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報酬を得る時 “「勉強させていただきました!」なんて言ったらあかんで。” っと横にいたパートナーに言われた。

#先日の余談

<脱稿:85%ぐらい(968W)>

20年前(1995年頃)の話。

大学を卒業して、作品を創る傍ら、店舗の看板など作っていた頃がある。その延長で店舗の内装という話に膨らんだ。そんなボリューム何の経験も無かったんだけど、何の不安も抱かず快く引き受けた。

僕だけでどうにかなることではないのは分かっていたので、建築士の仕事をしていた大学の友人に声を掛ける。コンセプトとか企画とかまとめることを知らず、クライアントの希望・要望を聞きながら、ただ僕の創りたいことを具現化するために、時間が過ぎて行く。

当時の僕の役割はなんだろうか、今で言うとアートディレクターであり、アーティストという感じだろう。友人は僕とクライアントの話を軸に、費用、造作、設計、工事の監理などすべてやってくれた。経験の少ない僕ら二人は関わる業者の方にサポートしていただきながら進めていた。

今思うと進める中で、コンセプトがブレたり、予算と実施する内容が合わなかったり、全体像に不安を覚えプランを白紙に戻したり、僕の作業が間に合わないなど、時間は止まることなく過ぎていった。

引き渡しの日、友人が運転する車で一緒に向かう、お店の少し手前で停め、車を出ようとした時、友人が話し始めた。

“いろいろあったけど、今日で引き渡しや。「納まる」という言葉で済むんじゃないけど、実際は、これまでいろいろ勉強になったと思う。

でもな、「勉強させていただきました!」なんて言ったらあかんで。

お客さんが作り出した費用を使って、お客さんが投資できる場所を創ったんや。お客さんはこれからその場所で仕事をするんや。俺らはその空間を創るという仕事を引き受けて創りあげた。今日はその対価をいただくんや、お客さんにとって俺らに勉強する機会を与えてもらったなんて、思ってても言うたらあかん。”

その後、僕は空間に関わる仕事を数年間することに繋がる。

店舗什器、サイン、内装など、個人住宅も関わることがあった。後半は展示会が多く、商業消費として数日間だけ設ける店舗みたいな感じ。

最近、そのお店の前を通ることがあった。当時は店舗だけだったんだけど、少し広くなってる気もするが、同じ場所に店舗と住宅が合わさった建物が建っていた。完全に当時の面影は無いんだけど、どうやらオーナーさんはそこに住みながら仕事を続けられているようだ。

続けることの強さ、信頼の厚みが、薄っぺらい僕の胸を打つ。

<言葉> #報酬 #勉強

僕のnoteは自分自身の備忘録としての側面が強いですが、もしも誰かの役にたって、そのアクションの一つとしてサポートがあるなら、ただただ感謝です。