ハラスメント・性暴力告発を「売名行為だ」と言ってくる皆さんへ

私に「売名行為だ」と言ってくる皆さん、最後まで、どうか最後まで読んでください。

私は売名目的で告発並びに提訴したわけではありませんのでその言葉は二次加害並びに名誉毀損にあたります。性被害を訴えている方に「売名行為だ」と言う行為はやめましょう。以下、理由を明記していきます。

冷静に考えてほしいのですが、ハラスメント＆性加害地獄な演劇業界において、売名がしたかったらこんなことしません。声をあげてもなんの得にもならないからです。声をあげ、矢面に立たされることはなんの特権でもありません。ハラッサーな業界人たちからは「厄介な役者だ」と思われているんだろうな～と言う気持ちでいっぱいです。そしてこの業界は「大内さん可哀相だから……」と言った理由で仕事が回ってくるような生易しい業界ではありません。私の告発が売名行為？笑わせないでください、業界から干されるような行動を取っている人間に対してそんなことを言うのは、本当にお門違いです。
また「私はハラスメントされたことないよ！」と仰る俳優さんは幸せな環境でお仕事をされていたかご自身の被害に気付いていないだけです。皮肉ではありません。私もハラスメントのない幸せな現場を経験しています。ですがそんな幸せな現場ばかりではありません。
私の裁判の話になりますが、かなり深刻なハラスメントを受けていた本人並びにそれを見ていた俳優数名が被告のハラスメント行為に気付いていませんでした。業界全体並びに被告のハラスメント行為が当たり前すぎて気付いていない方が本当に多いです。それくらい蔓延しています。どうか俳優やスタッフの皆様におかれましては被害を矮小化しないでほしいですし、ご自身が権力者からグルーミングやエントラップメントハラスメントを受けている可能性をどうか捨てないで、いつでも頭の片隅に置いて活動してほしいなと思います。

話を戻しますが、どう考えたってこんな状況下で「私はハラスメント並びに性暴力を受けました、訴えます。告発します」と言っている俳優はふつう口封じに遭います。私も2018年当時の客演時代、レイプに遭った一か月後に劇団内で起きている問題を他の俳優仲間に相談した時に被告から「劇団内のことを外部の人間に漏らすな、心象が悪くなるだろ」と怒鳴られ口封じに遭いました。

ひとりの人間として、「それは間違っている」と言いたいだけなのにそんなことで俳優としての仕事がなくなります。そういった業界も嫌なので変えていきたいと思っていますが私ひとりで変えられる問題ではありません。
私はあくまでも俳優です。俳優の仕事がしたいです。ですが、もうハラスメントが起こる現場に自分の身を置くのが許せませんし、大事な俳優仲間やスタッフの皆さんが被害を受けるのが耐えられません。ならば、と思い声を上げました。自分に降りかかるデメリットも考えた上です。

二次加害者に構いたくないので明言を避けてきましたが、言いたいことばかりですのでこの場でお返事しておきますね。なお、個人が特定されないように要約し、少しぼやかして記載しておきますが、以下の質問文並びにメッセージは私のTwitterアカウント宛に届いていた文章です。

