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要素還元的アプローチについて考える

面白い記事があったので紹介したい。

参考記事:自転車に補助輪はムダ。「コンテクスチュアルトレーニング」とは何か?

残念ながらこちらの参考記事は有料だが、無料で読める部分に面白い話があったので、その部分にフューチャーし、考えたことをまとめてみたいと思う。

(前略)例えば、子供が自転車を乗れるようになるには、(ケガを予防するために)補助輪をつけたらダメなんです。ランニングバイクの方が早く乗れるようになる。なぜなら、自転車を乗るコツは、進むことよりもバランスを取ることが優先だからです。だから教える場所も、上りではなく下りで教えるんですよ」

――言われてみると確かに。でも、親は子供にケガをさせたくないので、まず補助輪から慣れさせようとしがちですよね。

 「ところが補助輪をつけるとハンドルを逆に回すようになってしまって、外すと転んでしまうわけですよ。 子供は補助輪をつけていても最初こそ楽しいかもしれませんけど、スピードが出なかったり、曲がれなかったりして次第に楽しくなくなってしまう。だから、『父さんは(自転車を)持ってるぞ』って言いながら漕がせて、実は持ってないのがいいんですよ。それがコーチングです

自転車を乗りこなすことの本質はバランスをとること

なるほど。なるほど。ストライダー(ライニングバイク)から補助輪なしの自転車への移行がスムーズだというのはなんとなく感じてはいたけれど、そうゆうことか。

進む(漕ぐ)、つまり自転車の推進力を生むという作業よりも、2輪という不安定な乗り物のバランスをとるという作業のほうが、自転車を乗りこなすにはより優先的に獲得しないといけないものだということか。

言語化されるととても腑に落ちる。

自転車を乗りこなすことの本質はバランスをとることにあるとも言えるのかもしれない。

補助輪付自転車=要素還元的アプローチ

自転車に乗れるようになるために補助輪をつけるという発想は要素還元的アプローチと言えるだろう。

自転車を乗りこなすために必要な要素を分解し「バランスをとる」という自転車を乗りこなすことの本質となる部分を補助輪によって排除し、自転車を濃いで推進力を生むという作業に注力していると言える。

しかし、バランスをとるという本質を削がれた自転車に乗るためのの練習(トレーニング)の効果は極めて低いだろう。補助輪のついた自転車に乗る能力は高まるが、補助輪のついていない自転車に乗る能力は全然身につかない。

補助輪のついた自転車に乗るためのトレーニングでしかないのである。

要素還元的アプローチの落とし穴

補助輪付自転車を利用したトレーニングは、要素還元的アプローチの典型的例であり、かつこのアプローチの落とし穴に完全にハマっている。

要素還元的アプローチをすることで、本質(ここでは、自転車のバランスをとるという要素)が省かれてしまっているからだ。

要素還元型アプローチには常にこうしたリスクが付きまとう。確かに表面上はうまくなっているように見えたりするのが、実際は目的から大きくずれているのでトレーニング効果は望めない。表面上、上手くなっているように見えるあたりが厄介でもある。

一度バラバラにしたものを組み立てても元どおりにはならない

話は少し変わるが、生きていた魚をきれいに捌いて、もう一度それぞれの部位を完璧に戻せば元どおりの魚になるだろうか(もし、なるならそれはファンタジー)。

これは、要素還元的アプローチの落とし穴の例え話である。

自転車の乗るために必要な要素をすべて漏れなく洗い出し、それぞれを完璧にマスターできたとしても、実際に自転車に乗ろうとしたときに、本当に乗れるかどうかはかなり怪しいだろう。

上手に自転車に乗れるようになるためには、自転車に乗ろう。

上手にバレーボールができるようになるためには、バレーボールをしよう。

バレーボールに関する記事を執筆しています。バレーボーラーにとって有益な情報を提供することをコンセプトにしています。