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写怪のアルキカタ 2枚目

モデル撮影は、カメラを始めた人なら一つの憧れであろう。仕事としてカメラを触る人間なら避けては通れない道でもある。
モデルという自分以外の人間を自分の作品の一部として組み込んでいく。とても難しく奥が深い世界である。まさに醍醐味と言える世界だ。

だが、あなたは気づいているだろうか。
モデルとあなたが共有する時間、空間の中にあなた方以外の何かが蠢いているのを。

アマチュアカメラマンのRさんは、週末によくモデルを雇って撮影に出向く。
その日は初めてのモデルを雇い、近所の神社で撮影する事にした。

話しているとモデルとも意気投合し、楽しく撮影は進行した。

何十カット目かの事、ちょうどいい木陰を見つけたのでその下で撮りたいとRさんは申し出た。

「良いですけど……」

モデルの今までにない歯切れの悪い返事に若干の不安を感じたが、断るという雰囲気でもなかったので、Rさんはモデルをその木陰に入れて撮影を行った。すると、

パキ。

という音とともに上から、木の枝が降って来た。幸いモデルに怪我は無かったが、Rさんの指示によっては当たっていた可能性もある。

拾い上げて見てみると折れ口が瑞々しい。まるで誰かが無理矢理に折ったようなーー。

「あの、気にしないで下さい。続けましょ?」

モデルは言葉とは裏腹に真っ青な顔になっていた。

それから、夕刻まで何カットも撮ったが、モデルが木に近づくたびに木の枝が折れて降ってきたという。

モデルはその撮影の後にSNSを消してしまい、今では消息がわからないそうだ。

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