Q.「「力づくで」「無理やり」？違和感しかないです。LINEの文章的にあなたはこわがってない、配役に目がくらみ流されたんでしょ？」
A.超絶怖かったし逆上されるのが怖くてどうにか相手してただけです。そもそも、家の住所知られてるんやぞ？レイプされた時も殺されるかと思ったし、被告が人を呼び出して脅している姿も何度か見ていたし、男性でも手をつけられないくらい被告はお酒が入ると暴れるんやぞ？そんなんああやってなんとかその場しのぎのメッセージ送ってどうにかするしかないやん。被告の機嫌を損ねて逆上されたら？誰が守ってくれるんですか？少なくとも私がいた劇団では目撃者がどれだけいようとも自衛するしかありませんでした。自分のLINEを見返すと吐き気がします。全て意図があって送っています、自己防衛です。そしてLINEの内容だけで私への加害が正当化されるのですか？それはおかしくないですか？LINEのやり取りは証拠として提出した一部分であって、私は主に稽古場・楽屋で加害を受けています。
てかそれは私の訴状を読めばわかることやし、noteの記事を読めばわかることなんやけれど読んでくれた？ちなみに訴状は、東京地方裁判所民事12部乙係(03-3581-5653)に事前に電話をして都合を確認、東京地裁14階閲覧室に行き、住所の入った身分証明書と三文判と150円収入印紙を準備して見に行きます。その手順を踏んだ上で「力づくで」「無理やり」という表現に違和感を覚えていますか？私のnote記事やニュース記事、並びに告発直後に乱立されたまとめサイトは「訴状」ではありません。
ちなみにあなたが引用しているまとめサイトはこのページですが、これだけであなたになにが判断できるのでしょうか？
【証拠画像】谷賢一と大内彩加のLINE内容がヤバい！セクハラのオンパレード！ (cyrano-movie.jp)
あんな、そこらへんに転がっているまとめサイトの記事が全てだと思わないでほしいねんな。そもそも、役がほしいとかそういう次元の話ではありません。被害者のLINEやメールの返信内容で「被害者も悪い」と判断すること、被害を受けてもなお現場に行っていたことを「おかしい」と判断することは二次加害です。どうぞ此方のページをご参照ください。
厚生労働省のHPに掲載されているものです。
精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会セクシュアルハラスメント事案に係る分科会報告書（平成23年6月28日）
<4D6963726F736F667420576F7264202D20835A834E836E838995F18D908F9181698DC58F4994C5816A2E646F6378> (mhlw.go.jp)
セクハラ事案の調査における留意点（6頁）
・「被害者は、勤務を継続したいとか、行為者からのセクシュアルハラスメントの被害をできるだけ軽くしたいとの心理などから、やむを得ず行為者に迎合するようなメール等を送ることや、行為者の誘いを受け入れることがある。このため、これらの事実から被害者の同意があったと安易に判断するべきではないこと」
・「被害者は、被害を受けてからすぐに相談行動をとらないことが多いが、この事実から単純に心理的負荷が弱いと判断すべきではないこと」
・「被害者は、医療機関でもセクシュアルハラスメントを受けたということをすぐに話せないことが多いが、初診時にセクシュアルハラスメントの事実を申し立てていないことのみをもって心理的負荷が弱いと判断すべきではないこと」
まずは正しい知識を身につけましょう。ツイート内では「本当に怖かったのであれば現場に行かなければいいのです」と書いていらっしゃいましたが、そんなことが出来なくなるのがハラスメントであるということも書き記しておきます。正しい知識を身につけて、他の方に二次加害なさらないようにお気をつけてください。
また、私のnote記事には「私の胸を触ってこようとする被告の手をはたきおとしていた」と記載していたはずですが、配役に目がくらんでいる女性だったら演出家の手を叩き落とさないと思います(個人的見解ですが)。

Q.「どうして公開でないものを公開にするの？どうして来なくていいのに裁判所に来るの？だから売名って疑われるんだよ。注目を浴びたいなら刑事事件がおすすめです」
A.ありがとうね～民事にしたのには理由があるし注目浴びたかったとしても現段階では刑事で告訴しません。あと、刑事だと注目浴びるんですか？刑罰化するから？わかんないですけれど別に論点そこではないのでいいです。
裁判は開かれたものです。非公開にして他者に憶測のみで語られたくありません。そして今まで応援してくれたお客様、関わってくれた皆さんに私は真実のみで闘いますという意思表示もあります。今までどれだけ被告からの被害を隠蔽されてきたか、私は何度も悔しい思いをしました。というか自分が提訴しているのに自分が裁判所に行かないって私の感覚だと超絶気持ち悪いんですよね。私は私の目で、耳で、口で、何が行われているかちゃんとジャッジしたいので、代理人弁護士がいようとなんだろうと出廷できるときはちゃんと出廷したいというだけの話です。
それが売名に繋がるんですか？え！？

Q.「metoo告発による売名行為だ！わざわざ『ここでしかお話していない内容も記載されています。』と書くことにより支援者にお金を払わせる気だ！」
A.

