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君の中の幼子を連れて。

前の嫁さんからメッセージが届く。

「息子から聞きました。職場が変わったならちゃんと教えてください」

まぁ、離婚調停で決まってることですからね。僕の職場が変わった場合は息子の母親に会社の名前と住所を伝えなければならない。もし養育費が振り込まれなかったら…なんて問題を防ぐ為なんでしょうかね。

えーっとね、とりあえず未読スルーで(´・_・`)


未読スルー!簡単に言うと無視だ(*'ω'*)
だってすごく嫌やもん…(´・_・`)
ニートとか言えばいいじゃん٩(๑❛ᴗ❛๑)۶



次の面会交流の時、息子に伝えることにしよう。


…いや待て。もしかしたらこのいい加減な行為で息子が母親に何か言われてまた余計な嫌な思いをしてしまうのかもしれない…息子の為にもちゃんも返信しよう。




でもまぁ…一旦スルーでお願いします。後でちゃんとやることにします。あの人に返事するのって、本当に死にそうになる…誰かやってくれないかな…(´・_・`)

2年前の2月に別居。その年の9月に離婚。息子は小学3年生だった。息子と離れて暮らすようになってからちょうど2年が経った。彼が無理矢理いろんなことを突破して会いに来てくれたりと、毎月ちゃんと会えている。本当に申し訳ないと思う。

どんどんお兄ちゃんになっていくけど、変わらないところは全然変わらない。そして成長は嬉しいけど、なんだか少し寂しいと思うことも。

面会交流の時は、息子には先に実家に行って遊んで待ってもらっていて、仕事終わりに迎えに行く。僕が実家に帰ってくると、息子は笑いながら慌ててどこかへ隠れる。

そう、まだ隠れてくれる。遊んでくれる。
まだ子供の姿を僕に見せてくれている。


「ちゃんとすぐにおかえりなさいって言いなさい」
「いいよ。大きくなったらこうやって遊んでくれることもなくなるから」

まだ家族の頃、そんな会話を元妻と何度かしたことがあった。

別居前は時々、歯を磨いてくれと甘えてくることがあった。僕はおいでの一言しか言わず、元妻は甘やかすことを良く思っていなかった。



面会交流では、それがほとんどない。ちゃんと歯磨きをしている。5年生だから当たり前なのかな。たまには甘えてくれてもいいのにと思う。


ほら、もう寂しい。
もう立派なお兄ちゃんになっている。あの時もっと甘やかしておけば良かった。


まだ一緒にお風呂に入ってくれる。というか、お風呂でたくさん遊ぶ。身体を洗う時に、1つだけ心がけていることがある。

「耳の裏はしっかり洗わなきゃダメだ。俺も君も顔はすごく可愛いけど、耳の裏が汚かったら女の子が悲しむからな」

これを毎回言うようにしている。わかっていると言われても何度でも言う。これは僕が子供の頃、母親と一緒にお風呂に入ると必ず言われていたこと。

そのせいか、今でもしっかりと耳の裏を洗う。しんどくて適当洗いにしてしまう日でも、耳の裏だけは綺麗に洗っている自分に気づくと、あのうるさかった母の言葉は子を想う愛情だったんだと思い返す。

だから息子が大人になってから良い形で振り返ることができるようにと、僕もしつこく言うようにしている。

もう、一緒にお風呂に入る時間というものは限られているから。清潔感と共に、いつも息子を想っていたということを伝えておきたいと思う。



寝る前、電気を消してから空想のポケモンバトルが必ず開催される。これはお互いの頭の中を共有して公式ルールのポケモンバトル(ダブルバトル)を繰り広げるという遊び。ダメージ計算もしっかりとしている本格派。

しかし、息子が眠くなってくると、突然かめはめ波を打ってきたりキングスライムが出てきたりと、世界観がぐちゃぐちゃになり、笑いながら突っ込んで話していると、やがて静かに眠っていく。


この遊びはいつまでやるのだろうといつも思う。案外幼いやりとりな気もしていてすぐになくなると思っていたけど、なぜか今もずーっと続いている。

別居前の数ヶ月は、ほぼ毎日二人で眠っていた。空想ポケモンバトルやゼリ沢クイズだけでなく、寝る前の会話が息子は好きだったんだと思う。

「残業で遅くなるから今日は母さんと寝てて」
「先に父さんの部屋で寝て待ってるよ」

めっちゃ可愛かった。
本当に一人で眠っていた。


息子が好きなその時間が、馬鹿親二人のせいである日突然引きちぎられた。

もしかしたら、今もあの時のことが消化できずにいるのか…?あの日の記憶の中に、まだ3年生の息子が取り残されているのでは…?だからこの遊びは今も続いているのだろうか…?

みたいなことを時々思う。もしそうなら、今の息子も、過去に取り残されている幼い息子も連れて行かなきゃと、会話の中から彼を探し続けている。愛情を伝えてあげなきゃと思うので、精一杯相手をするようにしている。


これは息子に限ったことではなくて、僕にも、たくさんの人にもそんなことがあるような気がする。

そういえば、京都の有名な哲学者がこんな言葉を残している。

   子供だって大人のふりをする。
   大人だって大人のふりをする。
   素直になれない訳がある。
                    ゼリレオ・ゼリレイ 

素直が子供で、素直じゃないが大人なら、素直に接してくれる人を大切にしたいと思う。

きっと僕の中にも、過去に取り残された幼子がいる。息子にも、あの人にもだ。


連れて行きたい、迎えに行きたい。
そのままでいいと言ってあげたい。

   出かける元気はある。
   出かけるパンツがないんだ。
                    ゼリレオ・ゼリレイ

ちなみにこれは格言とかではなく、あんまり遊びたくない人からのしつこい誘いを丁寧に断る時にとても役立つ有効な言葉となります。

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