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タイミングは大事「パッソ デル スッドゥ アパッシメント2015」

イタリア・プーリア州の赤。陰干ししたブドウを発酵、熟成させたもの。つまり干しブドウから造られたワインなので、果実味がぎゅっと凝縮されたとても濃厚なワイン。しかも温暖な南イタリア産なので糖度も高い。ヴェネト州で造られるアマローネとも似ているが、比べるとこちらの方がやはり温暖な気候ゆえか圧倒的に甘さとボリュームがある。

このワインは一度試飲してとても気に入り、一度に3本購入した。複数買いは私にしては珍しい。周りからは意外だと言われるが、我が家は晩酌の習慣はない。アルコールを飲むのは誕生日などイベント事でなければ週末、しかもスケジュールが合う時のみ。そのためワインを開けるのは月に3回ほど。下手すると購入に消費が追い付かないという事態にもなってしまう。ワイン好きを公言できるほど飲んでいないのではと言われそうだが、二人でボトル1本が適量にして限度、というようにあまり強くないのでこの丁度良いペースは守っていく。そんな飲酒頻度なので出来るだけ色々なワインを試したい思いがあり、一度に複数購入することはあまりない(気に入るとリピートはするが)。

こちらを購入したのは確か2018年頃だったか。買ってすぐさま1本開けた。既に若い印象はなく、果実の凝縮した旨さを堪能できたと思う。そのうち2本目を開け、残りの1本は少し取っておこうと保管しておいた。それから数年、そろそろ開けないとな……と思いながらも今日は白がいい、軽いのがいい、この料理にはちょっと、といったようにずるずると飲むタイミングを失ってしまっていた。

先日、突然ハンバーガーが食べたくなった。しかもマックで買ってくるわけではなく(冷めずに持ち帰れる距離にマックがないのもあるが)自分でパテ焼いてバンズに色々挟んでみたくなった。

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不格好なのはご愛嬌ということで。そしてこれに合わせてみようということになった。そして抜栓。色味は紫が抜けてルビー色からガーネット色に近くなっていた。香りはどろどろに煮詰めたブラックベリーのような凝縮した濃厚さがまず来る。そしてカカオやエスプレッソを思わせる樽香。手製バーガーに合わせるには些か重かった気がしないでもない。美味しい、美味しいけれど後味にほんのかすかに残るコルク臭があった。抜栓時の香りや口当たりは悪くなかったのでブショネ、というレベルまでではないと思う。うーん、薄々気付いてはいたけどもう少し早く開けるべきだったのかな。

飲み頃のタイミングは難しい。開けるのが早すぎて失敗したこともあるしその逆も然り。必ずしも「先入れ先出し」というわけではないけれど、時折セラーの棚卸もしながら飲むべきタイミングを定めていかなきゃなと改めて。ちなみに「Chカロン・セギュール2013」はいつ飲むのがいいんだろうか。2017年に2007ヴィンテージを飲んでちょっと硬さを感じたのでまだ早いだろうか。あと数年悩むことになりそうだけれど、ある意味それも駆け引きなのかも知れない。そんなところも沼なのだ。

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