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業務フローの「すれ違い」を解消する方法

こんにちは。アカチセ代表の齋藤です。

アカチセでは「アセを、カチに。」をパーパスに、現場の知見・ノウハウを活かした共創型DX支援を行っています。パーパスや取組内容についてはHPをご覧ください。


1. 業務フローの「すれ違い」

みなさん、業務フローに関してこんな経験はありませんか

・部下やコンサルに業務フロー可視化を頼んだが、成果物が思ったものと違った
・上司からの依頼で、テンプレートを元に業務フローを作ったが違うと言われた
・現状調査のため、各部署から業務フローを集めたが使い物にならず…再度作成が必要に

いま、業務プロセスや業務の必要性をゼロベースで見直す業務改革(BPR)やデジタルを活用した変革(DX)のために「業務フロー」の改善に取り組む企業が増えています。
そんななか、よく耳にするのが上記のような経験。関係者それぞれが考える業務フローは様々なので、すれ違うことも当然ありますが、そのせいで、結局最後までやりきれいないというケースもあるようです。
本記事では、BPRやDXを前進させるために重要な「すれ違わない」業務フローの作り方をお伝えしたいと思います。

2. 「すれ違い」の2つのポイント

まず、業務フローのすれ違いのポイントを2つお伝えします。

一つが、「具体・抽象」です。

業務フローはあくまで現実を映し出したモデル・模型で、同じ業務内容でも幅広い表現が可能です。
このことをよく表したプロセスヒエラルキーの図を見てみましょう。

Paul Harmonのプロセスヒエラルキー

上記の図のように業務フローは、抽象度のレイヤーに応じてそれぞれ表現することができます。

例えば、「顧客が書類申込をして、企業が審査をする」という抽象度の高い業務フローがあったとします。同じフローでも、具体度を上げると「顧客が申込書類をダウンロードし、申込書類に名前・住所・経歴を記載して、送信し、企業の窓口担当が情報を受け取り、企業の審査担当が◯◯という基準で審査をし、結果を顧客に伝える」という表現もできるわけです。
どちらが正解というわけでもなく、こういう時は「目的」によって考えます。

2つ目のポイントは「目的」です。

業務フローを通じて「何をしたいのか」によって、上記の具体・抽象の度合いが変わります。
例えば、「実務メンバーに業務の引き継ぎマニュアルとして渡したい」のであれば、具体度の高い業務フローで伝えたほうが適切ですし、経営レイヤーにオペレーションの全体像を伝えたいのであれば抽象度の高い業務フローがよいでしょう。
また「業務改善のための整理」であれば、業務工数を一定の大きさ・サイズで切った抽象度で整理すれば、どの処理をシステム化したり、外注すればいいかわかりやすくなります。

加えて意識したいのが、「抽象度のベクトル・方向性」の多様化です。
ひと昔前に比べると、、昨今のDXや生成AI誕生により、打ち手のバリエーションも増え、一部の業務だけでなく業務全体をゴロっと変えることも増えました。そのため、一義の抽象度で考えれば良いというわけには行かなくなってきています。
先ほどの「申込・審査を経営レイヤーに抽象度高くお話する例」で言うと、単純なWEB申請の場合、「顧客がWEB申込をして、企業が審査をする」という事で良さそうです。ただ、WEB上で動画インタビューをし、一時審査をAIが行う場合、「顧客がWEBAI申込をして、企業とAIが審査する」だと、何をやって、どういう体験をして、どう効果をあげるのかをもう少し説明したほうが良さそうです。

DXなどで業務全体を大きく変える場合は、BEFOREとAFTERの差分が明確になることを意識すると良いです。
反対に差分が小さい場合は、報告時にゴソッと除くことをお勧めします。
システム要件定義の業務フローでは、できるだけ細かく書くという風潮もあるようです。
細かく描いておけば、後々何か言われたときにここにこう描いてあると言えるからです。

もちろん細かい業務理解は重要です。
ただし、それをそのまま報告したり、そのまま利用して議論をすると些末な情報が入って、議論がそれてしまいます。
まずは、目的にあわせて抽象度を適切にあげてから、最適な業務フローをつくっていくのが理想です。

3. 「すれ違い」のない業務フローの作り方

これまで「具体・抽象」「目的」にあわせて、業務フローを作成しましょう、という話をしてきました。
これを意識して作成しないと、苦労して作成しても、社内でのすれ違いが起こったままで、最終的な成果に結びつかない自己満足な業務フローになります。
業務フローはあくまで思考整理の方法、コミュニケーションの方法。
「具体・抽象」「目的」を意識し、きちんと合意形成できる業務フローを作成しましょう。

また、報告・議論といった目的がそれぞれあるので、同じ業務について複数の業務フローが必要という事?と思われたかと思います。
結論、その通りです。

丁寧にやるならば、例えばこのようにそれぞれの抽象度で業務フロー図を作成します。
ただし、すべてフロー図という形が適切とは限りませんし、作成も大変なので一般的にこのようなアウトプットで作成されることが多いと思います。

真面目にこれをやろうとすると大変でとてもじゃないが実行できない。追加リソースが必要だ。と考えた方も多いと思います。
実際にこの粒度で丁寧に業務整理をして、変革を推進されている方やチームを私も知っていますが、情報整理だけで多くの時間が割かれていることも事実です。
書類作成の時間はもったいない、頭でわかっていればいいのだ。
という形で進めることもできるかもしれませんが、DXの文脈で大きな投資や、開発チーム・外部企業などステークホルダーも巻き込むとなると、可視化も、自分の考えを理解しろというのも難しいかと思います。

コンサルティング企業に依頼するのも一つの手かもしれません。
ただ、高額になってしまう上、一度作った資料の更新が難しくなってしまいます。

私たちが、製造業・流通業・サービス業など、さまざまな産業のDX推進を支援していくなかで、感じ続けてきたこの業務フロー整理にまつわる不。目的にあわせて具体・抽象を切り替えて業務フローを作成してくれたり、業務ごとに具体・抽象を関連付けをしてくれる機能を備えたツールがあれば、BPRや組織横断DXはもっと軽やかに進められるのでは?と考え、今年7月にリリースしたのが生成AIを活用した業務フロークラウド「ゲキカル」です。

これから業務フロー整理を行う方や、複数組織を横断しての現状把握・すれ違いにお悩みの方は気軽にお声がけいただければとおもいます。

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