取材を受けました。
初めて事件に触れる方にも分かりやすくまとめてくださっています。また、ここでしかお話していない内容も記載されています。
本誌の特集では県内で起きた公務員による数々の性暴力・ハラスメントも掲載されていますが、どれを読んでも加害者側の認知の歪みや自覚のなさが目立ちます https://t.co/6UIkO5c4mj

— 大内彩加 (@o_saika) February 6, 2023

このツイートをスクリーンショットしてずっと二次加害してくる方がいらっしゃいます。12月15日に告発後からずっと私のツイートをスクリーンショットして二次加害されていらっしゃいますね。
私は無料で散々記事を公開してきましたし、自分の被害について語ってきました。後ほど書きますが掲載誌が売れようと私の元に利益は回ってきませんし取材も無償でやっています。記者によっては「ほ～そういうご質問が飛んでくるとは～」という内容もあり、他の記者の方に聞かれたことのない内容が政経東北さんは聞いてくださったので答えたまでです。私の友人たちが私の被害についてなんと言ってくれたか、そしてどういった言葉に支えられてきたか、といった内容を詳細に答えているのが掲載誌でしか話したことのない内容です。なんて言ったか書きましょうか？適応障害と診断された直後に会った親友に「死にたい」とこぼしたときにかけられた「いま、さいかちゃんが自殺したらそれは自殺ではなく他殺だよ」という言葉です。これに支えられて生きています。あと先輩劇団員が私になんて言ったか詳細に書きましたが、彼の俳優人生に関わってくる事を今ここで書く気はありません。どうしても書いてほしければ先輩劇団員に確認してきますが告発後、彼から連絡は一度たりとも来ていません。なのでこちらから連絡する義理もありません。そもそも私はこの告発も提訴も、劇団の同期である宮地洸成くん経由で彼には相談していました。宮地くんが私の病状や詳細について話し、「連帯してほしい、協力してほしい」と相談したにも関わらず私に関して「今まで我慢出来ていたのにどうして我慢できなくなっちゃったんだろうね～」と言っていたこと、一生忘れません。
そして質問主？二次加害主の話に戻りますが、人の言葉尻を掴んで加害行為をしてくるところ、ハラッサーの手口ですのでおやめになった方が宜しいかと思われます。純粋に心配です。きっとこの文章もスクリーンショットされて晒されて二次加害してくるのでしょうが本当にあなたが心配です。

はい、とりあえず目についたコメントにまとめて公開お返事しておきました。というかまず、被害者を責める前にやることがあるでしょう。
私はこれ以上、演劇業界並びに福島の関係者にハラスメント被害者、性被害者が増えてほしくなくて告発・提訴しました。私と同じ苦しみを抱いてほしくなくて、同じ経験をしてほしくなくて発信をし続けています。

被告に ハラスメント、性暴力をやった自覚がないのなら幾らでも「あなたはやったんだよ」と言います。どれだけ多くの被害者がいるか。表で声をあげられない被害者の分まで私は声をあげます。

いい加減、ハラスメントのない環境で、性加害のない環境で人生を営みましょうよ。業界人の皆さん、ハラスメントのない環境で演劇しましょうよ。作品作りましょうよ。演劇って、お芝居ってもっともっと尊いもので、明日も元気に生きていける、そんな活力になるものなのに。

被害者はいつ自分が被害者になるか選べません。

飛んでくる言葉の石を避けられません。

いつ自分が被害者になるか、加害者になるか、第三者になるかわかりません。もし自分がそうなったときのために正しい知識を身につけて、そして行動してください。「自分は何もできない」と嘆かないでください。できます。あなたは幾らでも行動できますし幾らでも学べます。

