した怪獣、怪人をもてなすのが俺の役目。
前回はついに⁈女性怪人さんの登場で「蜂女」さんとのお話でしたが、今回は再びウルトラマンの怪獣さんです。
こちら!

ゴモラさん

あれは3月の暖かい日でしたね。
ウルトラマンさんは、春の交通安全キャンペーンのお仕事が入っていて不在だった時でした。

「んー、あれ、ウルさまは今日は?」
「本日は、ちょっと春の交通安全キャンペーンのお手伝いで、春日部市の小学校に行っておりまして」
「ん?そちはどなた?」
「あ、私、本日の留守を預かるお留守番ヒーローと申します。今日はゴモラさんのお相手をさせて頂きます」
「おー、そうか、よろしゅう頼むぞ」
「あの、こんなこと申し上げては失礼かと思いますが、ゴモラさん、お言葉遣いがとても、あの、雅なんですね」
「うむ、そうかの?我にはこれが自然じゃが。まあ、当家は由緒正しい家柄なので、自然とそうなってしまったのかもしれないのー」
「失礼致しました。ゴモラ家はそうだったのですね」
「そうじゃ、当家は1億5000万年、いや、正確に申すと、我が1億5000万年の眠りから目覚めたのが50年ほど前で、その前から続いておるから、当家の歴史はそれ以上、1億5000万と100年じゃな」
「あの、デーモン閣下みたいですね」
「誰じゃそれは?」
「あ、お気になさらずで。となりますと、ゴモラさんは2代目ですか?」
ゴ「そうじゃ、由緒正しき2代目じゃ。1億5000万と100年続くゴモラ家のな」
「あの、長いんだか短いんだかよく分からなくなって来ました」
「十分長いじゃろ、1億5000万と100年じゃから」
「『創聖のアクエリオン』みたいですね」
「なんじゃそれは?」
「いや、あのお気になさらずで」
「不思議なことを言うやつじゃの。そもそも、ゴモラの名はどこから来たのか知っておるか?」
「いや、失礼ながらこちらも存じ上げておりません」
「何にも知らんのじゃの。歴史の教科書には載っておらんかったか?」
「あ、残念ながら、少なくとも私が学生時代は」
「そうか、今度文部科学省の大臣に言っておかねばならんの。ゴモラ家の由来を知らんとは、、、」
「あ、是非今日教えてください!」
「よし。そちは多くの怪獣を知っておるのだろ」
「はい」
「ならば、ゴ・モ・ラ の文字からピーンと来るじゃろ」
「ゴ・モ・ラ、ですか?いや、、、すみません」
「もう一度、ゆっくり言ってみい。ゴー・モー・ラー。はい!」
「ゴー・モー・ラー、んー、、、いや、すみません」
「んーん、もう!さあ、もう一度、諦めないで!ゴーーー・モーーーーー・ラーーーーー!リピートアフターミー!」
「ゴーーー・モーーーーー・ラーーーーー、、、、、、いや、ゴモラしか頭に浮かばないっす」
「じゃあヒントね、ヒントあげるから。ゴーーーーーージラ・モーーーーーーースラ・ラーーーーーーーードン」
「ゴジラ、モスラ、ラドン!」
「よく分かったの!」
「いや、あの、答え言われてましたけど。え!でも、ホントですか⁈」
「そうよ。東宝の偉い人から聞いたからの。ホントじゃよ」
「かなり信憑性がありますね、それは。確かに、ゴジラさんは古代怪獣のボスですからね」
「そう。で、我も古代怪獣じゃからの」
「それは確かに。しかし、1億5000万年間よくお眠りになられましたね」
「昔からね、よく眠る子だったのじゃよ。ああー今日も眠くなって来てしまった」
「今日は、ポカポカいい天気ですからね」
「のう、1億5000万と50年前もこんないい天気の日じゃった」
「え?眠り始めたの覚えているんですか?」
「憶えとるよ。始祖鳥がのどかに空を飛んでおったよ」
「すごい記憶力ですね」
「そして目覚めたら、空中に浮かんでいてびっくりしたものじゃ」
「ああ、麻酔をかけられて万博会場へ輸送されていた時ですね」
「それで、びっくりして動いたら、そのまま2000m下へドーンと落とされての。これまたびっくりじゃ。人間はひどいことするのー」
「確かに、それはひどいですね」
「そうじゃろ。我が暴れるのも無理なかろ?」
「はい。安眠をお邪魔して申し訳ありませんでした。しかし、ゴモラさんの発見は、冷凍マンモスの発見の比じゃないですからね。人類も浮き足だっちゃったんでしょうね〜」
「マンモス、うむ、あんな新興のお家と比べんで欲しいな」
「・・・1億5000万年と比べたら確かに」
「いや、1億5000万と100年」
「・・・・・あ、失礼致しました」


ゴモラさん、家柄意識お強い方でした。。。
ただ、なんて言うのでしょうか。
あの意識自体はご本人にとってはリアルなんでしょうが、自己暗示のかかったクヒオ大佐って感じが。。。
あ、それ、堺雅人さん主演の映画です!



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