国際法への言及についての水産基本法と森林・林業基本法の違い

水産基本法第二条第二項には、

水産物の供給に当たっては、水産資源が生態系の構成要素であり、限りあるものであることにかんがみ、その持続的な利用を確保するため、海洋法に関する国際連合条約の的確な実施を旨として水産資源の適切な保存及び管理が行われるとともに、環境との調和に配慮しつつ、水産動植物の増殖及び養殖が推進されなければならない。

と書かれています。

水産物について、「『海洋法に関する国際連合条約』の的確な実施」がうたれているのですが、

これは、憲法第九十八条第二項「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」を受けて記載されているのでしょうか?

そうだとすると、水産基本法は、国民生活のために水産物の安定供給は重要なのだけれども、憲法では国際法を守る義務が書かれているから、国連の海洋法条約を守りながら政策を進める必要があると言う論理に立っている事になります。

ところで、森林・林業基本法では、第二条で

「森林については、その有する国土の保全、水源のかん養、自然環境の保全、公衆の保健、地球温暖化の防止、林産物の供給等の多面にわたる機能(以下「森林の有する多面的機能」という。)が持続的に発揮されることが国民生活及び国民経済の安定に欠くことのできないものであることにかんがみ、将来にわたつて、その適正な整備及び保全が図られなければならない。」

と言うように、森林が地球温暖化の防止に必要だと言う位置づけを述べています。

しかし、森林・林業基本法の中では、特段、国際法への言及はないわけです。

この違いは、何を意味するのでしょうか。

とりあえず、今回は、水産基本法には国際法への言及があるが、森林・林業基本法には直接的な言及はないと言う事を押さえて、先に進みたいと思います。

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