もし、自分が被害者になったら。
もし、自分の大事な人が被害者になったら。

そんなときのために参考になるサイトをご紹介しておきます。

性暴力被害者支援情報プラットフォーム「THYME」
http://thyme.buzz/
性暴力は年齢、性別問わず被害者になる可能性があります。
今のうちに正しい知識を身につけてほしいです。

またこちらのページも紹介しておきます。
なぜ被害者を責めるの？「ヴィクティム・ブレーミング（被害者非難）」を止めるには - フロントロウ ｜ 楽しく世界が広がるメディア (front-row.jp)

必ず知っておきたい「性的同意」の話。紅茶におきかえた動画を見てみよう | ハフポスト LIFE (huffingtonpost.jp)

上記のサイトを紹介する上で私の裁判において「性的同意があったかどうかが争点になるだろう」と仰っている方もちらほら見かけます。
はっきり申し上げておきます。同意などありませんでした。同意していません。性暴力であったと言っておきます。そもそも同意があったとしたら被告のペニスが萎えるまで抵抗していません。

私が受けた被害は全て本当の事です。真実のみで私は闘います。冤罪や嘘の事象で被告を責めたくはありません。それが劇団員として４年間活動して、被害を受けながら他者への加害を止められなかった私の責任の取り方だと思います。

「売名行為」と言われることに一旦戻ります。
告発してから取材を沢山受けました。が、全て無報酬です。
記事の視聴が増えようが、掲載誌が売れようが、無報酬です。
何十社の前で自分の性被害を詳細に語ったか分かりませんが全て、全て無報酬です。

私が演技・芝居以外で売名したかったらぜっっっったい自分の性被害なんて言いません。もっと別の方法を取ります。二次加害が来ることは想定していましたが、斜め上の内容すぎてしんどいです。

私自身昨年の４月から役者での収入は０です。
告発後並びに昨年の４月以降の収入は以前から働いている夜勤(フロント業務)のみです。裁判費用もそこから賄いました。とはいえ私の１か月の給料は東京都の生活保護で貰える額と同等くらいです(家賃補助除く額面です)。そこから交通費、治療費、観劇費(これは役者としての勉強代も含めます)、オーディション費、通信費、生活費諸々を差っ引いたら残る額なんて笑えちゃうくらい少ないです。それでも訴えました。もう、私と同じ目に遭う人が出てほしくないからです。

長年のハラスメント、性被害によって鬱病、適応障害と診断され「役者を辞めるか劇団を辞めるかどちらかを選んでください」と主治医に言われました。私は役者を辞めたくありませんし、被害を受けた人間ばかりが劇団を抜けていく状況も私はおかしいと思いました。

お薬を毎日飲んでいますが症状は酷いです。死にたくて死にたくて、フラッシュバッグもすごいです。死にたくないのに、死にたい。少し道に迷っただけで、いつもと違うことが起こっただけでパニックを起こします。過呼吸も起きます。お薬がないと入眠も出来ません。どれだけ楽しいことをしていても突然フラッシュバッグが襲ってきます。そして二次加害の言葉たちに苦しめられてSNSが開けない日が何日もありました。

それでも私はおかしいことはおかしいって言いたい。
これ以上自分が嫌いな自分でいたくない。
お酒を飲みながら演出されたくない。
物に当たられながら稽古されたくない。
演出家の肩を揉まなくても芝居は出来る、胸を揉まれる必要もお尻を触られる必要もない、飲み会の席で必ず隣に座らされなくても、公共の場で抱き着かれなくても、劇団員の前で殴られたり蹴られたりしなくても、夜中に性的な内容のLINEや電話が来なくても、レイプされなくてもいい世界をちゃんと作りたい。

健全な環境でお芝居がしたい。

もう、わたしはくるしみたくないです。
ただ、それだけのことなんです。