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ストレスとは何か?その概念から。

「ストレスは、人生のスパイス。」
こちらの言葉、聞いたことがありますか。おそらく、この言葉を最初に言ったのは、ストレス研究の巨匠ハンス・セリエではないかと思います。

ストレスとは何か。
ストレスは元来「物体に圧力を加えることで生じるゆがみ」を意味する物理学の言葉でしたが、1936年に「ストレス学説」を提唱したハンス・セリエは生理学者です。
ハンス・セリエは、「ストレス学説」として、「ストレスとは、生体に加えられた刺激(ストレッサー)がもたらす心身の非特異的反応(全身適応症候群)である。」と言いました。この全身適応症候群は、「警告反応期」「抵抗期」「疲弊期」の 3 つの時期に分かれますが、、
はい、分かりにくいと思いますので、あとで示す図をみてみてください。

1950年代になると、心理学の立場からも意見が出てきます。心理学におけるストレスとしては、3つの見解がポイントとなります。

・個人個人によってストレス反応は異なる。
・ストレスは、その状況そのものよりも、状況への認識により決まる。
・ストレスの程度は、一部、対応する個人の能力に依存する。

ラザルスは、心理的ストレスに関する中心人物ですが、その中でも、「ストレッサーの内容や大小よりも、個人がそれをどう認識し、解釈し、評価するか。」を強調しています。

当時、セリエのストレス学説には、多大なる賞賛と酷評が寄せられたそうです。1つのテーマを、物理学・生理学・心理学・社会学など異なる立場の人が議論すれば、そうなりますよね。
数々の吟味が加わり、現代では、「精神的・肉体的に負担となるあらゆる環境刺激によって引き起こされる生体機能の変化(ストレス反応)を指す。」と捉えられています。

これらの見解に、産業医として「ストレッサーが仕事か、仕事以外か。」はポイントですので、以下の図として、ストレスをまとめています。

参考文献:
坪井康次先生「ストレスコーピング─自分でできるストレスマネジメント─」心身健康科学 6巻 2号 2010年
坂部弘之先生「ストレス研究の歴史的概観 1992」労働基準調査会  他

●ストレスチェック制度
なお、常時50名以上を雇用している企業においては、「ストレスチェック制度」が義務化されています。このストレスチェックの質問項目(厚労省版)には、上図の「個人要因」と「仕事以外の要因」はほとんど含まれていません。よって、「総スコア」や「ストレス反応」は悪いけれど、「仕事の要因」は悪くないという結果もあり得ます。

そんな「ストレスチェック」の活用のコツは、「職場(環境・業務)の課題」の見える化です。「総スコア」ではなく、「仕事の要因」の内訳=「仕事の何がストレスなのか?」をチェックすると有益です。「総スコア」の悪い方への面談、という対応のみに終始するのは勿体無い印象です。

●ストレスの文学的表現
ここまで、ストレスを学術的見地からまとめてみましたが、そもそもストレスという言葉から想起されるイメージは人によって異なるはずです。最終的には、個人的な見解という余地があります。わたしは「理想や期待と現実とのギャップ」と読み替えることができるかな?と思っています。

セリエが教えてくれたことは、現代のわたしたちのこころにも響くものがあり、素敵な表現者でもあると思いますので、最後に、彼の言葉をご紹介しておきます。

• ストレスは、『人生のスパイス』と考えなさい。
• ストレスというものが存在しなければ、人間は滅んでいただろう。
• 周りから期待されると、人は自信を持つようになる。その自信が、成功に繋がっていくのだ。
• 世界に貢献することに焦点を合わせなさい。そうすればきっと、あなたは長生きができるでしょう。

今週もあなたに笑顔がありますように。



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