水産基本法の「水産物」は「安定供給」の対象だが、森林・林業基本法の「林産物」は「利用促進」の対象
引き続き、水産基本法における水産物と森林・林業基本法での林産物の位置づけの違いについて検討していきたいと思います。
水産基本法では、第2条で
水産物は、健全な食生活その他健康で充実した生活の基礎として重要なものであることにかんがみ、将来にわたって、良質な水産物が合理的な価格で安定的に供給されなければならない。
と述べています。
第1条には
水産に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展を図ることを目的とする。
とありますので、
国民生活の安定向上 ⇒ 健全な食生活・健康で充実した生活の基礎 ⇒ 良質な水産物が合理的な価格で安定的に供給
と言う論理的順番で水産物に言及されていることになります。
平たく言えば、国民生活が大事 ⇒ 水産物の安定供給(良質で合理的価格)
と言う理屈になっていると言えるでしょう。
一方、森林・林業基本法では、
林産物に言及されるのは、第3条2項で
林業の持続的かつ健全な発展に当たつては、林産物の適切な供給及び利用の確保が重要であることにかんがみ、高度化し、かつ、多様化する国民の需要に即して林産物が供給されるとともに、森林及び林業に関する国民の理解を深めつつ、林産物の利用の促進が図られなければならない。
と書かれています。
つまり、林業の持続的かつ健全な発展のために、林産物の適切な供給及び利用の確保が重要、だから林産物の利用の促進が図られねばならない
と言う理屈です。
この理屈は、水産基本法における水産物への言及のされ方の理屈と違います。
水産基本法では、水産物=良質・合理的価格での安定供給されるべき対象
ですが、
森林・林業基本法では、林産物=利用の促進が図られるべき対象
なわけです。
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