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大型風力発電計画。ここに住み続けるかどうか、揺らぐ日々。【③計画反対に動けない理由】

広島県北の山間地で、フィジー人夫と、6歳長男、3歳双子の次男三男と暮らしているyumiです。前々回からの記事で、地域に降ってきた大型風力発電計画のこと、それによって家の購入や宿開業計画を保留していることについて書きました。じゃあ、今からどうしていくか。悩んでいることを、自分の頭も整理しながら、綴っていきます。

今住んでいる家を購入して、いろいろ自由に壁を塗ったりキッチンカウンターを作ったり、庭にピザ窯作ったりしよう!景色の素晴らしい、今使われていない家をお借りして、週に、いや月に一組二組からでも、地域に訪れてくれる人たちを増やして、交流や発信ができたら。

そんなアレコレを妄想していたのに、ストップがかかってしまった。さて、どうしよう。今、自分がやるべきことは何なのか。

一番に考えたのは、風力発電計画が進まないように、白紙に戻るように反対すること。でもこれは、どうしても自分が積極的に動けない理由がありました。それは、風力発電計画の話がある数か月前に、自分自身に起こったある出来事があったからです。

その出来事について、詳細を書くつもりはありません。内容が複雑すぎて書くのが大変なのもありますが、実名でnoteを書いている以上、誰かが読んで傷つく可能性がある限りは書くべきではないのだろうなと思っています。ただ言えるのは、まったく別の主体の別の事業なのですが、「ここに住んでいる人ではない、外の人の意志決定で物事が進む」そして「住民の声は届かない」ことを痛感させられる出来事だった、ということです。

それが「住民が自分たちで考えて地域をつくっていくため」を掲げた事業だったので、余計にショックは大きかった。私は当時仕事でこの事業に関わっていたので、悪い方向に行かないように、そのとき置かれた立場で最大限動いたつもりでした。でも、ダメだった。結局は、どんなに道理が通らなくても、上からの力でどうすることもできない。そしてそういうことが起こったときに立ち向かえない「地域力・自治力の弱さ」も露呈してしまった出来事だと感じました。

地域支援員(全国でいう地域おこし協力隊)として今住んでいる地域に来て、出産・育休などでブランクを挟みつつも、立場を変えながら10年近く地域づくりに取り組んできて。少子高齢化が進む過疎の実態も肌で感じながら、こんな方向に地域が向かえばいいなと描いていた状況の、ほとんど真逆に向かってしまった結果に、しばらく立ち直れませんでした。いや今も、完全には立ち直ってない。私の30代はなんだったんだー!!!て気持ちもよぎっちゃう。

普段、山暮らしを満喫していて、このnoteでも地域の素敵なところ、自分の感じる魅力をたくさん伝えたくて、書いています。でももちろん良いところばかりではなくて、田舎の難しいところ、過疎化のリアルなところもあるわけで。でもそういうところもひっくるめて自分はここでの暮らしが好きだし、地域の現状も理解して、動いていけたらと思っていました。

だけど。その出来事は「自分にこれ以上できることはない」と突き付けられたような気がしました。どんなに住民の思いを伝えても、スルーされてしまったらどうにもならない。さらに権力を動かすような力にするには、地域が一丸となってまとまることが必要だけれど、それが本当に難しい地域・・・とわかっていたけど、やっぱりこういうときに弱かった。なかなかそれができる地域も少ないだろうし、自分の力不足の面も大きいとは思いますが。

過疎化で地域力の低下をひしひしと感じる中で、この事業が地域に人を呼び込む最後のチャンス、と現場職員として位置づけながら取り組んで、目指していた方向にはいかなかった。それどころか、地域のことを考えようと呼びかける立場にあった自分自身が「考えたってしょうがないよ」「しんどいから他人事にするしかない」と矛盾する気持ちになった事実を、どう消化してよいかわからないままでした。

おっと、だいぶ愚痴っぽくなってしまった!(笑)。とりあえず、この一件で自分自身がだいぶ憔悴してしまっていたので、「風力発電の白紙撤回」という、結果が出るかもかなり危ういゴールに向かって突き進むエネルギーは残っていませんでした。それに、自治体レベルのことでもうまくいかなかったのに、自然エネルギー推進という国家レベルでの事業に対して、その方向を転換させるほどの動きにするには、それこそ議会や商工会、住民自治組織などの組織レベルで動かないと太刀打ちできないはず。

そういう動きが本当に難しい地域・・・と思っていたらやはり、風力発電に対してまったく動きがなく、静かな我が地域(泣)。隣の安芸太田町や広島市湯来地域では、勉強会開催や意見書集めなど、たくさんの動きがあるにも関わらず。私たちの住む吉和でも、個人レベルでは不安に思う人、反対している人もいて話もするのですが、地域全体では関心がないような、見て見ぬふりをしているような、そんな雰囲気。実際住民説明会に来る住民の人数も少なくて。そういう地域の状況にがっかりする、そんな移住者仲間も少なからずいます。

個人レベルで数人が動いたところできっとどうにもならない。組織レベルでの動きは到底見込めそうにない。じゃあ、風力発電を受け入れて、ここに住み続けるのか、別の場所を考えるのか。そういう選択になってくる・・・ということなのでしょうか。

(続く)

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