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私はだんごむし

心が弱い僕は すぐに逃げ出す
キツイ言葉を僕じゃない人に言っていたとしても
辛くて悲しい気持ちになる

そんなことが続くと、自分の弱さを隠すために
どこか遠くに行きたくなる

3月はいつも心が乱れるから
決まってこの時期になると人里離れた場所へ行く
山々に囲まれた古びた旅館
何十年も変わらない存在感ある風貌に圧倒された

静かな山の中で、鳥や猿の声が響く
露天風呂は広くて 贅沢な時間だった
リフレッシュ、まさにこのことだと感じた
3泊した僕は生きてきた至上最高な時間だったと言える
新たな自分を胸に帰路へ着く

バス停は遠く だけどこの道中でさえいい気分だ
次のバスまであと45分
都会だとスマホがないと不安になってしまう空白の時間
でも今は、何もない風景を見つめる事に幸せを感じている

その時、目の前にだんごむしが現れた
春風の気持ちが良い季節、一生懸命に歩くだんごむし
ちょっと出来心でつついてみた

くるんと丸まった後、再び歩き始める
その姿に、思わず笑みが浮かぶ
こんな風に自分も丸まって身を守れたらいいのに、なんて思ったりして

何度つつかれても彼は歩き進める
静かに生きながらも、しっかりとした粘り強さを持つだんごむしに敬意を表す拍手を送りたい
きっと風が吹いても雨が降っても、自らの生存のために努力して生きているんだと思うと誇らしく思えた。僕は立ち上がって
「粘り強くやってみっかぁー!!」とでっかい声で叫んだ
その声は反響することなく遠い山へ消えていった
僕の心はもうすでに新しいステージへと変わり始めていたんだ

あとがき

だんごむしのように物理的にガードすることはできないけれど
自分を守ることは非常に大切なことだと思う
あなたの心の守り方、聞かせてください^^


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