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〇×△から始まる物語り

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〇と△シリーズ*二つの言葉が織りなす、新しいストーリー
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記事一覧

うみといちご

久々のデートはいちご狩りだった。 黒いTシャツで気合十分の彼女は、食べきれないほどの苺を一粒一粒おいしそうに食べる。まるで食べるのがもったいないように一粒にひとつの幸せをのせて。 いちご狩りからの帰りは近くの海辺に立ち寄った。 春先のあたたかな空気が潮風とともに波の音を静かに包み込む中、彼女はいちごを取り出した。 俺は不思議そうに彼女を見つめ 「海でいちごを食べるの?」 すると彼女は微笑んで「いちごの赤色と青い海って美しくない?広大な世界で食べると、その美味しさがより一層引

ぬけがら

まるで抜け殻 キレイに脱いだズボン そのまま履けるね 脱ぎ捨てた靴下 奇数しかないんですけどなんで 脱ぎかけのパーカー 脱ぐの脱がないの? 私の洗濯への執念が 10年後に受け継がれていたらと考えると 面白いなって ふと思った今日この頃 10年後には洗濯物は少しなんだろう それはそれで寂しいな いや、洗濯自体が変化をしているか それはそれで楽しみだ 〇と△シリーズ 好きな言葉をお題として組み合わせ詩を作る 今日は 洗濯 × 未来

甘いいたずら

秘かに好意を寄せる彼 授業中静かに寝ていた 彼の前の席は柔道部のキャプテンで 先生から死角になっている ここぞとばかりに周りの生徒が 彼に可愛いいたずらを始めた 先生の目を盗んでは ペンで落書きをしていく 彼に気づかれないように 最後は私 手と腕はいっぱいだったから 彼のほっぺに赤ペンで書くハート この想いよ届け。 〇と△シリーズ 好きな言葉をお題として組み合わせ詩を作る 今日は 赤ペン × ほっぺ

夢の鐘

7時の鐘が鳴るその前に 深い眠りの海に沈み 夢の扉が静かに開く 秒針が刻む刹那のリズム 目覚ましのアラームに飛び起き 寝坊の衝撃に心がざわめく 急ぎ足で時を追いかけ 遅れを取り戻すために走る 7時の鐘を鳴らすために 夢の中から覚めるように 現実が待つ世界へと身を投じる 新しい一日が始まる 〇と△シリーズ 好きな言葉をお題として組み合わせ詩を作る 今日は 7 × 寝坊 あとがき 朝は苦手です( ;∀;)

キャンドルとハリネズミの森

星明かりが舞う夜の森  キャンドルの灯りが揺らめく 魔法の中に埋もれた ハリネズミの棲家 そこには夢の世界が広がり、 不思議な生き物がたくさん踊りだす しゃべるキノコや青い目のうさぎ、 巨大なありんこに足の短い鹿 時が止まったような静寂の中、 秘密の歌が響き渡る 光と影が織りなす魔法のように キャンドルの灯りが彩る森 夜の奥深くで、 大人びたハリネズミが歌う さぁ、新しい冒険の物語へ 〇と△シリーズ 好きな言葉をお題として組み合わせ詩を作る 今日は ハリネズミ × 

ピクニックと月の満ちる夜

二人が集まればドラマが始まるようだった 方向音痴の二人の今日の目的はピクニック 朝早くから準備したおいしそうなサンドイッチをもって ハムサンドとチーズにりんご 食器と紅茶も忘れずに 支度の時間さえも笑い声に変えて お昼頃には着く予定の丘の上 大きな木が一本、周りには小さな花畑 行く前からワクワクがとまらないよ あっちから行こうよ 見て見てきれいな蝶が飛んでるよ 二人の小さな冒険が始まる 素敵なものに目移りしていたら 迷い込んでしまった森の奥深く それでも二人の笑い声は絶

夏の日のパラソル

この日は、まるで夏のような暑さだった。 青空の下、庭で遊ぶ子供たちのために、 仕舞いっぱなしのパラソルを広げる。 陽射しは熱く、光の粒が地面に踊る。 その光の中に、昨年の夏の海辺での思い出が蘇る。 パラソルの布には、潮風の香りがたなびき、 塩の香ばしい香りが、空気を満たした。 庭には、喜びにあふれる子供たちの笑い声が響き渡る。 彼らの無邪気な笑顔が、暑さを忘れさせ、 心を癒してくれる。 〇と△シリーズ 好きな言葉をお題として組み合わせ詩を作る 今日は 香ばしい × パ

