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「覚醒力」で記録向上!カフェインの効果と活用法

国際オリンピック委員会でも走力アップが評価されているサプリメントの1つが「カフェイン」。効果も期待できる反面、注意点も多いので計画的な補給が大切となります。

マラソンランナーがカフェインを活用する時、どのような効果、特徴があるのか?お伝えします。


【効果】疲労を軽減

カフェインの主たる効果は脳に直接作用して疲労感を和らげることです。コーヒーを飲むと眠気が覚めるのと同じ作用で、脳で疲労(睡眠)物質が溜まっても目が覚めた(覚醒)状態を保ってくれます。

また、
・脂肪のエネルギー化を促し、グリコーゲンを節約
・筋肉に直接作用し、筋収縮を維持
といった形でも作用します。

これらの作用が合わさることでマラソンの後半に生じる疲労感を和らげ、スピード低下の遅延、記録の向上をサポートしてくれます。


【摂取量】体重1㎏当たり3~6㎎

推奨されるカフェインの摂取量は体重によって異なります。

例えば、体重60㎏の方であれば180㎎~360㎎のカフェイン摂取が推奨される量となります。

炭水化物との同時摂取による相乗効果で少量(体重1㎏当たり2㎎)でも効果が出る場合もあります。まずは100mg程度の少量から試してみるのが良いでしょう。


【タイミング】運動中

カフェインの一般的な摂取タイミングは運動60分前~直前とされていますが、ランナーは運動中、特にレース中盤~後半の摂取がオススメです。

カフェインは「疲労軽減」が主な効果であるので、疲労があまりないレースの前半では本来持っている効果を持て余してしまいます。マラソンの疲労はレース中盤、ハーフを過ぎるころからじわじわと襲ってきます。そのハーフを越えた当たりで補給し、”30㎞の壁”を乗り越える準備をしていきましょう。


【注意①】摂り過ぎ

カフェインは作用が強いため、摂り過ぎによる副作用にも注意しなければなりません。主な副作用としては、睡眠障害、情緒不安定、消化管障害があります。

副作用が懸念される量は「体重1㎏当たり9mg」となります。体重60㎏の方であれば540㎎となります。効果があるとされる量3~6mgと差が少ないため、不意に過剰摂取になることも。日常摂取している量も頭に入れながら、計画的な摂取が求められます。

睡眠障害に対しては、「いつ」摂取するということも考えておくことが大事です。カフェインの血中濃度が半減するまでは4~6時間とされており、比較的体内に残りやすい成分でもあります。就寝時刻から逆算して、夕方以降の多量摂取はなるべく避ける方が良いでしょう。


【注意②】個人差が大きい

適切な摂り方、容量でカフェインを摂取したとしても、効果が現れるかどうかは個人差が大きいようです。

遺伝的な違いによりカフェインの効き目が異なる場合もあります。
普段からカフェインを摂っている方は効き目が減弱する場合もあります。

自分の身体には向いているかどうか、練習やプレ大会などで試してみて下さい。


【まとめ】

カフェインを効果的に使うためには、「量」「タイミング」「効き目」といった視点で活用しましょう。特に過剰摂取による副作用に注意を払うことが大切です。

レースで使ってみようと思った方は「自分の身体に合うか?」「効果が実感できるか?」を確かめるために、まずは普段のトレーニング(ロング走など)で試してみましょう。カフェインもあくまで”サプリメント(補給)”です。基礎となる食事で、十分な栄養補給した状態での活用を心掛けましょう。そちらに問題があるのかもしれませんので。


■参考文献
・Maughan RJ, Burke LM, Dvorak J, et al. IOC consensus statement: dietary supplements and the high-performance athlete. British Journal of Sports Medicine 2018;52:439-455.

・Vitale, K.; Getzin, A. Nutrition and Supplement Update for the Endurance Athlete: Review and Recommendations. Nutrients 2019, 11, 1289.

・Guest, N.S., VanDusseldorp, T.A., Nelson, M.T. et al. International society of sports nutrition position stand: caffeine and exercise performance. J Int Soc Sports Nutr 18, 1 (2021).

・農林水産省. カフェインの過剰摂取について 
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/hazard_chem/caffeine.html

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