見出し画像

母の誕生日、初めてご飯を作った

母の誕生日だった。毎年何かプレゼントをあげているわけではないのだけど、普段お米や野菜を送ってもらったりととても世話になっているし、何か贈ってあげたい気持ちがあった。かといって何をあげればいいかは毎回頭を悩ませる。洋服やバック、財布といった物はどれもそれなりに持ってるし、お菓子や果物は食べてしまえばなくなってしまうから寂しい気もするし、旅行はこのご時世では難しい。「親への誕生日プレゼント」は人生で最も頭を悩ませる問題の一つだと思う。でも何もあげないのも、後日自分が後悔する。親孝行はやれる時にやっておいた方が絶対にいい。


そうだ、料理をしよう。


前回のnoteでも書いたけど、僕が料理にハマったのはつい最近のことで母に料理を振る舞ったことはない。一度あるにはあるが、それは中学の頃に家庭科の課題だったカレー作りだったのでカウントするものではない。実家に帰ってご飯を作れば、喜んでくれるのではないか。ご飯は確かに食べてしまえばそれで終わりだけれど、思い出として永遠に残るのではないか。


早速、週末は返ってご飯を作るとLINEしたら、「楽しみにしてる!」と絵文字付きで返ってきた。完璧だ。


しかし、母が何を好きなのかはよくわからない。聞いてみたけど「苦手なものはいくつかあるけど、好きなものはこれというものはないわねー」と返ってきた。仕方ないので、納豆ガパオライスと唐揚げを作った。もはや僕が食べたかったものを作った。

画像1

そんなに手の込んだものではないが、比較的よくできたと思う。ガパオライスに納豆が入ったのを食べたことはなかったが、栄養も取れるし美味しそうだと思って入れた。

が、母は「おいしそー!」と言った後で、ここで驚きの一言を放った。


「でも納豆、食べたことないのよね」


嘘だろ。60年以上生きてきて納豆食べたことない日本人がこの世にいる?


「匂いがダメなのよね」


作った後に衝撃的な事実を繰り出されても、もう作ったものは仕方ない。それに今回は炒めているし、粘り気も匂いも軽く飛んでいるから大丈夫だろう。妻が「めちゃくちゃ美味しい!」と言ってくれた。安心して母を見る。


めっちゃ微妙な顔してた。


「うん、納豆、初めて食べたけど、こんな味なのか、って感じ」


すごい微妙な感想をもらった。

まぁでも、期せずして母に初めて納豆を食べさせることができたという意味では、なかなかインパクトのある誕生日になったのではないか。ポジティブにそういうことにしたい。しかし次はもう少しシンプルに、ハンバーグでも作ろう。なんでガパオライスにしたんだろうな、俺。美味しかったけれどもね。


晩御飯のあと、みんなでケーキを食べた。母はこの世で一番幸せそうな顔をしていた。結局、甘味が最強だってことでした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?