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原典を読みながら環境・農業問題について考えてみる

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聖書や日本書紀、平家物語などを読みながら、「日本」について外国人に説明するにはどうしたらいいかとか、農村部の論理と都会人の論理がどう違うかと言ったことについてのヒントを考えていま…
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#観音様

多様な世界をどう表現するか

多様な世界をどう表現するか

「個の誕生~キリスト教教理を作った人々(坂口ふみ 岩波書店)」は、三位一体論とかキリスト論がどのように形成されたかと言う事を追いかけています。

三位一体と言うのは、欧米物の映画なんかで出てくる「父と子と聖霊の名によって・・・アーメン」と言う場合の、「父と子と聖霊」のお話です。

この三位一体論が分かりにくいのは、「父と子と聖霊」が同じだという点です。

天地の創り主、全能の父なる神・・・
まぁ、

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私もあの人も炙ったイカが好き・・・

私もあの人も炙ったイカが好き・・・

「天道、是か非か」(善人が不幸になり悪人が幸福になるとは天の道は正しいのか、間違っているのか)と言う史記・伯夷列伝の問いに端を発して、
人間は「善・悪」と言う判断をなぜしているのか?について述べる事を続けています。

性善説を唱える孟子と「性は生である」(生きている事が本性である)と言う告子の論争は、噛み合っているようで噛み合っておらず、噛み合っていないようで噛み合っているように読めます。

生は

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善・悪の根拠は「外的規範」なのか

善・悪の根拠は「外的規範」なのか

善人が不幸になり、悪人が幸福になる、天道、是か非か(天の道は正しいのか、間違っているのか)

史記・伯夷列伝はこの問いを記しています。

さて、性善説を唱える孟子と反論する告子の論争は、「善・悪」と言う事柄について、興味深い視点を提供しています。

性は生、つまり、生きている事自体が人間の本性だと言う告子に対して、孟子はだったら犬だってウシだって生きている、
犬やウシの本性と人間の本性は変わらない

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善悪以前に、人間の本性はウシの本性と同じなのか?

善悪以前に、人間の本性はウシの本性と同じなのか?

善人が不幸になり悪人が幸福になる…
「天道、是か非か(天の道は正しいのか、間違っているのか?」

史記・伯夷列伝は、この問いを投げかけます。

「善」と「悪」について、かなり興味深い考察をしているのが、諸子百家のひとり「告子」です。

性善説を唱える孟子との論争において、告子はこう述べています。

「食と色は性なり」
(人間の本性は善とか悪とかではない。食欲や性欲である。)

孟子は「性は生」、つ

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南北朝時代、善政についての朝廷への誡め

南北朝時代、善政についての朝廷への誡め

「内乱の中の貴族(林屋辰三郎 吉川弘文館)」を読んだのですが、

花園上皇が皇太子量仁親王に「誡太子書」を与えたと言う記述を読んで、関心を持ちました。

「誡」はいましめると言う意味で、文字通り、皇太子をいましめるために書かれたのが「誡太子書」です。

この文は「太子は宮人の手に長じて未だ民の急を知らず
(朝廷の人達の手で育てられていて、民衆の大変さを分かっていない)」
と言う言葉から始まるのだそ

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神様や仏様の「約束」と救われる資格

神様や仏様の「約束」と救われる資格

なぜ、善人が不幸になり、悪人が幸福になるのか?
史記は「天道、是か非か(天の道は正しいのか?、間違っているのか?)」と記しています。

親鸞聖人の考えを解説した歎異抄は「弥陀の誓願不思議にたすけまいらせて」と言う言葉から始まっています。

「阿弥陀如来様が立てた近いの不思議な力で救われると信じて」と言うような意味です。

南北朝時代の「神皇正統記」にも「神は人をやすくするを本誓とす」とあります。

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そもそも、「神」は人の幸せを願っているものなのか?

そもそも、「神」は人の幸せを願っているものなのか?

善人が不幸になり、悪人が幸福になるとしたら、「天道は是か非か(天の道は正しいのか?、間違っているのか)」と史記・伯夷列伝は疑問を投げかけます。

この疑問に対して、旧約聖書に記載されている通り、「天」や「神」の側から「造られた者が造った者に分別がないと言えるのか?」、「私(神)が世界を造った時、お前(人間)はどこにいたのか?」と答えてこられると、ある意味、行き止まりとなります。

私(人間)は「私

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「私」がなぜこうなのかについて、「カバ」や「ワニ」を持ち出されたらどうするか

「私」がなぜこうなのかについて、「カバ」や「ワニ」を持ち出されたらどうするか

司馬遷の著作・史記の伯夷列伝は、「天道、是か非か(天の道は正しいのか?、間違っているのか?」と言う問いを投げかけています。

暴虐な紂王を打倒して周王朝を創始した武王。
それに対して、暴力をもって暴力を打倒するのはおかしいと指摘し、周王朝が提供する穀物を拒んで餓死した伯夷。

史記は、盗賊をしていても長生きする者もいる、もっぱら悪い事ばかりしていても幸福になれる者もいる、

善人が不幸になり、悪人

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「敵」のメシを食べて、そのうちリベンジはやってもよいか?

「敵」のメシを食べて、そのうちリベンジはやってもよいか?

捲土重来って言葉があります。
ケンドジューライとか、ケンドチョーライとかと読みます。

捲土は土を巻き上げること、
重来は再度来ること

いったん、負けた人が、反撃にやってくることを言います。

臥薪嘗胆って言葉もあります。
ガシンショータンって読みます。

薪の上に寝たり、苦い肝を舐めたりするような
辛いことを耐え忍んで、そのうち、復讐してやろうって思う事です。

さて、暴をもって暴を打倒する…

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社会の改革と個人の不幸

社会の改革と個人の不幸

「るろうに剣心」と言うアニメがあります。

主人公の緋村剣心は、明治維新を実行したい志士達に頼まれて、幕府側の人を殺す刺客となります。
しかし、剣心に殺された人達にも家族がいたのです。

こうした社会の改革と個人の幸・不幸の矛盾について、史記は、伯夷列伝の中で「天道は是なのか、非なのか(天の道は正しいのか、間違っているのか」と述べています。

殷の紂王は暴君でした。周の武王は紂王を打倒しようと考え

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誰もが欲動を持っているから許すと言う論理

誰もが欲動を持っているから許すと言う論理

北京女子図鑑って動画ドラマを見ました。
もともと、地方から東京に出てきた女性たちの姿を描いたウェブコラムで東京女子図鑑と言うのがあって、実写ドラマ化されたようなのですが、
北京女子図鑑はその中国版で制作されたようです。

その北京女子図鑑のドラマの中で地方都市・成都から北京に出てきた主人公は、男性の社長と交際します。
しかし、男性社長は、他の女性と結婚。

「彼は結婚したくないんじゃない、あなたと

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日本人の宗教的自画像を考える

日本人の宗教的自画像を考える

僕は1990年代に中東やロシア・ハンガリー等に環境プロジェクトに行っていました。
当時、日本は、中東和平多国間協議の環境問題作業部会議長国でした。
ソ連が崩壊した後でロシア・東欧圏の国づくり支援と言うのもありました。

海外で日本人はどんな宗教を信じているのかと聞かれて、僕は「組織されていない宗教(ノン・オーガナイズド・レリジョン)」と返事をしました。

なんだ、それは?と聞かれて、
キリスト教だ

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