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昔と今のフィットネス事情の違い

この10年ほどで、ジムには今まで来なかった感じの人たちが来るようになりました。

昔は今はと括って比較するのは良くないのですがお許しください。

本当にトレーニングが好きな真剣に取り組みたい人がマナーと節度を保ってお互い尊重しながら共存し、切磋琢磨する空間

それが、私が勤務しているジムでかつて見られた光景でした。

ちゃんと譲り合いや挨拶などの不文律があり、助け合いもあり、ジム内には前向きな一体感がありました。

それが最近は、暇つぶし・出会い探し・イキりやマウント・SNSで自慢・パワーラックで自撮り・鏡をずっと見ている・ずっとスマホばかり見るなどなど

何をしに来ているのか、何がしたいのか、まったく理解できない人たちがいます。

とてもガラの悪い人たちがたくさん来て、何故か偉そうに我が物顔に振舞っています。

あまり人様のことをとやかく言うのもなんですが、彼らはファッションだけは最先端なのでしょうが、マナーは最悪です。

マシンに片足を乗せたまま大声で喋る
禁止されている掛け声を張り上げてトレーニングする
人のトレーニングの邪魔をする
マスクをずらして喋る

など、本当にもうやりたい放題です。

マシンシートに座ったまま長い時間ゾンビのように携帯を見ている人もものすごく増えました。

最早トレーニングのインターバルではなく、スマホのインターバルがトレーニング。

音楽を聴きながらは構いませんが、高確率でイヤホンやヘッドホンをしているためか、挨拶しても無言で通過

そのくせ、後からあいつが無視した、挨拶しないなど、あなたが言うのですか?と思うような不可解なクレームを入れてきます。

クレームといえば、クレームなのか言いがかりなのか不明な投書も増えました。
大体は要約すれば自分をもっと尊重しろと言う内容ですが、ジムは体を鍛えるところです。施設の安全を確保するためにも真剣な気持ちのない人はこちらからご入会をお断りしたいです。

クレームを入れられたスタッフのうち、モンスタークレーマーの言いなりとなった会社に守ってもらえず、そのことに絶望して辞めていった優秀な先輩や仲間が何人もいます。

誰でも彼でもお金さえ払えばお客様でしょうか?

お客様は神様なんて言いますが、ジムの空気を悪くするならそれは疫病神や貧乏神です。

おかしな雰囲気になったこの10年が、おかしなブームが来る10年前と明らかに違うことは2つあります。

①スマホとくにSNS文化の普及

②コンテストのすそ野の拡大による大衆化

①と②は親和性が高く、スマホからフィットネスインフルエンサーやYouTuberたちの影響を受け、今まで体を鍛えることにまったく関心のなかった多くの人がフィットネスブームに乗っかってジムに足を運んでくれるようになりました。

あまりにコンテストが普及しすぎて多くの人が忘れているか、はじめから知らないのかもしれないことが、コンテストは昔、ほぼ「ボディビル」しか無かったということです

小さな地方の大会でさえ試行錯誤しながら自分と闘い、やがて同じ目標の仲間ができて切磋琢磨し合ったりしながら何年も掛けてようやく優勝を掴むかどうかというものでした。

いま、とある有名な選手さんがさかんに吹聴しているような、「運動経験ゼロの人が10ヶ月のパーソナルトレーニングで日本一」になれるようなものでは本来決してありえないのです。

いまやコンテスト入賞というのは星の数ほどある中から適当な大会にエントリーし、お金と時間をパーソナルトレーナーにつぎ込めば誰でもなにかのタイトルホルダーになれるようなものになってしまっています。

今、脚光を浴びている人たちというのがそういう新しいカテゴリーの方ばかりです(特に女子は)。

メディアはこぞって彼女らがあたかも「全筋トレ女子」の憧れだという感じに報じますが、真剣にやってきたものからしたら大きなお世話ですし憧れでもなんでもないので取り上げないで欲しいです。

皆が皆そうとは言いませんが、競技上の理由から胸も腕も鍛えていない、コルセットを巻いてトレーニングしているような人たちを女子の頂点のように扱うのはやめて欲しいです。

同じことが男性のカテゴリーで起きていたらどうでしょうね。

最も筋量が求められるボディビルを蔑ろにして、筋量ではなくより世間的にカッコイイとされるフィジークやベストボディなどが人気だからという理由で持て囃されて

全ての筋トレ雑誌やメディアがほぼ彼らだけをとりあげ、ジムのモニターでも延々と彼らのビデオしか流れず、「全筋トレ男子の憧れ!」なんて紹介されたら、ブチギレたくなるんじゃないでしょうか。