ファンタジーコーヒー

一杯のコーヒーを飲む 深く苦い豆の味が口に広がり 思わず目を閉じる 閉じた瞳の中、コーヒーから虹が生まれた 私はその虹を渡ってみる 虹の先で見た世界は幻想的な世界が広がる 兎には羽が生え、トラは手のひらサイズ 森には美しい湖があり そこに座って足をつけてみる ひんやりとした温度が全身を潤わせ まるでHPが回復していくかのような不思議な感覚が 私の体の隅々までしみわたっていく 思わず目を閉じる あぁなんて幸せな空間なんだろう 次に目を開けた時には いつもと同じ景色でコー

カメレオンの電車

電車の中で、ひっそりと カメレオンのように色を変え 人々の波に溶け込む 座席に座る老婦人、窓の外を見つめる少年 読書に耽るビジネスマン、音楽に身を委ねる学生 それぞれの物語が、ここに交差する 静かに観察し、静かに感じる 満員電車の喧騒の中で 私は見えない存在になる 目立たず、声も上げず ただ、人々の日常に寄り添い 彼らの一部となる この移動する箱の中で 私は誰にも気づかれずに 人間の多様性を学ぶ カメレオンのように 周りの色に合わせて、自分を変え 満員電車の一員とな

桜の誓い

「大地ってさ、将来とか志望校とかどうすんの?」 夜桜の下、中学2年生になったばかりの大地と悠斗。 桜の花は散り始め、緑とピンクの華やかな色合いが、 青々しい葉っぱの香りと共に二人を包む。 大地は考え込むようにしてから、静かに口を開いた。 「俺さ、工業高校に行きたいんだ。ロボットを学びたいんだよね。」 悠斗は驚いた。いつもは騒がしい大地が、 こんなにも真剣に未来を語るなんて。 「え、マジか?家から遠いじゃん」と悠斗。 でも、大地の目は夢に満ちていた。 悠斗は自分の中で考え

創造の交差点

グラフの線は、時間を越えて伸び 風船は、夢を乗せて空に昇る。 数値の森を抜け、風船の海を渡り 二つの世界が一つになる瞬間。 軸に沿って描かれる未来の予測 風船の色彩が紡ぐ無限の可能性。 数字の厳密さと、言葉の柔軟さが 新しい理解への架け橋となる。 グラフの角度は思考を鋭くし 風船の軌跡は感性を豊かにする。 異なる素材が織りなすハーモニー それは、知と感の交響曲。 一つは明確な輪郭を描き、もう一つは自在に形を変え 異なる世界が出会い、新たな創造を生む。 旅人たちはそれぞ

約束の付箋

電車で見つけた落とし物 真新しい小説が一冊 ちょこっとだけ顔を出している付箋 興味本位であけたページ 小説を読まない僕には ただの文字の羅列 どうして付箋をつけたかったのか でもすぐに分かった 左下の手書きの文字 「13時にいつもの神社で」 その隣に違う字で「OK」 僕は一安心した 返事が来ていることで二人は 小説がなくても出会えることができるだろうから 〇と△シリーズ 好きな言葉をお題として組み合わせ詩を作る 今日は 約束 × 付箋

月夜のドライブ

目的なんてないけどドライブ 理由なんてないけど窓を開け 音楽と満月を一つ 普段聞かないラップなんて聞いて ちょっと気分上げちゃって どこに行くのかどこまで行けるのか いつもつけるピアスもネックレスも 時計も全部全部置いてきた 何もない私、最強 今日あったいい事を満月に語って 〇と△シリーズ 好きな言葉をお題として組み合わせ詩を作る 今日は 満月 × ドライブ

恋の地平線

春を感じに海に来た 私の春は まだ遠いけど 地平線のずっとずっとまだ向こう側に 見える気がするんだ さっき春を卒業したばかりだというのに 私は薄情だ もう次の春を夢見てる もし感情が可視化されたら もっと早く気づけたのに あんなに満ちていた心が どんどん引いていたことに ずっと見ないふりしてた 私の淡いピンク色は青い海の地平線へと消えていく 〇と△シリーズ 好きな言葉をお題として組み合わせ詩を作る 今日は 春 × 地平線