時計の契約:第1章1時
1時:兄弟の記憶
「兄さん、5歳の誕生日のことを覚えてる?」急な質問に驚いた。あの日のことを家族は誰も話したがらないから。あの日は俺の誕生日を祝っていた。その最中にじいちゃんが心臓発作で亡くなった。あの日どうしてそうなったのかいつも思い出そうとするが、なぜかその記憶だけが切り取られたように思い出せなかった。
「全然思い出せないな」そう答えると、時翔はゲームの手を止めてこっちを向いて話しかけてきた。その眼差しは、俺の顔を捕らえ、俺の内に隠された何かを鋭く探しているかのように、