かつて存在した女子ボディビルは薄くてパッドも何もない紐のようなビキニ1枚での勝負で、メイクも薄め。

アスリートが純粋に自らの鍛錬の成果を競うものでした。

いまでは殆どの女子競技はヘアメイク、エステ、ネイル、ジュエリー、裏にパッドやテープがモリモリに仕込んであるストーンを散りばめたビキニ、キラキラのハイヒールなどで素の姿以外の要素でも勝負が決まります。

コンテストのための準備としてこれらにかかる額以外に、ハイパーナイフなどのカット出し施術、数回にわたるタンニングや当日のカラーリング、ポージングレッスン、パーソナルトレーニング代などもかかります。

こんなに色々必要となればもうこれはお金と時間とエネルギーを注げるだけ注げる、セレブみたいな人ほど有利なものです。トレーニングの成果を競演するものというよりお色気寄りのミスコンです。

お色気寄りなので豊胸や豊尻、整形も公然の秘密のように行われているのですが、アンチドーピング!薬物反対!と言うのならこれらはどうして野放しにされているのでしょうか。

カットがあることが加点になるというけれど、施術によってカットを出そうとする行為はトレーニングと関係ない努力です。

ドーピングと一緒か、身を削らないだけにそれより印象が悪いのですが、こんなことがもう増えすぎて収拾がつかず、とりあえず人気もあるし若い女の子やスタイリッシュな男性が増えて見てて楽しいし、そのおかげで参加者が増えてお金になっているから悪くないしということでナアナアになっているのではないでしょうか。

ボディビル連盟が昔よりもアンチドーピングにうるさいように見えるのは、増えすぎた他大会に対する危機感と見ていますが、クリーンと言い張らなくてはならないそういった真っ黒な内情もあるのではないかと勘ぐってしまいます。

コンテストやカテゴリーが増えたといってもほとんどの人はそれぞれのレベルで真剣にやっていますが、参加者数が多くなればそれだけおかしな人の数も、真剣にやっている人たちの中に紛れ込んで増えていきます。

なんでもいいからタイトルが欲しい人などは、すべてのカテゴリーに節操なくエントリーし、数打てば当たる方式です。

体づくりの目的がカテゴリごとに違うのにこんな風に出てこられたら、審査する側の人は何を見れば良いのでしょうか。

ちょっとダイエットして多少のお直しも施し、簡単な大会でメダルを貰って、それを看板にパーソナルトレーナーを名乗る。酷い話だとジム内でパパ活に励み、コンテストの諸々を全てサポートしてもらい、お金で買ったようなタイトルを引っさげてジムまで作ってもらってパーソナルトレーナーを名乗っています。そして自分は大きなジムに籍を置き、コンテストに出たい人を探すため大きなジムで闇営業。いいターゲットを見つけたらパーソナルのお金を貰って引っ張ります。けれど本人はトレーニングのことなどほぼ何も知らないのでろくに何も教えられるはずもなく、騙された人は泣き寝入りです。

こういう人達が、パーソナルトレーナーという職業のイメージを著しく下げています。

こんな事が横行しているのが今のフィットネス業界の闇です。

くれぐれも、施設の公認でないパーソナルトレーナーの誘いには乗らないで欲しいです。公認のトレーナーに相談して欲しいです。

なにもパーソナルでなくたって、スタッフでもやる気のある人間はきちんと勉強しています。

何よりトレーニングは自分で試行錯誤することにも醍醐味があるのですが、怪我を予防するためにも正しいものを身につけるためにも、もうすでにそれらを習得し、さらにアップデートを重ねている人についてもらう方が効率は良いです。

髪の長い女性はマシンに引っかかる・視界が狭くなるなど安全上の理由や床に落ちる、濡れた抜け毛がマシンにはりつくなど衛生上の理由からも髪を結んでもらいたいです。

自分のいるジムだけでもマナーの悪い人達がやりたい放題やっている現状を変えたいのですが、できることには限りがあるし、やったことは現状どれもあまり効果がありません。

話の通じない相手に何かを伝えるのは無理なのかもしれません。

せめてまっとうな方々には少しでも嫌な思いをせず過ごして貰えるように努力するのが責務だと感じています。

つまらないことを長々とすみませんでした。
お読み下さりありがとうございました。

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