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【読書】「風俗嬢の見えない孤立」に学ぶ、過去の開示について
先日からずっと雨が降り続くばかりで梅雨に逆戻りしたような気分です。
今回は少し刺激めなタイトルですが本書は風俗の「ヤクザ」や「エロ」をメインとした話ではなく、働く彼女達の気持ちや将来について書紹介したいと思います。
〈爆竹と黒とピンクの煙〉
「風俗」
という言葉を聞いて皆さんどんな反応をしますか?
・危険
・怪しい
・不潔
・お金
・性的
など良いイメージは湧かない方が多いと思います。
著者も「風俗という言葉は爆竹のように殺傷能力は低くくても人をびっくりさせる言葉」と言っています。
ただ、その爆竹で舞った爆煙のピンク(エロ)と黒(ヤクザ)の煙の向こう側を見ようとしません。
そこに私たちが知らない彼女たちの孤立があります。
〈孤立〉
風俗嬢で働く彼女達の多くは周囲にバレたくない気持ちから誰にも相談できない環境にいます。
相談相手も夜の世界で生きる人間に限られてしまいがちなのです。
さらに長く働けば働くほどに昼の仕事とのギャップの差(収入、労働時間、制約など)が生まれます。
そんな彼女達の履歴書には書けない空白期間が生まれ、さらに昼の世界に戻りずらい環境にあります。
〈行政と風俗〉
行政の対応の遅さや堅苦しさも一つの課題にあります。
例えば貧困に陥り彼女らが行政に頼ったとしても
「条件」
「審査」
「支給まで時間」
さらに元風俗嬢というだけで色眼鏡で相手を判断する場合もあり労力と時間を費やし今、貧困で苦しむ彼女達にとっての救済になっていないのが現実です。
そんな中、風俗は
「簡単登録」
「丁寧な説明」
「フォロー・ケア」
「即日払い」
とお金が必要な彼女達にとっては手軽であり、きちんとした説明。
そして何より「過去について何も聞かない」ことです。
〈過去の開示〉
風俗で働く人にとっては「過去の開示」はしにくいものです。
これは風俗に限ったことではなく、鬱病、自己破産、無職、元刑務所にいた人といった人達についても同じように「過去を開示」するとさっきまで笑顔だった人が憐れみや異質なものを見るような目を向けてきます。
〈大切なことは「いま」〉
大切なのは「今」であって過去は何であろうと掘り返すことは必要ありません。
本書で好きな彼女が元風俗嬢というので付き合うのをためらう男性が出て来ますが「今の彼女が好きなら、それで良いじゃん!」と本書でも言われてますし、私も実際そう思います。
世の中がもっと「過去」に執着せずに「今のその人」を見れる世の中であってほしいと私は思います。
〈おわり〉
この本を読んで見えなかった世界を少し垣間見ることができて良かったと感じています。
著者はNPOを立ち上げ、彼女たちが風俗からセカンドキャリア(昼の世界)へ行けるサポートビジネスをされています。
単なる無償奉仕ではなく、きちんとしたビジネスとして彼女のキャリアやスキルを伸ばし会社への就職を斡旋されています。
決して風俗というのは一方的な側面だけではなく色々な側面をもっていることを理解しておきたいと思います。
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