【日記】花が地へと還る、そのときまで。
#名前の由来
昨年の6月に、金沢を訪れた。
どうして金沢に行くことにしたの?と思われるかもしれないが、理由は「大好きなマンガの
主人公が、作中で金沢旅行を楽しんでいた
から」というシンプルなものだった。
おでんの出汁で町ごといい色に煮込まれたかのような、茶色に染まった道を歩いていた。
茶色以外の色ももうちょっと見たいなと思ってふと顔を上げたら、真っ白な花が目にとびこんできた。
沙羅双樹の花である。
平家物語の冒頭でもおなじみの花だが、
日本では主に夏椿のことを指すという。
前から本物を見てみたかったのだが、「京都
あたりまで行かないと見られないのかなぁ」と
思っていたので、思わぬ出会いにびっくり
した。
私のペンネーム「春杞 凪海(はるき なみ)」も、椿の花が由来である。
名字が、春+杞の字のきへん で「椿」になる。
なぜ椿の花を選んだのか改めて思い出してみたが、やはり、花が咲いたらすぐに落ちてしまうという儚さに惹かれたからという結論に落ち
着いた。
物書きなのに、儚く落ちてしまうというのは
ネーミングとしてどうなんだろうかと思われる方もいらっしゃるかもしれない。
でも、私はそれで十分なのだ。
たとえ椿がぱっと花開く一瞬だけでも読んでくれた誰かの心に何かが残ったなら、あとは落ちて土に還ったって構わない。
土に還れば、花は養分となって他の植物の
肥やしにもなれる。
私の蒔いた肥やしから、また新しい花(ここで
いうとほかの作家さん)が生まれる。
この一連の流れを作り出したいと思ったから、この名字を選んだ。
名前の方も解説させていただきたく思う。
なぜ凪海という名前になったのかというと、
幼い頃に車から見た、凪いだ海が忘れら
れなかったから。
私は海のない県に住んでいるので海が見たいとなったらまず、一番近い日本海に行くことに
なる。
日本海は、荒々しい一面を持った海だ。
特に冬場は大きな白波がたくさん生まれて
大しけなんてこともよくある。
だからこそ、ときおり見せる凪が美しいのだ。
いつも心が凪いだ状態を保つのは難しい。
だから、
たまに心が凪いだ状態になったときを
大切にしようと思っている。
波や風がやんだ海のみなもには、
何が映るのだろうか。
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