見出し画像

「私だけの〇〇を演じる」演劇マンガに惹かれてる


「私だけの〇〇を演じる」
演劇マンガでよく出てくるキーワードですよね。

私はドラマや映画をみることも勿論好きなのですが、その奥にある裏側、演じること自体を描く演劇マンガも大好きです!
自分とは違う人間を演じつつも、そこに自分らしさがものすごーく関わってくるのが相反しているのに本質的で非常に難解な問いです。この難解な問いに挑んでいく様子にロマンを感じて私は演劇マンガに惹かれているのだと思います。

自分ではない誰かを演じることなんて、私自身は幼稚園でやった劇ぐらいしかないですし(白雪姫の鏡の精役でした)、そのものになる気なんてほとほとなかった訳ですが、演劇マンガで描かれる役者たちはみんな懸命に自分とのその役柄をつなぎ合わせてひとつになろうとしています。
その姿をぴったりな言葉を当てはめることは出来ないのですが、自分ではない者と完全に一体となって、個体として濃縮するような感じがして、もの凄く強い、と感じます。「輝いている」とはまた別に一枚まくに覆われているようなそんな空気が描かれていて、それがあまりにも強く、かっこよくて、爽快で、そこをめがけて読み進んでいるのだと思います。

役をつかむという描写は、自分と重ねあわせたり誰かからそのヒントをもらったり、分析的な部分もあるけども、それを自分が演じるにあたってはきっと更にその分析した内容を自分に落とし込む必要があって、それが指先から足の先まで完璧にその人の中に入り込んだような描写に鳥肌がたちます。


演劇マンガの魅力はもう一点あると思っていて、
その話をする為にご紹介したいのが仲村佳樹さんの「スキップビート」の一場面。主人公のキョーコはずっと自分ではなく他人を中心に生きていた女の子で、そんな彼女がなぜ演劇を勉強するのかと聞かれたときに答えた言葉です。

演技の勉強をしていると、
自分の力で新しい自分を生み出して育てていけるって思えるんです。
それが嬉しくて、もっと色んな経験をして、吸収して、
もっと"私の世界"を広げたいから—――…
(『最上キョーコ』になってく感じ――――)
…だから…演技の勉強をしてるんです…


役にふれることで、自分が変わる。
でも演じるのは私でなければ演じられない、その人。

この2つ「役によって自分が変わる・役を自分に落とし込む」のどっちも演劇マンガには必要なのだと思います。


演劇マンガを読んでいると、その登場人物が演じている役柄自体のことも好きになっていることがあります。でも多くの場合その役柄とは一時でお別れで、別の役柄を演じることになる。でも演じた人の中に、その役を感じると嬉しいですし、登場人物の成長も感じることが出来ます。

役がばっちりハマる様子は爽快感があり、役によって変わっていく様子はじんわりとよかったねと言いたくなる感じがして、どっちも大好きです。これからも色んな演劇マンガを読んでいきたいな、と思います。


■好きな演劇マンガ
・スキップビート/仲村佳樹
・かげきしょうじょ‼/斉木久美子
・アクタージュ act-age/マツキタツヤ・宇佐崎しろ
・マチネとソワレ/大須賀めぐみ




この記事が参加している募集

推薦図書

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?